【 床田寛樹投手の2019年 】10勝をあげるための課題は「ランナー無しでの被本塁打」

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2019年はローテーション投手の一角を担った床田寛樹投手。
今回はその投球の課題の特徴と2020年かける取り組みについて紹介していきます。

 

2019年の床田寛樹投手の被打率と被本塁打

 

① カープ先発陣のランナー有無での被打率

 

カープ先発陣のランナーの有無での被打率は以下の通りです。
アドゥワ誠投手はランナーを背負う場面だとよく打たれています
逆に床田寛樹投手はランナーを背負う場面でよく抑えています

基本的にアドゥワ投手以外はランナー無しの方が打たれる傾向にあるようです。
やはりランナーの有無で平均値を見るとクリス・ジョンソン投手が優秀ですね。
イニング数が若干少ないですが、チームNo.1の先発投手と言って良いでしょう。

図1 カープ先発陣のランナー有無の被打率

 

② カープ先発陣のランナー有無での被本塁打

 

続いて、ランナーの有無での被本塁打をみていきましょう。
一目瞭然ですが、床田投手のランナー無しでの被本塁打が顕著に突出。
他の投手に比べて、異常な高確率でランナー無しの場面で打たれています

逆にランナーを背負うと先発陣の中で最も打たれていません。
こうしてみると、床田投手の投球内容の特徴がひとつわかってきます

図2 カープ先発陣のランナー有無の被打率

 

③ ランナーがいない場面では強打される

 

ランナーがいない場面では以下の2つの特徴があります。

  • 強い当たりの打球を打たれる
  • ゴロが減って、ライナー性の打球が増える
  • 打球方向が引っ張り方向にシフト
  • フライに対する本塁打の割合が増加

この2つは連動することなので当然と言えば当然です。
強い当たりが増えるとライナー性の打球が増えると当たり前の現象です。

また、打球が引っ張り方向にシフトすればライナー性も多くなります。
ランナー無しの状況では長打を打たれやすい状況にあるようです。

 

床田寛樹投手のカウント別での被本塁打

 

次にカウント別での被本塁打をみていきましょう。
0ストライクよりも追い込んでからの方が多く打たれています。
そして、その中でもカウント2-2、3-2がそのほとんどを占めてます。

浅いカウントよりも深いカウントで打たれる傾向が強い。
カウントが積み重なったあとの投球に課題があることがわかります。
もしかしたら苦し紛れに不用意なボールがいってるのかも知れません。

図3 床田寛樹投手のカウント別の被本塁打

 

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交流戦での被本塁打が多い

 

その他のデータを追っていくと以下のような特徴がわかります。

  • 左右別での被本塁打率は大きな差はない
  • 交流戦で被本塁打率が顕著に増加

 

交流戦の被本塁打率が高い原因として6月14日の楽天戦が影響しています。
この日は自己最多の5本塁打を打たれ、1回2/3を7失点で降板しています。

球速も3球しか140キロを超えず、本来の投球は全くみられませんでした。
この楽天戦での1試合の投球内容が、交流戦で被本塁打率が増加した原因です。

その試合を差っ引いて考えた場合、そこまで顕著な数字ではありません。
他のソフトバンク戦で5回1/3で1本、ロッテ戦で6回で0本と打たれていません。

 

ちなみにカープで1試合に5本塁打を浴びたのは以下の投手たち。

意外にもメンバーに黒田博樹投手の名前もありました。
ニューヨーク・ヤンキースのエースになった投手も経験してきたようですね。

 

2019年に苦手とした坂本勇人選手と筒香嘉智選手

 

2019年に床田寛樹投手が最も苦手としたのが以下の2人。

  • 坂本勇人  打率 .400 出塁率 .538 2本塁打
  • 筒香嘉智  打率 .333 出塁率 .529 2本塁打

 

ただ、幸いと言って良いのか筒香嘉智選手はMLBに移籍しました。
床田寛樹投手にとっては「天敵」と言える存在がひとりいなくなりました

そうなると、残るひとりの坂本勇人選手の対策が必要となってきます。
ただ、巨人に関しては坂本選手以外の主軸との対戦成績もよくありません。
岡本和真選手にはよく打たれ、丸佳浩選手は高い出塁率を残しています

そう考えた場合、巨人の2~4番の3人の対策が必要になってきます。
実際、巨人戦の防御率がセ・リーグで最も悪い3.74を記録しています。
常時出場し、最も打席の多い3選手をどう抑えるかがポイントとなります。

 

体力不足の改善も必要

 

本人も2019年は体力不足だったと以下のように度々口にしています。

「シーズン中は疲労感が抜けない時期があるなど、体力不足だった。」
「試合中盤で点を失うことも多かった。」

~ 中国新聞 2019年11月7日

「ローテを守りながら途中で疲れが出てきて、練習メニューもこなせなかった。」

~ スポニチ 2019年10月24日

 

確かに春先に比べて、夏場前から球威を失い打たれる姿もみられるように。
9月19日の規定投球回をかけた最後の登板も打ち込まれて5回1/3を5失点で降板。

8月以降は2勝に終わり、10勝までの最後の追い込みがかけられませんでした。
また、6回に打たれる場面が目立ち、6回の被打率が最も高くなっています

1試合の中、シーズンを通して、ともに体力面での不安があったのは事実。
とはいえ、肘の手術から復帰して1年を通してシーズンを過ごしたのは初めて
離脱する1年目も登板したのは春先だけと考えると仕方ない面はあります。

 

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大瀬良大地投手の自主トレに参加

 

このオフシーズンはいくつか新たなことにもチャレンジ。
体力面の不安から体脂肪の減少ウエイトトレーニングも積極的に取り組んだようです。
また、対左打者対策のため変化球のレベルアップにも着手する姿もみられました。

そして大瀬良大地投手に誘われて自主トレにも初めて参加。
ハードなランニングメニューだったようで以下のようにコメントしています。

「めちゃくちゃ走りました。大瀬良さんは昭和タイプ。根性論的な感じの人で、妥協は一切なかった。すごく勉強できた」

広島床田、目標設定も黒田氏から「正直レベル低い」/ 日刊スポーツ

 

20年間いない日本人左投手の二桁投手 (10勝以上)

 

カープの日本人左投手の先発で10勝以上をあげたのは以下の投手です。
ここでは1990年代以降の左投手の先発にしぼりピックアップしました。

 

見ての通り、2001年の高橋健投手を最後に10勝以上の先発左腕でがいません
12球団を見渡しても、ここまで先発左腕が勝ててないチームも皆無だと思います。

先発で期待された戸田隆矢投手、中村恭平投手も先発では活躍できませんでした。
その後、中村恭平投手は中継ぎで活躍し、戸田隆矢投手は2軍生活が続きます。

それだけカープにとっては先発左腕の台頭が望まれた状況でした。
そんな中、その可能性を秘めた床田投手の出現は希望とも言えます。

 

今回のまとめ

 

今回は2019年の床田寛樹投手の話を中心に進めてきました。
ランナー無しの場面での被本塁打の多さがとても目立ちました。

打者に強い打球を打たれる傾向にあり改善が必要です。
体力的な面での課題もみられ、疲労による球威不足も露呈。
2020年に向けていくつかの課題がみれたように思います。

ただ、全体の防御率からいくともう少し勝っていてもおかしくありません。
良い投球をしてても、勝ちがつかない試合もいくつかありました。
そういった試合も拾っていければ10勝をあげることも可能かと思います。

手術後という面、初のフルシーズンという面から見れば十分な活躍。
高橋健投手以来、日本人左腕の先発投手が不在が長く続いたカープ。
そう考えると、床田寛樹投手の台頭は待ちに待ったものだったように思います。

2020年は実質「2年目」のようなシーズンとなります。
2年目のジンクスを吹き飛ばし、10勝以上の活躍を期待しています。

 

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