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前回、プロ野球界の著作権について調べてわかったことを投稿しました。
今回はそもそもの著作権と野球ブログの場合で考えながら話を進めたいと思います。
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「著作権」の定義
現在の著作権法は1899年に制定され、1970年に全面的に改訂されました。
改めて、著作権法の中で「著作権」は以下のように定められています。
著作権法 2条1項1号 「著作権」
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう
簡単にまとめると「創作的に表現したもの」ということになります。
著作権は子供が描いた絵であっても著作権は発生します。
著作権は有名であるとか価値があるとなどの社会的価値は全く関係ありません。
著作権は特許のように申請する必要はなく、創作された時点で発生します(無方式主義)。
特許権では申請しな限りは権利が発生しないのでその点で大きく異なります。
国の機関への出願・申請・登録などの手続きは不要で、創作した時点で発生します。
ベルヌ条約に加盟している国では無方式主義が義務づけられています。
反対に、著作権の登録の手続きが必要な場合は「方式主義」と呼ばれます。
かつてのアメリカなどがそうでした。
※ ベルヌ条約では、日本で発生した著作物は加盟国においても日本と同等に保護されます。
ただ、任意制度ですが「著作権登録制度」もあり、以下の目的で利用できます。
- 法的な場面で権利の証拠を明示できる
- 譲渡した場合の取引状況を明示できる
著作者の権利は「著作人格権」と「著作権(財産権)」に分かれます。
ここでは煩雑となってしまうので、それぞれの詳細については省きます。
① 著作人格権
- 公表権
- 氏名表示権
- 同一性保持権
➡ 譲渡権はない
② 著作権
- 複製権 (複製する行為)
- 上演権・演奏権 (伝達する行為)
- 上映権 (伝達する行為)
- 公衆送信権・公の伝達権 (伝達する行為)
- 口述権 (伝達する行為)
- 展示権 (伝達する行為)
- 頒布権 (提供する行為)
- 譲渡権 (提供する行為)
- 貸与権 (提供する行為)
- 翻訳権・翻案権など (利用する行為)
- 二次的著作物の利用権 (利用する行為)
➡ 譲渡権はある
① 学校教育のための改変 (読み仮名や平仮名の改変)
② 建築物に対する増築・改築・模様替え・修繕
③ プログラムのアップデートなどの改変 (不具合の改善や修復など)
④ やむを得ない改変 (映画のDVD化による改変)
① 著作物にあたるもの
著作物にあたるものには以下のようなものがあります。
形のあるもの形のないものとあらゆる創作物が「著作物」に該当します。
概要 | |
---|---|
言語の著作物 | 論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など |
音楽の著作物 | 楽曲及び楽曲を伴う歌詞 |
舞踊、無言劇の著作物 | 日本舞踊、バレエ、ダンスなどの振り付けなど |
美術の著作物 | 絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置、生け花など(美術工芸品も含む) |
建築の著作物 | 寺院、記念塔、橋など芸術的な建造物 |
地図、図形の著作物 | 地図、学術的な図面、図表、模型、建築の設計図など |
映画の著作物 | 映画、テレビ映像、ネット配信動画、ビデオ映像、ゲームなど |
写真の著作物 | 写真、画像データなど |
プログラムの著作物 | コンピュータのプログラム、スマホアプリなど |
二次的著作物 | 上表の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案(映画化など)し創作したもの |
編集著作物 | 百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集など |
データベースの著作物 | 編集著作物のうち、コンピュータで検索できるもの |
※ 監視カメラや自動撮影や証明写真は除く
② 著作権の保護期間は死後70年後まで
では、著作権はいつからいつまで存在するのだろうと思い調べてみました。
文化庁のサイトには以下のように「著作権の保護期間」の記載があります。
著作権、著作者人格、著作隣接権,著作物を創作した時点で発生します。権利を得るための手続は,一切必要ありません。著作権の保護期間は,原則として著作者の生存年間及びその死後70年間です。
法律では公表後および死後70年後までと決まっていまする。
開始時期は「発表後の翌年1月1日から」となりその後70年間が保護期間です。
保護期間 | |
---|---|
実名(周知の変名を含む)の著作物 | 死後70年 |
無名・変名の著作物 | 公表後70年(死後70年経過が明らかであれば、そのときまで) |
団体名義の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
映画の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
個人レベルで考えると相当な期間、著作物の権利が存在することになります。
国の方針として、著作権の保護に対してより厳しい姿勢を示した形です。
さらに詳しく知りたい方は文化庁の以下のページを参照ください。
① 著作物の保護期間の延長 (50年から70年に延長)
② 著作権侵害に関する犯罪の一部非親告罪化 (海賊版の販売で対価を得るなど)
③ アクセスコントロール回避に対する措置 (デジタルコンテンツを契約者以外に視聴可能にするなど)
著作物を複製、譲渡、公衆送信して不法に利益を得る行為に対しては著作者の申告は必要ない。
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複数人で著作物を制作する場合は「共同著作」
複数人で著作物を制作する場合もあります。
代表的なものとしては「共同著作」と「結合著作」です。
① 2人以上で制作したものは「共同著作」
複数人で著作物を制作した場合は「共同著作」となり、共同で著作権を管理します。
著作権法第2条1項12号
二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
共同著作として認められるには以下の要件が必要です。
- 2人以上で創作されていること
- 共同で創作していること
- 分離して利用できないこと
権利の使用にあたっては個人では決定できません。
共同著作物に関わるすべての人の合意を得る必要があります。
著作権法 第65条1項
共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下この条において「共有著作権」という。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。
著作権法 第65条2項
共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。
著作権法 第64条1項
共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない。
また、著作権の保護期間は共同著作者で最後に亡くなった人の死後70年間となります。
著作権法 第51条2項
著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第1項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。
過去に共同著作物で争った判例として「宇宙戦艦ヤマト事件」があります。
プロデューサーは具体的な指示がなかったとして共同著作者ではないと判断されています。
※ 東京地判平成14年3月25日判時1789号141頁
② 共同著作と似ている「結合著作」
共同著作に似たもので「結合著作」があります。
結合著作は結合著作と異なり、著作権法上では定義されていません。
結合著作は複数が関与するものの、独立した著作物を結合したものです。
つまり、「共同著作 = 分離できないもの」「結合著作 = 分離できるもの」になります。
例えば、歌の歌詞と楽曲のように分離が可能なものなのは結合著作になります。
また、章ごとに分離できたり、イラストと文章が分離できるような書籍も該当します。
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業務で著作物を制作する場合は「業務著作」
基本的に著作権はそれを創作した者にありますが例外もあります。
会社の業務で創作された著作物は「業務著作」として著作権は会社にあります。
著作権 第15条第1項
法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
これに関して、正社員・非正規雇用・パート・アルバイトなどの違いはありません。
ただし、制作前に従業員に帰属する旨を契約している場合は例外となります。
① 「業務著作」に必要な条件
業務著作として認められるには以下の条件が必要です。
- 法人その他使用者の発意に基づくこと
- 法人等の業務に従事する者(従業者)により作成されるものであること
- 法人等の従業者の職務上作成されるものであること
- その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること
- 契約、就業規則その他に別段の定めがないこと
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「著作権にあたらないもの」とは?
弁護士の方が著作権にあたらないものとして以下を挙げています。
著作物ではないもののうち、特にビジネスで活用されているのは「事実」「データ」「実用品のデザイン」「アイデア」「企画」です。
~SATORIA法律事務所 https://storialaw.jp/topics/3354
また、別の弁護士は以下のように列挙しています。
【著作物にあたらないものの例】
- 歴史的事実・データ
- ありふれた表現・題名・ごく短い文章
- アイデア
- 応用美術(実用品のデザインなど)
~BUSINESS LAWYER https://business.bengo4.com/practices/506
ここからわかることを整理していきます。
まずは、起きた出来事やそれに付随するものごとは著作権から除外されます。
例えば、事件や事故などのニュースに著作権がないことは簡単にわかります。
ただし、それを基にした執筆文や写真や動画には著作者に著作権が発生します。
また、データは起きた事実から発生しており著作権はありません。
例えば、「今年の夏は何℃を記録した」や「ある選手が何秒で走った」など。
ただし、データを用いて「独自に創作」されたものには著作権が発生します。
次に、アイデアや企画なども著作権からは除外されます。
ただし、アイデアが商品や登録物などの形になれば著作権が発生します。
① 短い文章は著作権とは認められない
短い文章の中に創作性を含めることは難しいです。
そのため多くの場合で著作権として認められていません。
短い文章のひとつひとつに著作権があると何も書けなくなってしまいます。
そうしたことを踏まえ、著作権が発生しないのは妥当だと思われます。
ただし、新聞の見出しとコラムや社説では別の考えもあるようです。
新聞記事の見出しであっても、コラムや社説の見出しについては、その書き手の個性が発揮されていることがあります。その場合は、見出しが著作物にあたると判断されます。
② 実用品のデザインは「意匠権」
実用品のデザインも著作権からは除外されます。
例えば、扇風機や鉛筆の形やデザインに著作権がないことはわかります。
デザインに関しては代わりに「意匠権」を取得することができます。
尚、特許庁・実用新案権・意匠権は特許庁にて申請することが可能です。
デザインは「著作権」でなく「意匠権」
デザインは特許庁に申請すれば「意匠権」が得られることで保護されます。
意匠権はコピー・類似商品を防ぐもので、製造・使用・販売を独占的に行える権利です。
ただ、「TRIPP TRAPP事件」では幼児用椅子のデザインが著作物と判断されました。
この判例により、今後は応用美術も著作物として保護される可能性がでてきました。
③ 「文字のみ」のロゴに著作権は存在しない
文字に関しては著作権で2つの考え方がありました。
ひとつめは「文字のみ」のロゴには著作権が存在しないことです。
ふたつめは「書道家の書いた書」には著作権が存在することです。
これらからわかるように単なる文字や書体には著作権はありません。
反して、芸術的な要素の入っている文字には著作権が発生します。
④ 法律など公的なものは著作権は存在しない
また、以下のように公的なものには著作権は存在しません。
法律などに著作権が発生すると社会が成り立たないので当然ですね。
- 憲法そのほかの法令(地方公共団体の条例、規則も含む。)
- 国や地方公共団体又は独立行政法人の告示、訓令、通達など
- 裁判所の判決、決定、命令など
- 1から3の翻訳物や編集物で国や地方公共団体又は独立行政法人の作成するもの
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著作物の使用に許可がいらない場合
著作物を使用するのにすべて許可をとらないといけない訳ではありません。
著作権法では以下のケースでは著作者の許可をとらず使用できるとされています。
概要 | |
---|---|
私的使用のための複製 | 私的使用のための複製(第30条) |
図書館での複製 | 図書館等における複製(第31条) 国立国会図書館法によるインターネット資料収集のための複製(第42条の3) |
引用 | 引用(第32条) |
教育機関での複製・放送 | 教科用図書等への掲載(第33条) 教科用拡大図書等の作成のための複製等(第33条の2) 学校教育番組の放送等(第34条) 教育機関における複製等(第35条) 試験問題としての複製等(第36条) |
障害者の複製・公衆送信 | 視覚障害者等のための複製等(第37条) 聴覚障害者のための自動公衆送信(第37条の2) |
非営利目的の上演等 | 営利を目的としない上演等(第38条) |
時事問題の論説・報道 | 時事問題に関する論説の転載等(第39条) 時事の事件の報道のための利用(第41条) |
裁判での複製・開示 | 裁判手続等における複製(第42条) 情報公開法等における開示のための利用(第42条の2) |
美術品の展示・複製 | 美術の著作物等の原作品の所有者による展示(第45条) 公開の美術の著作物等の利用(第46条) 美術の著作物等の展示に伴う複製(第47条) 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(第47条の2) |
インターネットサービス業の複製 | 送信の障害の防止等のための複製(第47条の5) 送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等(第47条の6) |
その他 | 放送事業者等による一時的固定(第44条) 政治上の演説等の利用(第40条) プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(第47条の3) 保守,修理等のための一時的複製(第47条の4) 情報解析のための複製等(第47条の7) 電子計算機における著作物の利用に伴う複製(第47条の8) |
※ 教育機関の複製は授業のみで予習や復習目的の授業以外は含まれない
※ 上記の「図書館」は国立国会図書館、点字図書館、大学図書館、学校図書館を指す
※ 上記の「図書館」は民間が運営する図書館は含まれない
① 「私的使用」の条件
著作権法にて「私的使用」は以下のように定められています。
著作権法30条1項 「私的使用」
個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること
著作物であってもごく限られた範囲内での使用や複製は違反になりません。
家族などで共有することまで制限するのは少し行き過ぎなので当然ですね。
② ネット上への公開は「公衆送信権」の侵害
SNSやYouTubeやブログなどネット上に公開した場合はこれに該当しません。
ネット上は「不特定多数の閲覧が可能」なため当然ながら私的使用には該当しません。
著作権法23条には以下のように「公衆送信権」があります。
ネットに無断で動画などを投稿した場合は「公衆送信侵害」の侵害に該当します。
著作権法23条 「公衆送信侵害」
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を占用する。
弁護士は違法アップロードに関して以下のようにコメントしています。
映画やテレビ番組、音楽を録画・録音して、YouTube(ユーチューブ)などの動画投稿サイトに投稿する行為も著作権侵害となります。
~ アークレスト法律事務所 https://j-jurist.com/column_37_chosakuken.html
「違法アップロード」については以下の記事で詳しく掲載していますので参照ください。
私的使用を越えた著作権侵害は「逮捕される可能性」が十分にあるので気を付けましょう。
【 年間691件の検挙 】YouTubeやSNSへの野球中継の違法アップロードの危険性
この記事には広告が含まれます 近年、野球中継や野球番組のネット投稿を多く目にするようになりました。知らないことも多いかと思うので法律に沿った形で違法アップロードについて話を進めます。&nbs...
③ 「編集・加工」したネット投稿は3つの侵害
YouTubeなどで動画を編集・加工して違法アップロードしたものをみかけます。
このような著作者に無断で編集・加工を行う行為は「同一性保持権」の侵害となります。
[ 著作権法第20条1項 ]自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利
動画をそのまま違法アップロードすると「複製権・公衆送信権」の侵害になります。
さらに編集していると「同一性保持権」の侵害も加わり、3つの著作権侵害となります。
- PCやスマホにダウンロード ➡ 複製権の侵害
- ネット上に投稿 ➡ 公衆送信権の侵害
- 素材の編集・加工 ➡ 同一性保持権の侵害
③ 海外のサーバーを経由しても日本の法律で裁かれる
「海外のサーバー経由なら違法アップロードでも大丈夫」と言われていた時期がありました。
しかし、1997年の著作権法改正でアップロードできるのは著作権者だけと定められています。
「送信可能化権」と呼ばれるもので、国内でアップロードした時点で「違法」となります。
サーバーがどの国にあったとしても、アップロードした場所が「日本」であれば違法です。
過去の判例を用いて文化庁次長の中岡司氏は以下のように答えています。
「我が国の判例で、国外に設置されたサーバを用いたサービスを通じて、権利侵害となるファイルの送信が行われていた事業において、当該サービスによるファイルの送受信の大部分が日本国内で行われていること等の事情を勘案して、当該サービスの提供について、我が国の著作権法の適用を認めたものがあると、承知しております。」
~ 文化庁次長・中岡司氏 衆議院インターネット審議中継 (丸山穂高氏質問 8:18:20~)
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「引用」する時はルールを守る
著作権法の第32条では「引用」について以下のように定めています。
[ 著作権法 第32条 ]
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
文中にある「公正な慣行に合致」とは以下の通りです。
- 引用を行う「必然性」があること
- 「引用部分」が明確になってくること
また、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」とは以下の通りです。
- 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
- 引用される分量が必要最小限度の範囲内であること
また、著作権法の第48条では第32条を補足する形で以下のように記載しています。
[ 著作権法 第48条 ]
次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
- 一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条第一項の規定により著作物を複製する場合
① 「引用」に必要な4つのルール
上記を整理すると「引用」する場合は以下の要件が求められます。
- 他人の著作物を引用する必然性がある
- 自分の著作物と引用部分が明瞭に区別されている
- 主従関係が明確である (自分の著作物が主体)
- 出所が明示されている (48条)
~文化庁 (注5) 引用における注意事項
要するに、他人のものであるとはっきり掲載しなさいということ。
引用元は明示し、カッコや枠で囲むなど自分の文章とは区別する必要があります。
そうでない場合は読者に著作者と勘違いさせるため、著作権侵害となるようです。
また、引用する必然性があることが大事になってきます。
ブログなどで見栄えのためだけに著名人の写真を貼るのは必然性にはなりません。
② 「主従関係」を明確にする
3つ目の「主従関係が明確」というのが少しわかりにくいかも知れないです。
例えば、雑誌やテレビなどでプロ野球選手のインタビュー記事があったとします。
インタビュー内容のごく一部なら使用が可能ですが、全体の大部分を占める場合はアウト。
つまり、“ほぼコピペ”のようなブログへの投稿は引用とはみなされません。
法律上では「主従関係が逆」と判断されるため、無断転載とみなされます。
引用する際には以下のような項目を記載しましょう。
- インターネットからの引用 ⇨ タイトル・投稿者・URLなど
- 書籍からの引用 ⇨ 書籍名・著者・出版年・ページ・出版社など
③ 「引用」のルールを守れていないケース
以下、引用のルールを守れていないケースの代表例を列挙します。
よくある引用のルールを守ってないケース
- 装飾のためにネット上で写真を探して”なんとなく貼っている”
- 図や写真の「引用 〇〇」と記載していれば問題がないと思っている
- 「引用 〇〇」の記載はあっても他の条件はまったく満たしていない
- テレビの映像などそもそも引用自体許されていないものを引用している
- 法律上に「引用」というルールがあることを知らない
- SNSなどでみんながやっているから特に問題は無いと思っている
「引用」と似たものに「転載」があります。
転載は他者の著作物から引用の条件を満たさない形で使用する場合です。
これは「複製」にあたるため、許可を得ていない場合は著作権侵害になります。
つまり、新聞や雑誌などにある「転載」と書かれたものは許可をとっています。
ただ、転載禁止の記載がなければ公的機関からの発表資料は許可は必要ありません。
本の表紙やカバーについても著作物にあたります。
ただし、引用のルールに従えば著作権侵害にはあたりません。
本のカバーについては、その本を紹介するため、個性を発揮して制作されており、原則として著作物にあたるといえます。
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こんな時は著作権が発生するのかしないのか
著作権が発生するのかしないのかよくわからないケースもあるかと思います。
一部ですが、以下のようによくあるケースをいくつかピックアップします。
① データをグラフ化すると「著作権が発生」
「データは著作権では無い」というのはどの弁護士の見解も共通しています。
ただし、データを活用した「創作物」について以下のようにコメントしています。
データそのものは著作物ではありませんが、データを分析や統計処理して一定の表現を加えたもの(たとえばグラフや表、説明文章など)は著作物になることです。
~SATORIA法律事務所 https://storialaw.jp/topics/3354
また、別の弁護士の方も以下のようにグラフは著作権である可能性を示しています。
客観的データを表した図表でも、そこに創作的な工夫が施されていれば著作物にあたる可能性があるので注意が必要です。
~BUSINESS LAWYER https://business.bengo4.com/practices/506
著作権に関連する書籍内においても同様の見解が示されています。
データの集合体で、選び方や並べ方に創作性があれば、編集著作物として保護されます。
~ クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。 鷹野凌(著) 福井健策(監修) P276
否定的な意見もありますが、グラフを作成する際に「独自に工夫」を加えています。
その時点で大なり小なり「著作者の思想」が加わるため「編集著作物」に該当します。
著作権法12条 「編集著作物」
編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。
② 日常で遭遇するよくある事例
ブログにネット地図を張り付けたい
Yahoo!やGoogleが提供しているネット地図は許可なくブログに使用可能です。
ただし、スクショではなく、「埋め込み機能」を利用しましょう。
※ Google マップ / Google Earth 追加利用規約
※ 地図をブログやサイトで利用する / Yahoo!地図
不動産業など「ウェブ地図」の印刷は著作権侵害
不動産の店舗に行くと「ウェブ地図」を印刷してお客に渡すことがあります。
この場合、営利目的かつ私的使用を越えるため著作権の侵害となります。
もし不動産業で印刷して渡す場合は「使用許諾契約」を結ぶ必要があります。
※ Google マップ / Google Earth 追加利用規約
※ 地図をブログやサイトで利用する / Yahoo!地図
ダンサーのダンスは著作権が発生
ダンサーが躍るダンスは「舞踏」に該当し、著作権が発生します。
ただし、ダンスの著作権は振付師がいる場合は振付師のものになります。
ダンサー本人が創作して、自ら踊る場合はダンサーのものになります。
ただし、営利目的でなければ他者が使用しても許可は必要ありません。
中古ショップやオークションなどの複製物の譲渡
複製物を誰かに譲渡する場合は著作者に許可を得る必要はありません。
「譲渡権の消尽」と呼ばれ、中古のCDや書籍やゲームなどがそれに該当します。
レンタルショップのCDのコピーは私的使用であればOK
レンタルショップのCDのコピーは私的使用の範囲であり著作権侵害にはなりません。
ただし、コピーしたものを他人に転売する行為は複製権と譲渡権の侵害となります。
他人のメール内容をSNSやブログに投稿するのは著作権侵害
個人間のメールの内容は「公表された著作物」ではありません。
つまり、公表されていないということは引用もできないため著作権侵害となります。
著作物の写り込んだ写真のネット投稿は許可は不要
写真に著作物が写り込んだ場合のネット投稿は許可は不要です。
これは「附随対象著作物」と呼び、著作物が写真のごく一部分なら問題ありません。
反対に、著作物が写真のメインとなる場合は著作者に許可をとる必要があります。
上記に関しては、録音・録画でもごく一部であれば同様の見解となります。
キャラクターをフィギュア化して販売すると著作権侵害
キャラクター自体は著作物ではないと最高裁の判例があります。
ただし、それをフィギュア化する行為は翻案権の侵害となります。
また、著作者の意に反したものであれば同一性保持権の侵害となります。
社内資料のため著作物をコピーして配布するのは著作権侵害
会社は多くの人が存在し、私的使用の範囲を越えるため複製権の侵害となります。
過去にも 「舞台装置設計図複製事件」で著作権侵害であると判決が下されました。
使用するには著作者に許可を得るか、日本複製権センターと契約を結びます。
日本複製権センターと包括許諾契約を結べば、許可は不要となります。
ただし、日本複製権センターが管理しているものに限り、その他は許可が必要です。
※ 知的財産高等裁判所 令和5年6月8日判決 令和4年 (ネ) 10106号
※ 知的財産高等裁判所 令和5年6月8日判決 令和5年 (ネ) 10008号
自炊代行業者による自炊は著作権侵害
本を裁断してスキャンする自炊は代行業者が行うと著作権侵害となります。
代行業は営利目的であり、私的利用の範囲にはならないため違法です。
ただし、自分で行う場合は私的利用の範囲なので問題ありません。
※ 東京地裁平成25年10月30日判決平成24年 (ワ) 33533号
ネットオークションや通販の写真は「私的使用の例外」
ネットオークションや通販では著作物の写真が掲載されています。
これらは私的使用の例外として著作者の許可は必要ありません(著作権法第47条の2)。
ただし、出品物の所有者であり、撮影者である必要があります。
他人が撮影したネット上の写真を用いた場合は、著作権侵害となります。
塾などでの問題集のコピーや試験問題は著作権侵害
塾などで問題集をコピーして配布することはよくあるかと思います。
学校などの教育機関であれば著作権の許可は必要ないと定められています。
ただ、塾は営利目的のためそれには該当せず、許可が必要となります。
公的な入試問題・資格試験・検定は許可は不要
公的な入試試験・資格試験・検定などは非営利目的のため許可は不要です。
ただし、営利目的でおこなっているものに関しては、許可が必要となります。
ツイートをパクるのは著作権侵害
Twitterでは他人のツイートをそのままコピーする行為が散見されます。
いわゆる「パクツイ」と呼ばれているもので、複製権と公衆送信権の侵害となります。
※ 他人のツイートをパクる「パクツイ」は違法? / All About デジタル
※ Twitterがついに「パクツイ」規制か 盗用ツイート次々「凍結」/ ねとらぼ
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著作権侵害の判定に必要なもの
著作権侵害と判断されるためには以下の2つの条件が必要となります。
- 依拠性 (いきょせい)
- 類似性
要約をすると「すでにある著作物に似ている」ということになります。
以下の判決でも依拠性について明言されています。
「著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再生することをいうと解すべきである」
① たまたまに似た著作物の場合の判断
ただ、たまたま似たような著作物ができてしまうこともあります。
日本の著作権は申請が必要ない(無方式主義)ため、そういう場合も十分あります。
その場合は以下を基準に判断されています。
- 著作物に接触する機会があったか
- 著作物が広く有名であるか
- 著作物がどちらが先なのか
- ほぼコピーに近いのかどうか
もし、争いごとを避けたい場合は「著作権登録制度」を利用します。
公開時に登録しておけば、いつ創作した著作物かを証明することができます。
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著作権侵害した場合の「罰則」と判例
もし著作権侵害で訴えられた場合は以下の罰則が発生します。
民事は個人が個人に対して、刑事は国家が個人に対して訴求されます。
刑事の場合は、その文字通り「警察」が介入する場合もあります。
著作権侵害は軽く考えがちですが、懲役刑にもなる可能性があります。
[ 民事と刑事の罰則 ]
罰則 | |
---|---|
民事 | 差し止め請求、損害賠償請求 |
刑事 | 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 ※ 著作人格権の場合は5年又は500万円、あるいはその両方 |
損害賠償請求は利益を得ているか、利益を得ていないかによって異なります。
利益を得ていれば利益を得た額を、得ていない場合は損失した額を損害額とします。
[ 侵害者が利益を得ている場合 ]
[ 著作権法第114条第1項 ]
著作権者、出版権者又は著作隣接権者が故意又は過失によりその著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、当該著作権者、出版権者又は著作隣接権者が受けた損害の額と推定する。
[ 侵害者が利益を得ていない場合 ]
[ 著作権法第114条第2項 ]
著作権者又は著作隣接権者は、故意又は過失によりその著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権又は著作隣接権の行使につき通常受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。
① 著作権侵害で損害賠償となった判例や相談例
まずは過去に画像の無断使用で裁判となった事例を検索してみました。
▼5つの裁判例
いずれのケースも特に著作権を気にせず安易にネットで拾って使用したもの。
悪気があった訳では無く、深く考えずに使用したミスから起きています。
こうして”意図的でない場合”も、相手によっては裁判となってしまいます。
規模によりますが、請求額も20~40万円の間とかなり高額です。
特に、相手がビジネスをしている場合は相手側に損害を与えた形となります。
もしそれが売り上げに影響した場合はもっと大きな額を請求される可能性も。
有料記事ではありますが、自治体が無断使用した例は毎日新聞調べで16件。
2018年11月の次点ではありますが、自治体レベルでも違反が多いことがわかります。
おそらく部署内で周知徹底されてないことで担当者が知らずに使用しています。
▼ブログに無断使用し請求された相談例
② 著作権侵害で逮捕された例
さらに、以下のように無断使用して販売した場合は逮捕されています。
▼ 写真の無断使用による販売で逮捕された例
③ WEB歴も判決に左右する
次に注目したいのは、WEB歴が判決に左右するという点です。
今回の判決が面白いのは、無断使用者の故意過失を判断するうえで、当該無断使用者がどれだけウェブに精通していたのかも判断要素に加えられているところ。
~ STORIA法律事務所 杉浦健二氏 https://storialaw.jp/blog/91
要するにWEBにどれだけ関わっているのかが判決の判断材料になるということ。
スマホも持たないパソコンもしない高齢者や子供なら無知の部分も確かにあります。
ただ、WEBに長期間触れてきた人は「知らなかった」とは判断されないようです。
ブログをしている人はすでに一般よりも多くのWEB知識を得たと判断されるはず。
CSSやHTMLを触っている人はすでに「初心者とはみなさない」可能性が高いですね。
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著作権の譲渡と放棄
著作権は譲渡したり放棄することも可能です。
①著作権の譲渡
著作権の譲渡には2種類あります。
- 包括譲渡
- 部分譲渡 (内容・場所・時間)
ただし、著作権(財産権)は譲渡できますが、著作人格権は譲渡できません。
そのため、譲渡されたあとも自由に改変ができる訳ではありません。
例えば、勝手に改変した場合は同一性保持権の侵害となります。
同時に契約がない限りは二次的著作物(関連商品等の制作)の権利も譲渡されません。
② 著作権の放棄
著作権の放棄は譲渡とは異なり、意思表示だけで契約は必要ありません。
ただし、著作人格権に関しては状況によって変わってくるようです。
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「ブログやSNSの著作権違反」のまとめ
長くなりましたが、今回調べてわかったことを羅列していきました。
かなり調べましたが、正直まだまだわからないことが多いのが本音です。
気を付けていたとしても知らないことには気付きようもありません。
調べながら無知の怖さを感じながらこの記事を投稿していきました。
法律の専門家ではないので認識違いの部分もあるかも知れません。
友人に法律の専門家がいるので1度話を聞いてみようとも思っています。
足りない内容があるかも知れませんが現時点でわかることはここまでです。
とりあえず、画像や写真はそれぞれに思い入れがあるもの。
下手に使用されると相手の負の感情が向きやすいものかなと思います。
結局、著作権侵害って交通違反とかの感覚に近いのかなと思います。
人の目が無いし、ダメだと思っててもバレなきゃ大丈夫みたいな感じで…
改めて思うことは知らない事の怖さと守るべきルールがあるということ。
個人のブログとはいえ、ひとつのメディアであることには変わらず。
より良いブログ運営のために自身も改めて過去記事を見直していきます。
※ 文章・画像の転載はご遠慮ください