【 海外から広がる 】”ソーシャルメディアボイコット”が日本スポーツ界で起きる未来

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海外ではSNS上の誹謗中傷に対するソーシャルメディアボイコットが起きています。
今回はそれら情報を整理し、今後日本でも起きうる可能性について検討していきます。

 

 

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当記事は以下の記事の詳細ページとなります。

 

英国サッカー界で起きた「ソーシャルメディアボイコット」

 

海外のスポーツリーグではSNSの誹謗中傷に対する抗議運動が起きています。
プレミアリーグで始まった運動を国際テニス協会も賛同する形となっています。

① プレミアリーグを始め多くのクラブが参加

 

2021年にイングランドサッカーで「ソーシャルメディア・ボイコット」が実施されました。
2021年4月30日から2021年5月3日の4日間行われ、多くのリーグがボイコットに参加しています。

  • イングランドサッカー協会 (FA)
  • イングリッシュ・フットボールリーグ (EFL)
  • 女子スーパーリーグ (FA WSL)
  • プレミアリーグ
  • FA女子選手権

 

また、以下の連盟や組織もこの活動に参加しています。

  • PFA (プロフェッショナル・フットボーラーズ・アソシエーション)
  • LMA (リーグ・マネージャー・アソシエーション)
  • PGMOL (プロフェッショナル・ゲーム・マッチ・オフィシャル・リミテッド)
  • Kick It Out (キック・イット・アウト)
  • 女子フットボール
  • FSA (サッカーサポーター連盟)
  • Women in Football

 

この間、試合自体は行われていますが、SNS上での告知は一切行いませんでした
文字通りSNSでの活動をボイコットすることで抗議活動の意思を示す形となりました。

参加したプレミアリーグでも公式サイトやTwitterで以下のように宣言しています。


チーフ・エグゼクティブのリチャード・マスターズ氏も以下のようにコメントを発表しました。
プレミアリーグ全体として誹謗中傷や人種差別に対して徹底的に戦っていく姿勢を示しています。

いかなる人種差別的行為も許容できず、これまで選手たちがソーシャルメディア上で受けてきたこのうえなくひどい中傷がこれからも続いていくなど言語道断である

ソーシャルメディア・ボイコットに関する声明文 / Liverpool Football Club

 

また、KICK IT OUTの公式サイト内では通報フォームも設置されました。
同時に地元警察への通報フォームも設置されており、公的・民的に対策しています。

 

その他、誹謗中傷に関する記事

 

② マンチェスター・ユナイテッドは「SEE RED」を発足

 

この活動に先立って2021年4月にマンチェスター・ユナイテッドが「SEE RED」を発足しました。
所属の黒人選手やアジア人選手への人種差別が後を絶たない状況でそれに対して抗議するものです。

 

サイト内には報告フォームを設置し、人種差別の情報をファンが報告できます。
集まった情報はソーシャルメディアに報告し、関連団体にも協力を得ながら対処していきます。

チームディレクターのリチャード・アーノルド氏は以下のようにコメントしています。
こうしたチームの動きがあることで抑止力と共に問題に対して早期に対応することが可能です。

「差別的な表現や行動を見聞きした時、ただ黙っているだけでは不十分です。立ち上がらないといけない。容認してはいけない。もし皆さんが差別を見聞きしたら、報告してもらいたい」

マンチェスター・ユナイテッド公式サイト

 

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国際テニス連盟も「ソーシャルメディア・ボイコット」

 

この活動はイングランドサッカーを越えて他種目のスポーツへも広がりを見せました。
サッカー界に限らず、多くの競技で同じ問題が発生しており賛同する声は広がってきました。

① イングランドサッカーの活動に国際テニス連盟も賛同

 

国際テニス連盟も「ソーシャルメディア・ボイコット」を実施しています。
上記のイングランドサッカー協会(ITF)に賛同したもので、実施期間は同じく4日間です。

公式サイトではデビッド・ハガディ(David Haggerty)会長が以下のようにコメントしています。

Time and again we see the devastating impact that online abuse, threats and discriminatory language has on professional athletes, coaches and officials, not only in tennis but across sport. The level of abuse individuals are forced to endure is completely unacceptable, which is why we are joining this boycott and calling on social media companies to act now to protect individuals who are merely doing their jobs.

オンライン上での誹謗中傷、脅迫、差別的な言葉が、テニスだけでなくスポーツ全体でプロのアスリート、コーチ、役員に壊滅的な影響を与えることを何度も目にします。個人が耐えざるを得ない誹謗中傷は完全に容認できず、私たちはこのボイコットに参加し、ソーシャルメディア企業には個人を保護する行動を呼びかけています。

ITF AND ITIA JOIN SOCIAL MEDIA BOYCOTT / International Tennis Federation

 

また、イングランドサッカーと同様に報告フォームを設置しました。

If you need to raise a concern or report an issue please Contact the ITIA.

懸念を提起したり、問題を報告したりする必要がある場合は、ITIAに連絡してください。

ITF AND ITIA JOIN SOCIAL MEDIA BOYCOTT / International Tennis Federation

 

② 2013年にはレベッカ・マリノ選手が誹謗中傷で引退

 

2013年にはレベッカ・マリノ選手がSNSの誹謗中傷を理由に引退しました。
その後、5年の時を経て現役復帰をしましたが、当時のことをYouTubeでも語っています(英語)。

youtube動画
参照 : Tennis Channel Live: Rebecca Marino TenniStory / Tennis Channel 【公式】

 

現在も日本人選手などへの人種差別発言が問題視されています。
テニス選手への人種差別や誹謗中傷は後を絶たず、国際テニス連盟も動き始めました。

 

 

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総合格闘技団体やクリケット団体も続々と参加

 

① 国際総合格闘技連盟(IMMAF)も参加を表明

 

国際総合格闘技連盟(IMMAF)もこの活動に賛同し参加しています。
活動時期、活動内容は他の競技と同じく2021年4月30日から2021年5月3日の4日間。

 

その中でCEOのデンサイン・ホワイト(DensignWhite)氏は以下のようにコメントしています。

There is no room for racism in sport. There needs to be a zero-tolerance approach to the abuse of athletes and participants in all its forums, including social media,

スポーツには人種差別の余地はありません。ソーシャルメディアを含むすべてのフォーラムで、アスリートと参加者の誹謗中傷に対して容認しないアプローチが必要です。

Olympic movement, IMMAF is wholly committed to racial and gender equity and wish to show our solidarity with other sports in getting behind this initiative.

オリンピック運動の価値観に沿って、IMMAFは人種とジェンダーの平等に全力で取り組んでおり、この主導権を後押しするために他のスポーツとの連帯を示したいと考えています。

~  IMMAF joins Social Media Blackout in solidarity against Racism in Sport / IMMAF

 

② クリケット団体EBCも参加を表明

 

またクリケット団体のEBC(England and Wales Cricket Board)も賛同し参加しました。
活動時期、活動内容は他の競技と同じく2021年4月30日から2021年5月3日の4日間です。

 

EBCのCEOであるトム・ハリソン(Tom Harrison)氏は以下のようにコメントしています。

As a sport, we are united in our commitment to fight racism and we will not tolerate the kind of discriminatory abuse that has become so prevalent on social media platforms.

スポーツとして、私たちは人種差別と闘うことで一致しており、ソーシャルメディアのプラットフォームで蔓延しているような差別的な罵倒を容認することはありません。

We’re proud to add our voice to all those across sport who are sending the message that more can, and must, be done to eradicate online hate.

ネット上のヘイトを根絶するために、もっと何かできるはずだし、何かしなければならないというメッセージを発信しているスポーツ界のすべての人々に、私たちの声を加えられることを誇りに思います。

Cricket to support social media boycott / EBC

 

③ プレミアシップラグビーも参加を表明

 

同様にプレミアシップラグビー(Premiership Rugby)も参加を表明しています。
今回のボイコットは始まりに過ぎず、継続的に活動していく意思も宣言しています。

 

議長のウェイン・モリス(Wayne Morris)氏は以下のようにコメントしています。
活動への参加のみならず、誹謗中傷に対する削除や報告制度を設けることも表明しました。

We are committed to making Premiership Rugby a diverse, welcoming and inclusive environment for our staff, players and fans and are delighted to join BT with this innovative campaign designed to tackle social media abuse and online hate of any kind.

私たちは、プレミアシップラグビーが、スタッフ、選手、ファンにとって、多様性に富み、歓迎され、包括的な環境であることを目指しており、ソーシャルメディアでの虐待やあらゆる種類のオンラインヘイトに対処するためのこの革新的なキャンペーンにBT社と共に参加できることを嬉しく思います。

We want to make this a proactive campaign, so following this weekend’s social media boycott, we are committing to responding, deleting, blocking or reporting hate and abuse to ensure our own social channels are safer spaces

そこで、今週末のソーシャルメディアでのボイコットに続いて、自分たちのソーシャルチャンネルがより安全な空間になるように、ヘイトや虐待への対応、削除、ブロック、報告を行うことにしました。

PREMIERSHIP RUGBY SUPPORTS BT’S DRAW THE LINE CAMPAIGN AND THE SOCIAL MEDIA BOYCOTT / Premiership Rugby

 

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日本のスポーツ界で”SNSボイコット”が起きる日も

 

SNSでの誹謗中傷は海外に限らず、日本のスポーツ界でも問題視されています。
東京オリンピックを始め、Jリーグなどでも問題となりその対応が求められています。

① 各競技で広がるSNSでの誹謗中傷

 

2021年の芸能界であった誹謗中傷の問題を発端に国内の選手たちも声をあげました。
特にJリーグではリーグやチームが積極的にSNSでの誹謗中傷対策に乗り出しています。

youtube動画
参照 : 前園真聖さんが25年前を再現「ネットいじめはサイテーだよ。カッコ悪いよ。」Jリーグ SNS誹謗中傷防止啓発映像 / Jリーグ公式チャンネル 【公式】

 

以下のように、Jリーグ所属の各クラブでも公式に注意喚起しています。
多くのチームが公式で表明することで抑止力とともに法的処置も早急に対応可能です。

 

同時に東京オリンピックでも選手への誹謗中傷が取り上げられ問題視されています。
卓球の水谷隼選手など複数の選手が声をあげ、SNS上で法的処置も辞さない姿勢を示しました。

 

その他、以下の選手がSNSを通じて誹謗中傷があったことを訴えています。
これらの声は極一部と思われ、他にも多くの選手がこうした被害を受けた可能性もあります。

  • 橋本大輝選手 (体操)
  • 村上茉愛選手 (体操)
  • 伊藤美誠選手 (卓球)
  • 五十嵐カノア選手 (サーフィン)

 

② プロ野球界でも誹謗中傷を選手が訴える

 

2021年11月21日に中日の福敬登ひろと投手がSNSの誹謗中傷に対して被害届を提出しました。
先だって行われた16日の契約更改の記者会見後にも誹謗中傷に触れて被害を訴えていました。

 

また、松坂大輔投手も引退会見で以下のように誹謗中傷に対する思いを述べました。
ネット上で叩かれることを受け入れてきたけどそれも限界になったと吐露とろしています。

これまでは叩かれたり、批判されることに対して、それを力に変えて跳ね返してやろうってやってきたけど、最後はそれに耐えられなかった。もう最後、本当に心が折れたというか、今まではエネルギーに変えられたものが…受け止めて跳ね返す力がもうなかったですね。

現役引退する松坂大輔の妻・柴田倫世への誹謗中傷「度を超えている」と球界で怒りの声 / AERA.dot

 

他にもパ・リーグの選手を中心に2020年頃より多く選手が声を上げるようになりました。
こうした選手たちの声に耳を傾け、NPB全体で対策に取り組む必要があるように思います。

 

 

③ 日本でもSNSボイコットが起きる日も

 

各競技でこうした声があがることで、少しずつ選手たちの意識も変化しています。
この流れを受けて、今後は多くの選手が声をあげる機会が増えることも考えられます。

特定の競技でSNSボイコットが起きたり、裁判が起きることもあるかも知れません。
また、JOCのような大きな団体では所属競技全体で大きな運動を起こすかも知れません。

いずれ日本版”SNSボイコット”が起きる日もくるかも知れません。
本来はそうしたことが起きない方が良いですが、ちゃんと声をあげることも大事です。

 

誹謗中傷の相談窓口

公式サイト
総務省「違法・有害情報相談センター」 https://ihaho.jp/
法務省「インターネット人権相談受付窓口」 https://www.jinken.go.jp/
厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
一般社団法人セーファーインターネット協会 https://www.saferinternet.or.jp/bullying/

 

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今回のまとめ

 

 

今回はソーシャルメディアボイコットについて解説しました。
イングランドから始まったこうした運動は今後は世界へ広がると予想されます。

SNS上での誹謗中傷や人種差別は問題視されてもなかなか後を絶ちません。
今後は誹謗中傷をした人物に対する法的処置を含め、積極的な対策が望まれます。

また、SNSなどプラットフォーム側に対する対応も必要となってきます。
ソーシャルメディアボイコットはこうした動きを起こす意思表示になってきます。

SNSが普及して歴史は浅く、まだ上手く整備されていません。
様々なアプローチで選手への誹謗中傷をなくしていくことが必要です。

 

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