【 カープ野手の高校通算本塁打 】通算40本以上の選手は「プロでも長距離砲なのか」を検証

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今回は高校通算本塁打にスポットを当てたいと思います。
高校での派手な活躍がプロ入り後にはどうなったのかを見ていきます。

 

 

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2009年以降のドラフト指名野手の高校通算本塁打

 

まずは各選手の高校通算本塁打を振り返ります。

高校通算本塁打

選手名
2009 堂林翔太 13本、庄司隼人、中村亘佑 46本
2010 磯村嘉孝
2011 菊池涼介、土生翔平、三家和真
2012 高橋大樹 43本、鈴木誠也 43本、上本崇司、下水流昂、美間優槻 28本
2013 田中広輔 38本
2014 野間峻祥、桒原樹、多田大輔 16本、松浦耕大、木村聡司
2015 船越涼太 20本、西川龍馬、青木陸 46本
2016 坂倉将吾 25本
2017 中村奨成 45本、永井敦士 47本
2018 小園海斗 38本、林晃汰 49本、中神拓都 46本、正随優弥、羽月隆太郎、大盛穂
2019 宇草孔基 、韮澤雄也 16本、石原貴規、持丸泰輝 17本、木下元秀 38本
2020 矢野雅哉 、二俣 翔一 21本

高校通算40本塁打以上は8人30本塁打以上は3人が記録しています。
40本以上を打った選手で1軍で長距離砲として活躍するのは鈴木誠也選手のみです。

① 通算40本塁打以上は「2015年以降に増加」

 

次に通算本塁打の順番に並べてみます。

高校通算本塁打の本数順

選手名
49本 林晃汰 
47本 永井敦士 
46本 中村亘佑、青木陸、中神拓都
45本 中村奨成
43本 高橋大樹、鈴木誠也 
38本 田中広輔、小園海斗、木下元秀
25本 坂倉将吾
21本 二俣 翔一
20本 船越涼太
17本 持丸泰輝
16本 多田大輔、韮澤雄也
13本 堂林翔太

 

上位に林晃汰永井敦士中村奨成青木陸選手と近年の選手が名を連ねています
また、プロ野球では長距離砲とは言えない田中広輔選手が上位にいるのも意外です。

 

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「長距離砲としての能力」によるランク分け

 

ここでは長打力を「IsoP(Isolated power)」にてランク付けしていきます。
本塁打数とはイコールの評価ではないですが、便宜上用いることにします。

過去のデータからIsoPが.220を超える選手が”いわゆる長距離砲”に属します。
ですので、ここでは基準値として.220を超えたかどうかで判断していきます。

① 1軍選手における分析

 

先ほどの手法で、2020年までに1軍で活躍した選手で算出してみました。
参考として、カッコ内にはプロ年数と1軍通算本塁打数を表示しています。

1軍成績

IsoP通算 プロ年数 / 本塁打数
堂林翔太 .126  9年 / 通算45本
田中広輔 .118 7年 / 通算59本
鈴木誠也 .244 8年 / 通算144本
坂倉将吾 .120 4年 / 通算4本
小園海斗 .108 2年 / 通算4本

 

結果、長距離砲のランクに属したのは鈴木誠也選手のみ
2016年以降、5年連続で25本塁打以上を記録し、周知の通りです。

 

② 2軍選手における分析

 

続いて、参考までに主に2軍選手にも当てはめます。

2軍成績

IsoP通算 プロ年数 / 本塁打数
中村亘佑 .066 8年 / 通算 4本
美間優槻 .158 6年 / 通算 39本
高橋大樹 .125 8年 / 通算 30本
多田大輔 .000 3年 / 通算 0本
青木陸 .028 3年 / 通算 0本
船越涼太 .074 4年 / 通算 5本
中村奨成 .100 3年 / 通算 7本
永井敦士 .086 3年 / 通算 5本
林晃汰 .162 2年 / 通算 16本
中神拓斗 .076 2年 / 通算 3本
木下元秀 .143 1年 / 通算 7本
韮澤雄也 .046 1年 / 通算 0本
持丸泰輝 .000 1年 / 通算 0本

 

林晃汰選手の.162がトップで、多くの選手が.100を切っています。
.162を1軍の選手のIsoPに当てはめると、おおよそ中距離打者に位置します。

つまり、将来的に本塁打を量産できる打者が足りていません
もちろん経験により増加することもありますが、少し物足りない結果です。

 

③ 高校通算40本塁打の現役選手たちの「プロ入り後」

 

高校通算40本塁打以上をピックアップしました。

高校通算40本以上のIsoP

IsoP 高校通算 2軍通算 1軍通算
林晃汰 .162 49本 16本
中神拓都 .076 49本 3本
永井敦士 .086 47本 2本 0本
中村亘佑 .066 46本 4本 0本
青木陸 .028 46本 0本 0本
中村奨成 .100 45本 4本 0本
高橋大樹 .125 43本 30本 1本
鈴木誠也 .244 (1軍) 43本 7本 92本

 

中村亘佑選手、青木陸選手の2選手はすでに戦力外となっています。
青木陸選手は栗原健太2世と期待されましたが2軍でも本塁打を打てず引退しました。

このように高校通算40本以上を打ってもプロでは厳しいことがわかります。
ドラフトの際の「高校通算〇〇本」という触れ込みはさほど当てにはなりません

 

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歴代カープ野手の高校通算本塁打記録

 

1990年代以降のカープ選手の歴代高校通算本塁打記録をみていきます。

歴代カープ選手のIsoP

IsoP通算 高校通算 プロ通算 打撃タイトル
鈴木将光 .000 64 0
江藤智 .236 61 364 1993年 本塁打王
1995年 本塁打王
1995年 打点王
石原慶幸 .088 57 66
岩本貴裕 .154 52 31
丸佳浩 .181 49 147
杉田勇 .000 47 0
伊与田一範 .205 45 4
兵頭秀治 .054 44 0
安部友裕 .103 39 24
栗原健太 .176 39 153
東出輝裕 .047 34 12
浅井樹 .140 34 52
嶋重宣 .171 28 126
金本知憲 .218 20 476 2004年 打点王

 

長距離砲と呼べるのは江藤智選手とぎりぎりで金本知憲選手だけ。
金本知憲選手は高校通算20本ですが、プロでは長距離砲に属しました。

歴代のカープ選手たちをみても高校通算本塁打とプロ成績は相関しません。
ここまでの通り、高校通算本塁打数は当てにならないと言って良いでしょう。

① 高校通算本塁打記録の歴代トップ14

 

次に高校通算本塁打記録トップ10をみていきます。
プロ入り出来ていない選手はグレーの文字で表示しました。

高校通算本塁打トップ14のIsoP

高校通算 プロ通算 IsoP通算
清宮幸太郎 111本 21本 .146
山本大貴 107本
黒瀬健太 97本 0本 .000
伊藤諒介 94本
中田翔 87本 257本 .194
大島裕行 86本 23本 .129
横川駿 85本
鈴木健 83本 189本 .168
中村剛也 83本 424本 .269
伊奈龍哉 74本 0本 .000
岡本和真  73本 96本 .273
高橋周平 71本 48本 .135
奥浪鏡  71本 0本 .059

 

プロ入り後も長距離砲として圧倒的に活躍した中村剛志選手
高校通算トップ10でも.220を超えるのはわずかに1人のみでした。

 

② 高校通算本塁打はプロ入り後は当てにならない

 

長距離砲の触れ込みでプロ入りしますが、プロで長距離砲となるのはわずか
この傾向は特に右打者に多く見られ、これに関しては以前にも触れています。

 

また、高校野球で図抜けることで特定の球種を苦手とすることもあります。
かつては筒香嘉智選手、村上宗隆選手、現在では清宮幸太郎、林晃汰選手など。

高校では強打者のため、球種やコースに偏りが生じてしまいます。
そのため、その環境に適応してしまい、プロ入り後に苦労することが多々あります。

そして打撃成績は対戦相手や球場の形状なども大きく影響しています。
関東や大阪のように地区によっては投手のレベルがかなり高い地域もあります。

また、練習試合も含めると学校のグラウンドの形状が影響する場合もあります。
ライトが狭いグラウンドで左打者打が本塁打を量産しているケースも耳にします。

 

同時に金属バットやトレーニングや食事の影響も大きく関係してきます。
近年の選手の本塁打数が増加しているのはこういった影響が大きいと考えられます。

ただし、高校時代は強引に本塁打を量産できてもプロで同じようにはいきません。
プロや大学や社会人に進んで、パタッと通用しなくなる選手が多いのは事実でしょう。

 

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今回のまとめ

 

今回は高校通算本塁打数とプロでの活躍をまとめてみました。
毎年、「高校通算〇〇本!」「〇〇2世!」と期待されながらプロ入りします。

ただ、プロ入りできても、大半の選手が中距離打者になっていきます。
長距離砲のまま成長し続けた江藤智選手や鈴木誠也選手が稀なケースと言えます。

バットの違いや投手の違いなど様々な理由が存在します。
スイングメカニズムも問題がプロレベルでは誤魔化しきれなくなったりもします。

高校通算本塁打数は一見華やかな数字で、注目を浴びるのも事実です。
ただ、そこにプロで通用するものを伴っていなければ過去の栄光に過ぎません。

今年も各球団に長距離砲候補として入団した選手たちがいます。
数年後、1軍の主軸として活躍する姿を楽しみに成長を期待しています。

 

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