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近年、野球中継や野球番組のネット投稿を多く目にするようになりました。
知らないことも多いかと思うので法律に沿った形で違法アップロードについて話を進めます。
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年々増加し続ける「違法アップロード」
近年はSNSやYouTubeの普及により違法にアップロードされた映像が溢れています。
それに伴い、そういった違法行為に対しても抵抗が少ない世の中に変わりつつあります。
多くの人がやっていると麻痺しがちですか、違法であることは変わりありません。
ついやってしまったことでも法的リスクを背負っていることは自覚する必要があります。
- 著作権侵害に”営利・非営利”は関係なく違法です
- 他人の著作物を勝手に加工・変更することできません
- ネット上にアップロードした時点で著作権侵害とみなされます
- 状況によっては”多額の損害賠償請求”となることがあります
- 逮捕された場合、”最高懲役10年又は1000万円以下の罰金”です
- 実名報道となれば、今の時代は家族や同僚も巻き込まれます
① 著作権法に詳しい弁護士の見解
以下に著作権法に詳しい弁護士の見解をご紹介します。
制作者の許可がある場合を除き、映像をネット上に公開する行為は著作権侵害となります。
もし著作権者の許諾なくネットに投稿すると、著作権のひとつである『公衆送信権』(著作権法23条1項)を侵害することになります。また、テレビ局の『送信可能化権』(著作物をネットで公開する権利)の侵害にもなりますね。
中継番組自体は,著作物ですから,そのまま録画して公表すると著作権侵害となります。
映画やテレビ番組、音楽を録画・録音して、YouTube(ユーチューブ)などの動画投稿サイトに投稿する行為も著作権侵害となります。
あとで紹介しますが、過去には野球中継の違法ライブ配信で逮捕者がでています。
全世界に実名と顔写真が公開され、それが永遠にネット上のどこかに残り続けます。

最近流行りの“切り抜き動画”も当然ながら違法アップロードとなります。
軽い気持ちで行っている人も多いですが、許可のない切り抜き動画は違法です。
切り抜き動画のリスクの記事はこちら
② テレビ局や配信事業者が違法アップロードを警告
各テレビ局が運営するホームぺージでもネット上への違法な投稿を警告しています。
あまり見ることがないかも知れませんが、各テレビ局ともにしっかり記載があります。
放送事業者からの注意喚起
また、テレビをみているとこんなCMをよく目にするかと思います。
これらは違法アップロードの違法性を広く周知するために作られています。


③ 映像の「静止画・スクショ」の投稿も著作権侵害に
よく「動画はダメだけど、静止画・スクショは問題ない」といった投稿を目にします。
しかし、配信会社の著作物であることに変わりなく、静止画であっても違法に変わりありません。
- 静止画ならOK!という”謎ルール”はありません
- 静止画は「著作物の一部」であり著作権が存在します
弁護士も以下のように静止画であっても著作権侵害となると述べています。
「スクショ・写メ・キャプチャ」と様々な呼び方がありますが著作権侵害は同じです。
放送されている動画が映っているテレビ・スクリーンなどを撮影して投稿することは,著作権侵害になります。
著作権侵害(複製権侵害ないし公衆送信権侵害)にあたる可能性があります。
中野秀俊弁護士の動画でも5:01から「スクショでも著作権違反」と説明しています。
ここではアニメと漫画で説明していますが、テレビやネットなどの映像も同じです。

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プロ野球球団や放送・配信局も注意喚起
実際に野球中継を行う放送局や配信局も違法アップロードを注意喚起しています。
特にここ数年は動画投稿の普及により、以前より厳しく言及することが増えました。
① パ・リーグTV・虎テレ・ベースボールLIVE・RCCが警告
2020年9月30日にパ・リーグTVが公式サイトで違法アップロードを警告しました。
パ・リーグTVは以前からTwitterなどで違法アップロードに積極的に対応されてきました。
しかし、凍結されてもアカウントを作り直すなど違法行為は終わらないのも現状。
そういった現状を踏まえ、意思表示として損害賠償や告訴の可能性も示唆しています。
他にも、RCC(中国放送)、虎テレ、ベースボールLIVEなども注意喚起しています。
このように各配信事業社が違法アップロード対策に積極的に取り組み始めています。
2021年3月25日
パーソル パ・リーグTVをご利用の皆さまへ
パシフィックリーグマーケティングとパ・リーグ6球団からのご案内です。 pic.twitter.com/2383wg5K5p
— パ・リーグ.com / パーソル パ・リーグTV【公式】 (@PacificleagueTV) March 25, 2021
2021年2月10日
違法アップロードについて、中の人の考えを述べさせてください。
悲しいです。
拡散してるんだから感謝してよ、個人的に楽しんでるだけだ。そうですか?論点を整理します。
❶まず、それ違法行為です。
❷どこの局のどの番組か引用元すら明示しないのは、率直に寂しいですつづく
— RCCスポーツ (@rccsports) February 10, 2021
2022年2月6日
@RT__8st 許諾なく動画をコピーして公開するのは違法であり犯罪行為です。ロゴマークをモザイクするなど非常に悪質な行為を行なっていることは各所から報告が入っています。
ただちに削除ください。このような違法行為を繰り返された場合は所定の手続きを行うことになります。— 虎テレ運用担当 (@toratele) February 6, 2022
2022年8月5日
ベースボールLIVEをご利用いただいているお客さまへ
いつもご利用いただき、誠にありがとうございます。
昨今、TwitterやYouTubeなどのSNS上に本サービスの試合映像が投稿されているケースが散見されています。
(続く)— ベースボールLIVE (@baseballlive_JP) August 5, 2022
詳細記事はこちら
② 違法アップロードの「情報提供窓口」を設置
尚、違法アップロードに対する情報提供窓口も設置されています。
その方法について質問があったので、改めて別記事を作成しました。
違法アップロード連絡先の記事はこちら
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平成30年の著作権侵害の検挙数は「691件」
平成30年には警視庁からネット上の著作権侵害で691件検挙したと発表されました。
令和元年には450件、令和2年には363件と減少傾向ですがかなりの検挙数となっています。
ほとんど報道されないため知られていないですが、実際はこれだけの数に。
同時に、著作権侵害で検挙された大半が「インターネット」とも発表されています。
※ 「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等 / 警視庁」から作図
2022/10/27 追記
2022年上半期の報告では検挙数は169件と公開されました。
単純計算になりますが年間340件以上のぺースで検挙されています。
① 2022年にサイバー犯罪専門組織を設立
2022年には新たにサイバー犯罪専門の組織が設立され対策が強化されます。
これにより今まで放置していた案件も一斉に摘発する動きみられるかも知れません。
「自分は大丈夫」と思って違法アップロードを繰り返す裏で著作権侵害の証拠を保全。
多くの証拠が溜まったところで一気に摘発や裁判へと持ち込む事例もでてくるでしょう。
② 匿名アカウントでも開示請求で個人が特定できる
TwitterやYouTubeなど匿名なので誰かわからないから大丈夫と思いがちです。
しかし、最近は頻繁に発信者情報開示請求が行われ、個人が特定されています。
発信者情報開示請求ではプロバイダやプラットフォームに登録情報の提出を請求します。
内容は様々ですが、勝訴した場合は電話番号やメールアドレスや氏名などが開示されます。
SNS等のインターネット上の投稿によって自己の権利を害されたとする者は、一定の要件の下、SNS等を運営するコンテンツプロバイダ(CP)や発信者がSNS等に侵害情報を記録する通信を媒介したアクセスプロバイダ(AP)等に対し、発信者情報開示命令の申立て(非訟手続)をすることができます。
直近でもYouTubeやTwitterやニコニコ動画などに開示請求が行われています。
いずれも原告が勝訴し、著作権侵害を行った匿名アカウントの情報が開示されています。
以下、近年行われた発信者情報開示請求の裁判事例です。
③ 著作権侵害は「民事」と「刑事」で裁かれる
もし著作権侵害で訴えられた場合は以下の罰則が発生します。
民事は個人が個人に対して、刑事は国家が個人に対して訴求されます。
罰則 | |
---|---|
民事 | 差し止め請求 (著作権法第112条)、損害賠償請求 (民法709条)、不当利得返還請求 (民法703条) |
刑事 | 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 (著作権法第119条) |
参照 : 著作権侵害への救済手続 / 経産省
もし、逮捕された場合の捜査は以下の2通りとなります。
捜査内容 | |
---|---|
身柄捜査 | 逮捕されたまま身柄を拘留され捜査 (最大23日) |
在宅捜査 | 在宅で生活したままの状態で捜査 |
よほど大規模なものでない限りは多くは在宅捜査となります。
ただ、YouTubeなどで違法に多額な広告収入を得た場合は身柄捜査もありえます。
④ 著作権侵害と言っても権利侵害は3つ
簡単に著作権侵害と言っても、その中には様々な権利があります。
違法アップロードによる著作権侵害は一般的に3つの権利侵害が該当します。
- STEP
複製権の侵害
他人の著作物をコピー(複製)する行為 - STEP
公衆送信権の侵害
他人の著作物をネット上に公開する行為 - STEP
翻案権・同一性保持権の侵害
加工など元の状態に手を加える行為
「違法アップロードの報告方法」の記事を読む
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違法アップロードで検挙された事例
以下、実際に検挙された事例を紹介していきます。
プロ野球中継を違法アップロードして逮捕された事例も出ています。
① 格闘技UFCの違法アップロードで1000万円の損害賠償請求
スポーツ中継の違法アップロードで平成25年に以下のような判例があります。
被告は「UFC」という総合格闘技の試合をニコニコ動画へ違法アップロードです。
判決では著作権侵害に該当するとし、1000万円の損害賠償請求を認めました。
また、この裁判にかかった原告が負担した訴訟費用の支払いも命じられています。
請求額には違いはあれど、違法アップロードは「損害賠償の対象」となるということ。
判例ができたことで以降の裁判判決でもよほどのことが無い限りは変わらないでしょう。
RIZINも法的措置を示唆
同じく格闘技団体のRIZINも著作権侵害に対しては法的措置をとると明記しています。
このように野球に限らず、各種スポーツ団体も厳しく姿勢で対策に取り組んでいます。
また、2022年9月にはRIZNの榊原信行CEOが徹底的に取り締まると公言されています。
② YouTubeでのプロ野球中継「ライブ配信」で逮捕
プロ野球中継をYouTubeに生配信をして逮捕された例もあります。
日本テレビやサンテレビが配信する野球中継(主に阪神戦)を生配信したというもの。
長期間に渡ったことや、登録者が35,000人程度いたことから悪質と判断されました。
結果として、スポーツ中継の無許可による生配信では国内初の逮捕者となっています。

ちなみにGoogle検索やTwitterなどでは今でも本名が表示されます。
今の時代は逮捕されるこうして一生ネット上に実名が残り続ける自覚も必要です。
③ ファスト映画で逮捕され懲役2年と5億円賠償の判決
2021年には映画を編集して違法アップロードしたファスト映画で逮捕者がでました。
この件に関しても警察から映画の著作権者への報告で5名の逮捕につながっています。
主犯を含む3名は有罪判決となり、懲役2年・罰金200万円と判決が下りました。
不起訴となったナレーションを担当した1名も1000万円の賠償金で和解となっています。
- 被告A (主犯) : 懲役2年、4年間執行猶予、罰金200万円
- 被告B : 懲役1年6ヵ月、3年間執行猶予、罰金100万円
- 被告C : 懲役1年6ヵ月、3年間執行猶予、罰金50万円
- 共犯 : 1000万円超の賠償金で和解
2022年11月17日には東京地方裁判所は損害賠償保証金5億円の支払いを命じています。
主犯格の2名に対する判決ですが、もう1人の被告は海外送達を行う予定となっています。

同様に2022年2月にも違法アップロードの逮捕者がでています。
前者と同様に懲役2年・罰金200万円という重い判決が下されています。
さらにこれからさらに民事訴訟で損害賠償請求が行われます。

- 被告 : 懲役2年、罰金200万円
その他、違法アップロードの逮捕事例
- FC2動画への違法アップロードで男性を逮捕 – アフィリエイト目的だった / マイナビニュース
- 「FC2動画」にテレビ番組を違法にアップロード、男性ら逮捕 / INTERNET Watch
- 「FC2動画」で「バイオハザード ダムネーション」無断配信、男性逮捕・送検 / INTERNET Watch
- FC2ライブでアニメ「中二病」違法配信の男逮捕「注目集めたかった」/ ITmedia NEWS
- FC2で「クレヨンしんちゃん」など違法配信の男を送致「小遣い稼ぎのためアップロードした」/ ITmedia NEWS
- 「FC2動画」を通じてアニメを違法アップロード、男性を送致 / ACC
- 「FC2動画」で「相棒12」無断配信 男を送致 / ITmedia NEWS
切り抜き動画のリスクについては以下の記事で詳しく記載しています。
切り抜き動画のリスクの記事はこちら
「違法アップロードの報告方法」の記事を読む
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放送・配信事業の対策と違法にならない利用方法
ここからは事業者と利用者の双方の総論的な話をすすめていきます。
事業者側では今後の対策について、利用者側では違法にならない利用方法を紹介します。
① 今後、放送・配信事業社は何ができるのか?
SNSではアカウントを凍結されても新規アカウントで繰り返す利用者もいます。
こうした行為により、現状の対策を続けても問題は解決しないのも事実でしょう。
であれば、別の対応を考えないといけません。
今後、各事業社ができうる対策としては以下が考えられます。
- IPアドレスから視聴契約者を特定し、視聴契約を永久凍結
- IPアドレスから契約者を特定し、民事にて損害賠償請求
- NPBや配信事業社で協力して、個ではなく組織として対応
- 違法ライブ配信・違法アップロードの報告先の一元化
そこまでしないと解決しないといけないのは残念です。
ただ、このまま“イタチごっこ”を続けても何も解決しないかも知れませんね。
また、複雑化した試合映像の著作権管理の見直しも必要です。
現状の散在した著作権をどう一元化していくかは今後の課題です。
試合映像の管理の記事はこちら
② リツイートもちろん著作権侵害の可能性も
違法アップロードのリツーイトは問題ないと思っている方も多いかと思います。
しかし、それ自体が「違法行為の拡散に協力している」と裁判では判断されます。
過去にもリツーイトをめぐる裁判で著作権侵害損害との判決がくだされました。
自分がアップロードしてないからと安心していると相手によっては訴えられます。
著作物は法律の範囲内で適切な利用を心がけましょう。
野球動画・画像を安全に利用する方法は以下の記事で詳しく記載しています。
安全なSNS利用の記事はこちら
③ 新聞や雑誌などの違法アップロードにも注意
動画や写真に限らず、新聞や雑誌なども同様に著作物(著作編集物)です。
ネット上に投稿すると違法アップロードになるので取り扱いに注意しましょう。
繰り返しになりますが、動画だけでなく静止画も著作物となります。
写真などの著作権侵害で頻繁に裁判となっている事実も理解しておきましょう。
新聞社や雑誌社は取材費や移動費などを使って取材をして販売しています。
使用する場合は許可をとる、許可をとらないなら使用しないでおきましょう。
写真の著作物は「被写体の選択、シャッターチャンス、シャッタースピード、アングル、構図、現像等により、撮影者の思想・感情が表現されていること」を要します。
合わせて読んで深く理解しよう
「違法アップロードの報告方法」の記事を読む
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今回のまとめ
「みんながしてるから自分も大丈夫」と思うのが一番怖いですよね。
著作者が著作権侵害を最初に目にするのが自分になるかも知れません。
そうなると人の負の感情は最初に目したものに強く注がれがちです。
悪気なく知らず知らずということは自分もあるのかも知れません。
知らないことで、おおごとにならないよう気を付けていきたいですね。
合わせて読んで深く理解しよう
※ 文章・画像の転載はご遠慮ください