【 プロ野球選手の営利活動 】選手個人の無許可の営利活動は禁止、肖像権と取り扱い

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統一契約書の記載について

 

まずは統一契約書の文面から確認し、肖像権の所在について解説します。
ここではプロ野球での肖像権の取り決めについて触れていきたいと思います。

① 肖像権に関する選手会統一契約書の記載

 

日本プロ野球選手会の統一契約書にも以下のような記述があります。
記述にある通り、プロ野球選手の肖像権は選手ではなく球団が保有しています

第16条 (写真と出演) 球団が指示する場合、選手は写真、映画、テレビジョンに撮影されることを承諾する。なお、選手はこのような写真出演などに関する肖像権、著作権などの全てが球団に属し、また球団が宣伝目的のためにいかなる方法でそれらを利用しても、異議を申し立てないことを承認する

日本プロ野球選手会 野球協約等 統一契約書様式

 

② プロ野球選手会が「肖像権」を求めて裁判

 

2000年代には選手会が肖像権の権利を求めて裁判を起こしています。
被告になったは「プロ野球12球団」とゲームを販売した「コナミ株式会社 」です。

しかし、一審の東京地裁判決、二審の知的財産高裁も選手会の訴えを棄却しました。

商業的使用ないし商品化型使用の場合を含め、球団ないしプロ野球の知名度の向上に資する目的の下で、選手が球団に対してその氏名及び肖像の使用を独占的に許諾したもとと解するのが相当である。

東京地裁平17(ワ)11826号

 

最終的に最高裁の判決で「肖像権は球団管理」が妥当との判決。
2023年にもNPBと選手会が話し合いを行いましたが、現在も肖像権は球団管理です。

 

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禁止されている選手個人の営業活動

 

ここまでプロ野球の肖像権について解説しました。
ここからは選手個人の営利目的の活動について解説していきます。

① 選手個人の営利目的の活動は禁止

 

選手に対しても日本プロフェッショナル野球協約に以下のような文明があります。

第168条 (出演)

選手、監督、コーチは、所属球団の事前の同意がなければ、映画、演劇又はラジオ、あるいはテレビジョンその他に、有償と否とを問わず、出演してはならない。

日本プロフェッショナル野球協約2022

 

また、野球協約等統一契約書にも以下のように記載されています。

第16条 (写真と出演)

選手は球団の承諾なく、公衆の面前に出演し,ラジオ,テレビジョンのプログラムに参加し,写真の撮影を認め,新聞雑誌の記事を書き、これを後援し、また商品の広告に関与しないことを承諾する。

日本プロ野球選手会 野球協約等 統一契約書様式

 

つまり、プロ野球選手となった時点で個人での商業的な活動は禁止されています。
許可なくイベントに出演したり、YouTubeなどで収益を得ることも基本的には禁じられています。

 

② イベントやテレビ出演は球団からの派遣

 

テレビ出演やトークショーなどは企業が球団に依頼して行われています。
以下のようなCM出演なども球団に依頼があり話し合いで出演選手が決まります。

地方球団であればローカルCMに出演することが多々あります。
その場合、多くのケースでチームスポンサーの企業CMとなっています。

 

youtube動画
参照 : スマホポータルアプリ「なんでもできる」/ 山口フィナンシャルグループ公式チャンネル 【公式】

 

尚、球団が選手を派遣して得られた報酬の一部は選手に還元されます。
その旨については、統一契約書の中にも以下のようにしっかり明記されています。

第16条 (写真と出演)

なおこれによって球団が金銭の利益を受けるとき、選手は適当な分配金を受けることができる。

日本プロ野球選手会 野球協約等 統一契約書様式

 

③ 球団の許可があれば個人活動も可能

 

ただし、最近では以下のように選手個人がYouTubeを運営することもあります。
その場合は球団から正式に許可をとっているため、上記の契約書違反にはなりません。

さきほどの野球協約にも「所属球団の事前の同意がなければ」と記載しています。
裏を返すと球団の許可があればテレビ出演などの活動をしても良いことになります。

第168条 (出演)

選手、監督、コーチは、所属球団の事前の同意がなければ、映画、演劇又はラジオ、あるいはテレビジョンその他に、有償と否とを問わず、出演してはならない。

日本プロフェッショナル野球協約2022

 

実際に田中将大投手が楽天復帰時の契約条件にYouTube開設を盛り込んだそうです。
2024年2月現在、6名の現役選手が個人のYouTubeを解説し、様々な情報を発信しています。

 

 

④ 球団の許可が不要な営利活動もある

 

禁止されているのはあくまでも選手の立場を利用した個人営利活動です。
NPB選手としての立場が必要のない場合は球団の許可を得る必要ありません。

わかりやすいもので言えば不動産投資や株式投資など。
こういったものは選手として運用する訳ではないので問題はありません。

過去にも桑田真澄投手などが「投げる不動産屋」と話題になりました。
最近では村上宗隆選手の不動産投資に関する記事が取り上げられています。

 

プロ野球選手の肖像権の詳細記事はこちら

 

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今回のまとめ

 

今回はプロ野球選手個人での営業活動について話を進めてきました。
プロ野球選手の肖像権についてはそれぞれが所属する球団が保有しています。

選手個人が活動したい場合、球団への許可が必要となります。
統一契約書にその旨が記載されている以上は守る必要があります。

肖像権は団体が持つべきか、それとも選手が持つべきか。
意見は分かれますが、まずはルールに従う必要はあるでしょう。

 

合わせて読んで深く理解しよう

 

 

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