【 年間691件の検挙 】YouTubeやSNSへの野球中継の違法アップロードの危険性

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近年、野球中継や野球番組のネット投稿を多く目にするようになりました。
知らないことも多いかと思うので法律に沿った形で違法アップロードについて話を進めます。

 

 

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年々増加し続ける「違法アップロード」

 

近年はSNSやYouTubeの普及により違法にアップロードされた映像が溢れています。
それに伴い、そういった違法行為に対しても抵抗が少ない世の中に変わりつつあります。

多くの人がやっていると麻痺まひしがちですか、違法であることは変わりありません。
ついやってしまったことでも法的リスクを背負っていることは自覚する必要があります。

  • 著作権侵害に”営利・非営利”は関係なく違法です
  • 他人の著作物を勝手に加工・変更することできません
  • ネット上にアップロードした時点で著作権侵害とみなされます
  • 状況によっては”多額の損害賠償請求”となることがあります
  • 逮捕された場合、”最高懲役10年又は1000万円以下の罰金”です
  • 実名報道となれば、今の時代は家族や同僚も巻き込まれます

① 著作権法に詳しい弁護士の見解

 

以下に著作権法に詳しい弁護士の見解をご紹介します。
制作者の許可がある場合を除き、映像をネット上に公開する行為は著作権侵害となります。

もし著作権者の許諾なくネットに投稿すると、著作権のひとつである『公衆送信権』(著作権法23条1項)を侵害することになります。また、テレビ局の『送信可能化権』(著作物をネットで公開する権利)の侵害にもなりますね。

W杯「ゴールシーン」動画をSNSに投稿 – 違法と合法の「境目」はどこにある? / 弁護士ドットコム

 

中継番組自体は,著作物ですから,そのまま録画して公表すると著作権侵害となります。

【スポーツ,音楽ライブの画像を公表は著作権違反か規約違反となる】 / みずほ中央法律事務所・みずほ中央事務所

 

映画やテレビ番組、音楽を録画・録音して、YouTube(ユーチューブ)などの動画投稿サイトに投稿する行為も著作権侵害となります。

ネット上で著作権侵害になるケースとは?削除や対処の方法 / アークレスト法律事務所

 

あとで紹介しますが、過去には野球中継の違法ライブ配信で逮捕者がでています。
全世界に実名と顔写真が公開され、それが永遠にネット上のどこかに残り続けます。

youtube動画
参照 : 違法アップロード容疑 男を逮捕 スポーツ中継を無断ライブ配信で検挙は全国初 / サンテレビ【公式】

 

最近流行りの“切り抜き動画”も当然ながら違法アップロードとなります。
軽い気持ちで行っている人も多いですが、許可のない切り抜き動画は違法です。

 

② テレビ局や配信事業者が違法アップロードを警告

 

各テレビ局が運営するホームぺージでもネット上への違法な投稿を警告しています。
あまり見ることがないかも知れませんが、各テレビ局ともにしっかり記載があります。

放送事業者からの注意喚起

 

また、テレビをみているとこんなCMをよく目にするかと思います。
これらは違法アップロードの違法性を広く周知するために作られています。

youtube動画
参照 : 違法だよ!あげるくん「バレるから篇」 / チバテレ【公式】

youtube動画
参照 : 不正アップロード防止キャンペーン / 衛星放送協会 【公式】

 

③ 映像の「静止画・スクショ」の投稿も著作権侵害に

 

よく「動画はダメだけど、静止画・スクショは問題ない」といった投稿を目にします。
しかし、配信会社の著作物であることに変わりなく、静止画であっても違法に変わりありません

  • 静止画ならOK!という”謎ルール”はありません
  • 静止画は「著作物の一部」であり著作権が存在します

 

弁護士も以下のように静止画であっても著作権侵害となると述べています。
「スクショ・写メ・キャプチャ」と様々な呼び方がありますが著作権侵害は同じです。

放送されている動画が映っているテレビ・スクリーンなどを撮影して投稿することは,著作権侵害になります。

【スポーツ,音楽ライブの画像を公表は著作権違反か規約違反となる】/ みずほ中央法律事務所・みずほ中央事務所

 

著作権侵害(複製権侵害ないし公衆送信権侵害)にあたる可能性があります。

TV番組の一部をキャプチャした画像をブログに使用した場合は違法か? / 弁護士ドットコム

 

中野秀俊弁護士の動画でも5:01から「スクショでも著作権違反」と説明しています。
ここではアニメと漫画で説明していますが、テレビやネットなどの映像も同じです。

youtube動画
参照 : アニメ、漫画を無断でネット上にアップしたら実際、どうなる?【著作権】/ 弁護士中野秀俊のYouTube法律相談所 【公式】

 

④ パ・リーグTV・虎テレ・ベースボールLIVE・RCCが警告

 

2020年9月30日にパ・リーグTVが公式サイトで違法アップロードを警告しました。
パ・リーグTVは以前からTwitterなどで違法アップロードに積極的に対応されてきました。

しかし、凍結されてもアカウントを作り直すなど違法行為は終わらないのも現状。
そういった現状を踏まえ、意思表示として損害賠償や告訴の可能性も示唆しています。

他にも、RCC(中国放送)虎テレベースボールLIVEなども注意喚起しています。
このように各配信事業社が違法アップロード対策に積極的に取り組み始めています。

 

2021年3月25日

 

2021年2月10日

 

2022年2月6日

 

2022年8月5日

 

上記の詳細は以下の記事を参照ください。

 

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平成30年の著作権侵害の検挙数は「691件」

 

平成30年には警視庁からネット上の著作権侵害で691件検挙したと発表されました。
令和元年には450件、令和2年には363件と減少傾向ですがかなりの検挙数となっています。

ほとんど報道されないため知られていないですが、実際はこれだけの数に。
同時に、著作権侵害で検挙された大半が「インターネット」とも発表されています。

※ 「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等 / 警視庁」から作図

 

2022/10/27 追記

2022年上半期の報告では検挙数は169件と公開されました。
単純計算になりますが年間340件以上のぺースで検挙されています。

 

① 匿名アカウントでも開示請求で個人が特定できる

 

TwitterやYouTubeなど匿名なので誰かわからないから大丈夫と思いがちです。
しかし、最近は頻繁に発信者情報開示請求が行われ、個人が特定されています。

発信者情報開示請求ではプロバイダやプラットフォームに登録情報の提出を請求します。
内容は様々ですが、勝訴した場合は電話番号やメールアドレスや氏名などが開示されます。

SNS等のインターネット上の投稿によって自己の権利を害されたとする者は、一定の要件の下、SNS等を運営するコンテンツプロバイダ(CP)や発信者がSNS等に侵害情報を記録する通信を媒介したアクセスプロバイダ(AP)等に対し、発信者情報開示命令の申立て(非訟手続)をすることができます。

11. 発信者情報開示命令申立て / 裁判所

 

直近でもYouTubeやTwitterやニコニコ動画などに開示請求が行われています。
いずれも原告が勝訴し、著作権侵害を行った匿名アカウントの情報が開示されています。

以下、近年行われた発信者情報開示請求の裁判事例です。

 

② 著作権侵害は「民事」と「刑事」で裁かれる

 

もし著作権侵害で訴えられた場合は以下の罰則が発生します。
民事は個人が個人に対して、刑事は国家が個人に対して訴求されます。

罰則
民事 差し止め請求 (著作権法第112条)、損害賠償請求 (民法709条)、不当利得返還請求 (民法703条)
刑事 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 (著作権法第119条)

参照 :  著作権侵害への救済手続 / 経産省

 

 

もし、逮捕された場合の捜査は以下の2通りとなります。

捜査内容
身柄捜査 逮捕されたまま身柄を拘留され捜査 (最大23日)
在宅捜査 在宅で生活したままの状態で捜査

 

よほど大規模なものでない限りは多くは在宅捜査となります。
ただ、YouTubeなどで違法に多額な広告収入を得た場合は身柄捜査もありえます。

 

③ 著作権侵害と言っても権利侵害は3つ

 

簡単に著作権侵害と言っても、その中には様々な権利があります。
違法アップロードによる著作権侵害は一般的に3つの権利侵害が該当します。

  1. STEP

    複製権の侵害

    他人の著作物をコピー(複製)する行為

  2. STEP

    公衆送信権の侵害

    他人の著作物をネット上に公開する行為

  3. STEP

    翻案権・同一性保持権の侵害

    加工など元の状態に手を加える行為

 

「違法アップロードの報告方法」の記事を読む

 

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違法アップロードで検挙された事例

 

以下、実際に検挙された事例を紹介していきます。
プロ野球中継を違法アップロードして逮捕された事例も出ています。

① 格闘技UFCの違法アップロードで1000万円の損害賠償請求

 

スポーツ中継の違法アップロードで平成25年に以下のような判例があります。
被告は「UFC」という総合格闘技の試合をニコニコ動画へ違法アップロードです。

判決では著作権侵害に該当するとし、1000万円の損害賠償請求を認めました。
また、この裁判にかかった原告が負担した訴訟費用の支払いも命じられています。

 

請求額には違いはあれど、違法アップロードは「損害賠償の対象」となるということ。
判例ができたことで以降の裁判判決でもよほどのことが無い限りは変わらないでしょう。

RIZINも法的措置を示唆

同じく格闘技団体のRIZINも著作権侵害に対しては法的措置をとる明記しています。
このように野球に限らず、各種スポーツ団体も厳しく姿勢で対策に取り組んでいます。

 

また、2022年9月にはRIZNの榊原信行CEOが徹底的に取り締まると公言されています。

 

② YouTubeでプロ野球中継「ライブ配信」を行い逮捕

 

プロ野球中継をYouTubeに生配信をして逮捕された例もあります。
日本テレビやサンテレビが配信する野球中継(主に阪神戦)を生配信したというもの。

長期間に渡ったことや、登録者が35,000人程度いたことから悪質と判断されました。
結果として、スポーツ中継の無許可による生配信では国内初の逮捕者となっています。

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参照 :  違法アップロード容疑 男を逮捕 スポーツ中継を無断ライブ配信で検挙は全国初 / サンテレビ

 

ちなみにGoogle検索やTwitterなどでは今でも本名が表示されます。
今の時代は逮捕されるこうして一生ネット上に実名が残り続ける自覚も必要です。

 

③ ファスト映画で逮捕され懲役2年と5億円賠償の判決

 

2021年には映画を編集して違法アップロードしたファスト映画で逮捕者がでました。
この件に関しても警察から映画の著作権者への報告で5名の逮捕につながっています。

主犯を含む3名は有罪判決となり、懲役2年・罰金200万円と判決が下りました。
不起訴となったナレーションを担当した1名も1000万円の賠償金で和解となっています。

  • 被告A (主犯) : 懲役2年、4年間執行猶予、罰金200万円
  • 被告B : 懲役1年6ヵ月、3年間執行猶予、罰金100万円
  • 被告C : 懲役1年6ヵ月、3年間執行猶予、罰金50万円
  • 共犯 : 1000万円超の賠償金で和解

 

2022年11月17日には東京地方裁判所は損害賠償保証金5億円の支払いを命じています。
主犯格の2名に対する判決ですが、もう1人の被告は海外送達を行う予定となっています。

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参照 : 「ファスト映画」巡り賠償命令 無断公開投稿者に5億円 / テレ東BIZ【公式】

 

同様に2022年2月にも違法アップロードの逮捕者がでています。
前者と同様に懲役2年・罰金200万円という重い判決が下されています。

さらにこれからさらに民事訴訟で損害賠償請求が行われます。

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参照 : 「ファスト映画」インターネットに投稿した疑い ユーチューバーの男逮捕 / khb東日本放送 【公式】

  • 被告 : 懲役2年、罰金200万円

 

上記の他にも過去に違法アップロードで逮捕された人は多くいます。
紹介しているのは報道されたものだけで実際はもっと多くの逮捕者がいるのが実情です。

その他、違法アップロードの逮捕事例

 

④ 違法アップロードの「情報提供窓口」を設置

 

尚、野球映像の違法アップロードに関する情報提供窓口も設置されています。
基本的には各企業のサイトにある問い合わせ窓口から報告されれば大丈夫です。

報告方法は以下の記事を参照ください。

 

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今回のまとめ

 

「みんながしてるから自分も大丈夫」と思うのが一番怖いですよね。
著作者が著作権侵害を最初に目にするのが自分になるかも知れません。
そうなると人の負の感情は最初に目したものに強く注がれがちです。

悪気なく知らず知らずということは自分もあるのかも知れません。
知らないことで、おおごとにならないよう気を付けていきたいですね。

 

合わせて読んで深く理解しよう

 

 

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