【 パ・リーグ球団とパ・リーグTVが警告 】試合映像の違法アップロードを注意喚起

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2020年9月30日にパ・リーグTV(PLM)から違法アップロードの注意喚起が発表されました。
今回はその注意喚起の内容を整理すると同時に違法アップロードの危険性ついて触れていきます。

 

 

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当記事は以下の記事の詳細ページとなります。

 

パ・リーグTVからの公式発表

 

2020年9月30日にパ・リーグTV (PLM)から違法アップロードについて以下の発表がありました。

ここ最近、Twitterなどのソーシャルメディア上に本サービスの試合映像を投稿されているケースが散⾒されております。

本サービスを通じて当社が利⽤者に対して提供するサービスに関する著作権、著作隣接権、商標権、特許権その他⼀切の知的財産権は、当社または正当な権利を有する権利者に帰属するものであり、無断でソーシャルメディア上に本サービスの試合映像を投稿することは、規約で禁⽌されております。

このような⾏為を発⾒した場合、本サービスの利⽤契約を解除させていただきます。また、このような⾏為は、著作権を侵害するものであり、権利者から損害賠償や刑事告訴される場合もあります。

ソーシャルメディアへの試合動画違法投稿について 2020年版 / パ・リーグTV

 

また、2021年3月26日の開幕前日にも以下の内容で発表がありました。

2020 年 9 月にもお知らせいたしましたが、Twitter、Instagram、YouTube、TikTok などのソーシャルメディア上に、本サービスの試合映像を投稿されているケースが散⾒されております。

本サービスを通じて当社が利⽤者に対して提供するサービスに関する著作権、著作隣接権、商標権、特許権その他⼀切の知的財産権は、当社または正当な権利を有する権利者に帰属するものであり、無断でソーシャルメディア上に本サービスの試合映像を投稿することは、規約で禁⽌されております。

このような⾏為を発⾒した場合、本サービスの利⽤契約を解除させていただきます。また、このような⾏為は、著作権を侵害するものであり、権利者から損害賠償や刑事告訴される場合もあります。

ソーシャルメディアへの試合動画違法投稿について 2021年版 / パ・リーグTV

 

最近はTwitterなどに多くの野球中継の動画が違法に投稿されています。
またYouTubeにおいても同様に編集されたものを含め、多くの動画が違法に投稿されています。

そういった現状を踏まえ、権利侵害の意識も薄れつつある昨今となっています。
改めて、著作権侵害が違法であるという認識と同時に注意喚起として良いものだったと感じます。

 

 

① 2021年に新たに加えられた文章の意味

 

2020年に発表された文面から2021年はその内容に変化がありました。

  • Instagram、YouTube、TikTokの文言を追加
  • パ・リーグ6球団も連名の形で追加

 

特に大きな変化はパ・リーグ6球団も連名で参加したことです。
これにより企業単体の警告からパ・リーグ6球団からの警告となりました。

連名表記
2020 パシフィックリーグマーケティング株式会社
2021 パシフィックリーグマーケティング株式会社
株式会社ファイターズスポーツ&エンターテインメント
株式会社楽天野球団
株式会社西武ライオンズ
株式会社千葉ロッテマリーンズ
オリックス野球クラブ株式会社
福岡ソフトバンクホークス株式会社

 

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パ・リーグTVの「利用規約」の記載から

 

改めて、パ・リーグTVの「利用規約」に目を通してみました。
全て読んでみると、利用規約の第10条に以下のような文言がありました。

パ・リーグTV 利用規約 第10条

本サービスを通じて当社が利用者に対して提供するサービス(本コンテンツを含みます)に関する著作権、著作隣接権、商標権、特許権その他一切の知的財産権は、当社または正当な権利を有する権利者に帰属するものであり、本サービスの利用料を支払うことで、利用者にいかなる権利も付与されるものではありません。

 

文章に”帰属”など難しい言葉がありますが、要約すると以下の通りです。

「映像(画像含む)の権利はパリーグTVが所有し、利用者にはその権利はない」

 

① 損害賠償に関する文言

 

また、損害賠償について以下のような文言もありました。

パ・リーグTV 利用規約 第16条

利用者が本規約に違反し、または本サービスの利用に伴う故意もしくは過失により、当社または第三者に対して損害を与えた場合、利用者は自己の責任と費用によって一切の損害および費用を賠償、補填するものとします。

 

冒頭の公式発表でもあったように、違反に伴い損害賠償などの責任が生じると明記されています。
ただ、これはありとあらゆる著作権侵害に該当するもので、パ・リーグTVだからではありません。

どんなサービスにこのような文言はあり、特別なものではありません。
逆にどんなものにも「権利」が存在し、勝手に利用できないことが法で定められています。

 

② 著作権侵害による罰則は「重い罪」に

 

著作権侵害で訴えられた場合は「民事」と「刑事」で裁かれます。
刑事では文字通り、「警察」が介入する可能性があるということです。

 

また、民事と刑事では以下のような罰則となっています。
刑事で裁かされるとかなり重い罪となるのがわかるかと思います。

著作権侵害の罰則

罰則
民事 差し止め請求 (著作権法第112条)、損害賠償請求 (民法709条)、不当利得返還請求 (民法703条)
刑事 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 (著作権法第119条)

 

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パ・リーグTVは「パ・リーグ球団が出資した事業」の1つ

 

そもそも「パ・リーグTV」とはどんなものなのでしょうか。
パ・リーグTVは2012年からパシフィックリーグマーケティング(PLM)が運営しています。

会社概要

社名 パシフィックリーグマーケティング
設立 2007年5月
資本金 3000万円
株主 パ・リーグ6球団
代表取締役 根岸友喜

〒103-0007
東京都中央区日本橋浜町1-12-9 日本橋浜町ビル3F
https://www.pacificleague.jp/

  • JTBとジョンソン&ジョンソンでセールスやマーケティングに携わる。
  • 2007年に楽天や球団に入社し、事業企画と広報の責任者を務める。
  • 2013年にPLMに入社し、マーケティング室室長を務める。
  • 2017年に現職に就く。
  • グロービス経営大学院 (MBA) 修了

 

① パ・リーグ6球団が共同出資した「合弁事業会社」

 

PLMはパ・リーグ6球団が共同出資して設立された合弁事業会社です。
つまり、パ・リーグTVはパ・リーグ6球団が直接的に関与するメディアとなっています。

球団それぞれが試合映像の制作を行うことで、各球団が映像の著作権を保有しています。
それら映像をPLMが一括で管理することで、バラバラの権利を集約することが可能です。

そのため、放映権を一括管理できることで、2018年の売上は50億円超に。
これにより各球団への分配金も増加し、球団にとって大きな収入源となっています。

 

② 「DAZN」や「Rakuten パ・リーグ Special」に映像提供

 

PLMは2018~2022年まで以下の2社に映像提供を行っています。

スポナビライブ [~2018年5月終了] (ソフトバンク) 

 

つまり、パ・リーグTVと上記2社のパ・リーグの映像は同一のものです。
結果的に、2社の権利侵害を行えば、提供元のPLMの権利侵害にもなります。

上記のように、パ・リーグの主催試合映像の権利はPLMが持っています。
PLMはパ・リーグ6球団で作った組織であることでそうしたシステムが実現します。

 

③ リーグでライセンス管理を一括することのメリット

 

こうしてリーグ内の権利を一括管理することで今回のような対応が可能となります。
セ・リーグのようにテレビ局が制作・管理をするとなると同じようにはいかないでしょう。

パ・リーグに比べ、セ・リーグの違法アップロードが多いのもそうした背景があります。
セ・リーグもPLM的な組織化を行えば、一括で対応でき人材もコストもカットも可能です。

将来的にはセ・リーグもPLMのような組織作りが行えるようになるのが理想です。
また、すでにノウハウを持ったPLMが12球団を一括管理するのも良いかも知れません。

 

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野球中継の投稿は「公式アカウント」を利用する

 

野球中継を投稿したい時は、公式アカウントの「リツイート」や「URL」を使いましょう。
最近は多くのプロ野球公式アカウントで野球中継をピックアップした動画を投稿されています。

① Twitterの場合は「リツイート」を利用

 

Twitterであれば以下の公式アカウントが投稿してくれています。
投稿したい動画がない場合は、文字だけ投稿して違法アップロードは控えましょう。

公式Twitter
パ・リーグTV https://twitter.com/PacificleagueTV
スカパー!プロ野球 https://twitter.com/sptv_baseball
DAZN JAPAN https://twitter.com/DAZN_JPN
イレブンスポーツ https://twitter.com/ElevenSportsJP

 

 

② 野球中継の違法アップロードは「肖像権侵害」にも

 

野球中継の違法アップロードが「著作権の侵害」だという認識はあるかと思います。
それは確かなのですが、著作権の侵害と同時に「肖像権の侵害」にも該当します。

一般的に著作権は著作者が所有し、肖像権は人物が所有します。
つまり、野球中継の違法アップロードは2つの権利侵害を犯すことになります。

ただし、プロ野球選手の肖像権は「所属球団」が所有する形となっています。
違法アップロードで肖像権を侵害した場合は、球団の権利を侵害してしまいます。

パ・リーグの場合はパ・リーグ6球団が映像制作をしています。
野球中継の著作権は各球団が所有し、肖像権も各球団が所有する形になります。

 

② 多くは「自分だけは摘発されない」という油断

 

違法アップロード投稿者の多くは「みんなもやっているから大丈夫」と思っています。
しかし、平成30年にはネット上の著作権侵害で691件検挙したと警視庁が発表されています。

※ 「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等 / 警視庁」から作図

 

 

交通違反と同じように、他の人もやっているから自分だけは大丈夫というのは錯覚に過ぎません。
同時に「あの人もスピード違反していた」と言ったところで、交通違反が無くならないのと同じです。

年間700件も摘発されいても、その多くの例は報道されないため知る機会は少ないです。
しかし、実際に年に約700件が摘発されているという事実があることには変わりありません。

 

合わせて読んで深く理解しよう

 

「違法アップロードの報告方法」の記事を読む

 

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今回のまとめ

 

今回はパ・リーグTVの違法アップロードの注意喚起について話を進めてきました。
野球中継の配信事業者が明確に意思表示したのは今回が初めてではないでしょうか。

多くの場合でホームぺージにさらっと掲載しているだけに留まっています。
そのためSNSやYouTubeには多くの違法アップロード動画が溢れかえっています。

パ・リーグTV(PLM)の発表はそうした行為に対し非常に意味のあるものです。
また、パ・リーグを一括管理するといった体制も合理的なシステムとも言えます。

若い世代の多くが小さな頃からSNSやYouTubeがある環境で育っています。
中には違法という認識がほとんどない人も多いのかも知れないとも感じています。

改めて違法アップロードは違法行為であると認識が必要です。
軽率な行動で後悔しないように注意しながらプロ野球を楽しみましょう。

 

合わせて読んで深く理解しよう

 

 

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