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最近ではSNSやYouTubeやブログなどでプロ野球に関する多くの情報を目にします。
今回はプロ野球に関する商標権・肖像権・著作権について法律も用いながら解説していきます。
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内容を端的に言えば、いずれの権利侵害も相手が動けば“犯罪”となります。
当記事の概要
- 球団が保有するコンテンツの無断使用は禁止
- 選手やロゴなどの商標権・肖像権・著作権はプロ野球球団が保持しています
- 無断使用は許可しておらず、商標権・肖像権・著作権侵害に該当します
- 著作者から著作権侵害を申告された場合には「刑事・民事」で裁かれます
- 「みんなやっているから」と安心してても突然訴えられる可能性はあります
プロ野球12球団の「プロパティ(財産権)利用規定」
プロ野球12球団の公式サイトではプロパティ利用規約について公開されています。
ここからはリーグ別に分類し、各球団の利用規約について紹介し解説していきます。
① プロ野球の財産権の代表的なもの
以下の通り、“球団が発表・公開しているものすべて”が「財産権」となります。
公式SNSの動画や画像含め、球団が所有しているものには権利が存在しています。
プロ野球球団の財産権
代表例 | |
---|---|
商標権 (パブリシティ権) |
球団名、球団ロゴ、球団マーク、球団旗、マスコット名称、ユニフォーム、グッズなど ➤ プロ野球の商標権に関する記事 |
肖像権 | 監督、コーチ、選手、チアリーダー、マスコット、スタッフなどの肖像 サイン、氏名、音声(声)、似顔絵など ➤ プロ野球の肖像権に関する記事 |
著作権 | 公式サイトや公式SNSの動画、画像、音声、文章など ➤ プロ野球の著作権に関する記事 |
② パ・リーグ6球団の「プロパティ(財産権)利用規定」
パ・リーグでサイトに記載があったのは以下の通りです。
すべての球団がサイトにて球団公式の写真やロゴなどの「無断使用は禁止」と記載しています。
パ・リーグ球団の利用規定
利用規定 | サイト内の記載箇所 | 許可不要の場合 | |
---|---|---|---|
西武 | 非営利でも使用禁止 |
著作権について SNSガイドライン |
– |
ロッテ | 申請が必要 |
プロパティ規程 | – |
楽天 | 申請が必要 |
ロゴ等の使用について SNSガイドライン |
– |
オリックス | 申請が必要 | プロパティ規定 | – |
ソフトバンク | 無断使用は禁止 |
※ 著作権・リンクについて | – |
日本ハム | 無断使用は禁止 |
ブランドガイドライン | – |
※ ソフトバンクはサイト利用規約によりリンク先はトップページ
パ・リーグのプロパティ利用規定まとめ
③ セ・リーグ6球団の「プロパティ(財産権)利用規定」
セ・リーグでホームページに記載があったのは以下の通りです。
すべて球団がサイトにて球団公式の写真やロゴなどの「無断使用は禁止」しています。
セ・リーグ球団の利用規定
利用規定 | サイト内の記載箇所 | 許可不要の場合 | |
---|---|---|---|
カープ | 無断使用は禁止 |
商標・肖像利用について | 自分で撮影した写真のネット投稿 商品販売に結びつかない選手名の使用 |
DeNA | 無断使用は禁止 |
商標・肖像利用について SNSガイドライン |
自分で撮影した写真のネット投稿 商品販売に結びつかない選手名の使用 |
阪神 | 無断使用は禁止 |
※ 問い合わせ・Q&A ※ ソーシャルメディア利用規約 |
– |
中日 | 無断使用は禁止 |
SNSガイドライン | – |
巨人 | 無断使用は禁止 |
※ SNS投稿に関するご注意 | – |
ヤクルト | 無断使用は禁止 |
SNSガイドライン | – |
※ 阪神・巨人はサイト利用規約によりリンク先はトップページ
セ・リーグのプロパティ利用規定まとめ
④ 「球団の許可が不要な場合」を記載している球団も
以下のように、許可が不要な場合を記載している球団もありました。
各球団の1つめは著作権、2つめは肖像権・商標権に関する記載になります。
広島東洋カープの記載
3.許可を要しない行為 (1)個人ブログでの選手写真(お客様が撮影したものに限る) (2)選手名の使用であって、商品などの販売に結びつかないもの。 (3)個人的な楽しみの範囲での利用。
DeNAベイスターズの記載
許可を要しない行為
- 個人SNSアカウント等での選手写真(お客様が撮影したものに限る)
- 選手名の使用であって、商品の販売やサービスの提供に結び付かないもの
- 個人的な楽しみの範囲での利用
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カープライセンス部に「電話」で問い合わせ
さらに実際に確かめるためにカープ球団事務所に直接電話で問い合わせてみました。
ライセンス等に関する問い合わせ先
(株)広島東洋カープ ライセンス部 082-554-1000
① 球団の許可が「必要な時」と「不要な時」
球団職員の方に確認すると条件を満たせばネットへの掲載は可能とのことです。
同時に下の段のような場合、無許可での使用は禁止しており、そして違法行為となります。
球団に確認した内容
条件 | |
---|---|
許可なく使用OK | 本人が撮影した写真・動画の投稿 ネット上での選手名の使用 グッズやスタジアムの写真・動画投稿 |
許可なく使用NG | 他人が撮影(※)した写真や動画の投稿 (著作権侵害) ロゴやキャラクターなどの商標の無断使用 (商標権侵害) 選手や球団ロゴなどを用いた「商品化」 (商標権侵害) |
※ 上記の”他人が撮影”したものはテレビ・ネット配信・雑誌・新聞・本・SNSなど
② ロゴなどの無断使用は「訴訟」のリスクも
また、ロゴやマークや無断使用に対しては以下のように警告しています。
ロゴやマークは商標登録されており、それをデザインした人(会社)が著作権を持っています。
マーク等の使用にあたっては、必ず事前に申請し、球団から許可を得ていただくことが必要です。球団に無断で使用された場合は、使用差止請求や損害賠償請求を行うこともあります。
③ プロ野球の著作権・商標権・肖像権の無断利用は禁止
以上のように、プロ野球の著作権・商標権・肖像権の無断利用は禁止されています。
カープやDeNAのように一部球団は条件提示していますが、基本的には許可が必要です。
著作権・商標権・肖像権は球団が収益を得るための大事な権利です。
これらを許可なく使用することで球団の利益損失に繋がる場合もあります。
また、これらの権利侵害を行うことで逮捕や裁判のリスクもあります。
過去にも権利侵害で逮捕や裁判となった事例もあるので注意が必要です。
以下はそれぞれの権利の詳細記事となるので参照ください。
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選手の「肖像権」はプロ野球球団が保有
ここでは現在の選手に関する肖像権について解説します。
① 肖像権に関する選手会統一契約書の記載
日本プロ野球選手会の統一契約書にも以下のような記述があります。
記述にある通り、プロ野球選手の肖像権は選手ではなく球団が保有しています。
第16条 (写真と出演) 球団が指示する場合、選手は写真、映画、テレビジョンに撮影されることを承諾する。なお、選手はこのような写真出演などに関する肖像権、著作権などの全てが球団に属し、また球団が宣伝目的のためにいかなる方法でそれらを利用しても、異議を申し立てないことを承認する
② プロ野球選手会が「肖像権」を求めて裁判
2000年代には選手会が肖像権の権利を求めて裁判を起こしています。
被告になったは「プロ野球12球団」とゲームを販売した「コナミ株式会社 」です。
しかし、一審の東京地裁判決、二審の知的財産高裁も選手会の訴えを棄却しました。
商業的使用ないし商品化型使用の場合を含め、球団ないしプロ野球の知名度の向上に資する目的の下で、選手が球団に対してその氏名及び肖像の使用を独占的に許諾したもとと解するのが相当である。
最終的に最高裁の判決で「肖像権は球団管理」が妥当との判決。
2023年にもNPBと選手会が話し合いを行いましたが、現在も肖像権は球団管理です。
尚、他のプロスポーツ競技においても肖像権は選手が保有しません。
プロ野球では球団でしたが、その他のプロスポーツはリーグが管理しています。
【 プロスポーツ選手と肖像権 】JリーグやVリーグなどの所属選手の肖像権と利用制限
この記事には広告が含まれます 最近ではSNSやYouTubeやブログなどでプロ野球に関する多くの情報を目にします。今回はプロ野球に関する著作権・肖像権について法律も用いながら解説していきます...
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「商標権・肖像権・著作権」侵害の罰則とQ&A
ここまで解説した通り、プロ野球の知的財産権は球団が所有しています。
ここからは権利侵害をした時の罰則と権利侵害にならない方法を簡単に説明します。
① サイトに記載が無くても全ての権利は球団が保有
サイトに記載がない場合も肖像権・著作権・商標権は球団が保有することは同じです。
何も記載が無いからといって、これらを好きに利用しても良いという訳ではないのです。
そもそも肖像権と著作権は申請や登録は必要ありません。
人が存在しており、著作物が発生した時点でそれぞれの権利が自動的に発生します。
球団のロゴやキャラクターなどの多くは商標権が登録されています。
これらは他者が勝手に使用しないように公式発表前に商標の届け出を行います。
商標権・肖像権・著作権の保有
- 商標権 / 公式発表前に届け出済み
- 肖像権 / 自然発生するため届け出不要
- 著作権 / 自然発生するため届け出不要
② 違法行為があれば裁判や逮捕のリスク
当然ながら利用に問題があれば法的な罰則を受ける可能性があります。
ここまで紹介した商標権・肖像権・著作権は総称で「知的財産権」と呼ばれるものです。
知的財産権について
人間の幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるようにしたのが知的財産権制度です。知的財産権は、様々な法律で保護されています。
文字通り、法的に”財産”とみなされるので他人の財産を犯している状態になります。
何かあった時に「知りませんでした」が通用しないのも法律なのでその覚悟は必要です。
権利侵害の罰則
罰則 | |
---|---|
肖像権侵害 | 民事 / 差し止め請求、損害賠償請 |
著作権侵害 | 民事 / 差し止め請求、損害賠償請 刑事 / 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 |
商標権侵害 | 民事 / 差し止め請求、損害賠償請 刑事 (個人) / 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 (商標法第78条) 刑事 (法人) / 3億円以下の罰金 (商標法第82条) |
「違法アップロードの報告方法」の記事を読む
③ プロ野球の商標権・肖像権・著作権のQ&A
ここまでをQ&Aで以下にまとめておきます。
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今回のまとめ
選手やロゴなどの知的財産に関する権利はプロ野球球団が持っています。
知らないことでトラブルに巻き込まれ、あとで後悔することになりかねません。
ブログやSNSが普及して誰でも発信できる時代になりました。
そんな時代だからこそ商標権・著作権・肖像権について改めて考えていきましょう。
合わせて読んで深く理解しよう
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