【 プロ野球の誹謗中傷問題 】楽天、ソフトバンク、巨人、DeNAなどが”法的措置”を示唆

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プロ野球界も選手などへの誹謗中傷が問題視され始めました。
今回は球団から発表された事例からプロ野球の誹謗中傷について検討していきます。

選べる目次
  1. 立て続けにソフトバンク、巨人、DeNAが警告
    1. ① ソフトバンクは2020年10月にもTwitterで警告
    2. ② 楽天は2020年7月にTwitterと公式サイトで警告
    3. ③ 2022年8月には阪神もTwitterと公式サイトで警告
    4. ④ 2022年10月にソフトバンクが3度目の警告へ
    5. ⑤ 2023年4月にDeNAが2度目の警告へ
    6. ⑥ プロ野球球団の誹謗中傷に対する公式発表
  2. 福敬登選手は被害届、前田健太投手も法的措置へ
    1. ① 2021年11月に中日の福敬登投手が被害届を提出
    2. ② 松坂大輔投手も誹謗中傷について引退会見でコメント
    3. ③ 誹謗中傷に対して声を上げ始める選手たち
    4. ④ MLBの前田健太投手も誹謗中傷で法的措置へ
    5. ⑤ 2023年にはDeNAのエスコバー投手も被害を訴える
  3. Jリーグでも誹謗中傷が問題に
    1. ① ヴィッセル神戸がSNSガイドラインを策定
    2. ② Jリーグが誹謗中傷防止を映像配信で呼びかけ
  4. 東京オリンピックでは誹謗中傷が問題に
    1. ① JOCが”誹謗中傷監視チーム”を設置
  5. 誹謗中傷とは?批判との違いは?
    1. ① 誹謗中傷と批判の違い
    2. ② 根拠や事実があっても誹謗中傷に
  6. 誹謗中傷の罰則について
    1. ① 誹謗中傷による罰則
    2. ③ 和解ができても「和解金100万円」を支払うことに
    3. ④ 誹謗中傷の”リツイート”や”いいね”で損害賠償請求に
  7. 法改正で誹謗中傷の「投稿者の特定」が容易に
    1. ① 法改正でIPアドレスの開示請求が容易に
    2. ② Twitter社など日本法人登記で開示請求が容易に
    3. ③ 誹謗中傷がスポーツ界全体の問題に
    4. ④ 公的機関による誹謗中傷の相談先
  8. 今回のまとめ

 

 

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立て続けにソフトバンク、巨人、DeNAが警告

 

2021年4月22日以降、3球団が続けて公式Twitterで誹謗中傷の警告を行いました。
昨今、誹謗中傷が社会問題とされる中、プロ野球もその対策を講じ始めています。

ソフトバンクホークスからの警告

 

読売ジャイアンツからの警告

 

DeNAベイスターズからの警告 

 

① ソフトバンクは2020年10月にもTwitterで警告

 

調べてみると、ソフトバンクは2020年10月16日にも警告していたようです。
今回改めて警告したということは、警告後も誹謗中傷が止まらなかったのでしょう。

ソフトバンクホークスから2度目の警告 

 

② 楽天は2020年7月にTwitterと公式サイトで警告

 

楽天は2020年7月に特定の選手に対する誹謗中傷を受けTwitterで警告しました。

楽天からの警告 


同時に公式サイトにも「SNSガイドライン」を掲載しました。

SNSガイドライン (禁止事項)

球団、及び選手、スタッフ、職員、参加ユーザー、その他第三者に対する誹謗中傷行為と受け取られる行為、不利益・損害等を与える行為、その危険性が予見できる行為・投稿。

投稿内容に法的な責任が発生すると判断した場合、投稿者の調査および特定、警察への届け出等の措置を行う場合がございます。

楽天ゴールデンイーグルス公式サイト

 

 

③ 2022年8月には阪神もTwitterと公式サイトで警告

 

2022年8月には青柳晃洋投手に対する誹謗中傷が表面化。
それを受けて球団から正式に誹謗中傷に対する警告が発表されました。

以前より、阪神ファンから「球団が警告すべき」との指摘もありました。
今回、選手本人からの声もあがったこともあり球団も動く状況となっています。

阪神タイガースからの警告

 

④ 2022年10月にソフトバンクが3度目の警告へ

 

ソフトバンクは警告後も誹謗中傷は止まず、2022年10月に3度目の警告を実施。
優勝をかけた試合で投げた投手に対する誹謗中傷がTwitter上に出たことで球団が問題視。

前回よりも強い意志を見せ、専門家との法的措置の検討も開始したとのこと。
“検討”だけに収まらず、今後の抑止力のためにも法的措置を取って対処する時期にきています。

ソフトバンクホークスから3度目の警告 

 

⑤ 2023年4月にDeNAが2度目の警告へ

 

2023年4月3日にはDeNAが2度目の警告を実施。
後述する投手や家族に対する誹謗中傷や人種差別を受けたものと思われます。

冒頭に記述した2021年5月6日の警告後もこうした行為がなくなりません。
前回同様、状況により法的措置をとる旨も表記しており本格的な対策も必要です。

DeNAからの2度目の警告

 

⑥ プロ野球球団の誹謗中傷に対する公式発表

 

確認したところ、Twitter上で正式に警告があったのは5球団のみでした。
また、公式サイトへの記載が3球団、Twitterプロフィールへの記載が2球団です。

セ・リーグ

ツイートでの警告 公式プラットフォームへの記載
カープ 公式Twitterなし
巨人 2021/4/23に公式Twitterで警告 公式サイトのSNSガイドラインに記載
DeNA 2021/5/6に公式Twitterで警告
ヤクルト
阪神 2022/8/25に公式Twitterで警告 公式サイトのSNSガイドラインに記載
球団ニュースに掲載
中日 公式Twitterのプロフィールに記載
(法的措置の記載なし)

パ・リーグ

ツイートでの警告 公式プラットフォームへの記載
ソフトバンク 2020/10/16に公式Twitterで警告
2021/4/22に公式Twitterで警告
2022/10/4に公式Twitterで警告
西武
楽天 2020/7/29に公式Twitterで警告 公式サイトのSNSガイドラインに記載
ロッテ
日本ハム 公式Twitterのプロフィールに記載
(法的措置の記載なし)
オリックス

 

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福敬登選手は被害届、前田健太投手も法的措置へ

 

2020年にはSNS上の誹謗中傷が社会問題となり、メディアで大きく取り上げられました。
それに伴って、黙っていたプロ野球選手も誹謗中傷に対して声をあげるようになっています。

① 2021年11月に中日の福敬登投手が被害届を提出

 

2021年11月21日に中日の福敬登ひろと投手がSNSの誹謗中傷に対して被害届を提出しました。
先だって行われた16日の契約更改の記者会見後にも誹謗中傷に触れて被害を訴えました。

 

その後、2022年3月22日に侮辱容疑で関東地方に住む40代男性を書類送検
今回の書類送検によりプロ野球選手に対する誹謗中傷対策の一歩となりました。

 

② 松坂大輔投手も誹謗中傷について引退会見でコメント

 

2021年に引退した松坂大輔投手も誹謗中傷に苦しんでいたことを引退会見で吐露とろしています。
本人だけでなく家族に対しての誹謗中傷もあったようで「もう心が折れた」と訴えていました。

これまでは叩かれたり、批判されることに対して、それを力に変えて跳ね返してやろうってやってきたけど、最後はそれに耐えられなかった。もう最後、本当に心が折れたというか、今まではエネルギーに変えられたものが…受け止めて跳ね返す力がもうなかったですね。

現役引退する松坂大輔の妻・柴田倫世への誹謗中傷「度を超えている」と球界で怒りの声 / AERA.dot

 

③ 誹謗中傷に対して声を上げ始める選手たち

 

上記の福敬登投手と松坂大輔投手以外にも複数の選手が声を上げ始めています。
こうした声は2020年からみられるようになり、メディアで被害を訴えるようになりました。

以前からプロ野球選手は球場のヤジなども含め誹謗中傷の対象となりやすい存在でした。
昨今はSNSで選手に直接誹謗中傷が届くようになり、選手の訴えは今後も増えていくでしょう。

同時に、こうした選手たちの声に球団側も積極的にバックアップが必要となります。
選手個人で戦うことのないようにNPB全体で対策をしていく必要もあるかと思います。

 

④ MLBの前田健太投手も誹謗中傷で法的措置へ

 

2022年4月20日に前田健太投手も誹謗中傷に対して法的措置をとったと公表。
家族に対する誹謗中傷は数年前よりあったようで、今回の措置に踏み切ったとようです。

すでに裁判所から情報開示請求が行われ、誹謗中傷の投稿者を特定。
誓約書を交わして損害賠償を支払うことで和解し、被害届けは出さないとのこと。

確かにカープ在籍時から家族に対するコメントをネット上で目にしました。
こうして選手が意思表示することで少しずつでも変わるきっかけになればと思います。

 

 

⑤ 2023年にはDeNAのエスコバー投手も被害を訴える

 

2023年4月にはDeNAのエドウィン・エスコバー投手も被害に。
自身のSNSを通じて家族への侮辱や人種差別があったことを報告しています。

過去数年に渡り、プロ野球選手への誹謗中傷が問題となってきました。
しかし、2023年になってもSNSを使った選手への誹謗中傷は止まりません。

 

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Jリーグでも誹謗中傷が問題に

 

サッカー界でもSNSなどでの誹謗中傷が問題となっています。
ここではJリーグの事例と対策に向けた活動を紹介していきます。

① ヴィッセル神戸がSNSガイドラインを策定

 

2021年5月7日にヴィッセル神戸がSNSガイドラインの制定を発表しました。

SNSガイドライン (禁止事項)

クラブ及び選手、スタッフ、ユーザー、その他第三者に対する誹謗中傷行為と受け取られる行為、不利益・損害等を与える行為、またはその危険性が予見できる行為・投稿。

投稿内容に法的な責任が発生すると判断した場合、投稿者の調査および特定、警察への届け出等の措置を行う場合がございます。

ヴィッセル神戸公式サイト

 

楽天が発表した文面とほぼ同じ文面なのはお気づきかと思います。
ヴィッセル神戸は2014年12月から楽天株式会社が全株式を取得したためです。

ヴィッセル神戸においても関係者に対する差別発言や誹謗中傷があるとのこと。
中には見逃すこともできないような記述もあったようで法的措置も検討するようです。

 

② Jリーグが誹謗中傷防止を映像配信で呼びかけ

 

チームだけでなくJリーグ全体として誹謗中傷防止に取り組んでいます。
その一環として、元Jリーガーの前園真聖氏を起用して映像を使い呼びかけています。

youtube動画
参照 : 前園真聖さんが25年前を再現「ネットいじめはサイテーだよ。カッコ悪いよ。」Jリーグ SNS誹謗中傷防止啓発映像 / Jリーグ公式チャンネル 【公式】

 

その他、Jリーグ所属の各クラブでも公式に注意喚起しています。

 

また、観戦マナー&ルールの中でも差別的・侮辱的発言を禁じています
プロ野球に比べてJリーグは組織としてしっかり対応している様子がみてとれます。

youtube動画
参照 : JFA・Jリーグ観戦マナー&ルール / Jリーグ公式チャンネル 【公式】

 

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東京オリンピックでは誹謗中傷が問題に

 

また、2021年の東京オリンピックに向けても動きが見られました。
こうして様々な競技で誹謗中傷に関する問題が浮き彫りとなっています。

① JOCが”誹謗中傷監視チーム”を設置

 

日本オリンピック委員会(JOC)も五輪選手への誹謗中傷を問題視しています。
昨今のスポーツ選手に対するSNSでの誹謗中傷をJOCも危惧しているようです。

Twitter社などと連携することで監視体勢に入るとのこと。
こうして事前に対策に取り組む動きもみられるようになりました。

 

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誹謗中傷とは?批判との違いは?

 

改めて、そもそも「誹謗中傷」の定義とはなんでしょうか。

誹謗中傷とは、根拠のない悪口を言いふらして他人の名誉を損なう行いのことである。「誹謗」は「人の悪口を言う」ことであり、「中傷」は「根拠のない内容で人を貶める」ことである。

新語時事用語辞典 (weblio辞典内)

 

調べると少し文章が違うものもありましたが、おおむねこのような内容です。
つまり、根拠なく悪意を持って人を傷つけるといった発言を指しています。

① 誹謗中傷と批判の違い

 

似た言葉として「批判」があり、誹謗中傷との違いについては以下となっています。

「批判」は善悪や正誤を見定めた上で指摘することであり、必ずしも悪意が含まれるとは限らない。他方、「誹謗中傷」は相手を貶めるという悪意が先行し、悪意によって行われる所業である。

新語時事用語辞典 (weblio辞典内)

 

2つの違いの焦点としては以下があげられます。

  • 悪意が含まれているか否か
  • 正当な根拠が存在するか否か

 

② 根拠や事実があっても誹謗中傷に

 

ただ、根拠さえあれば何を言っても良いかと言えばそうではないと思います。
たとえば、打てていない選手に対して、以下のような発言があったとします。

JEY(ジェイ)JEY(ジェイ)
打てないならもう野球辞めろ、ボ〇!
少しは頭使って野球しろよ、マジで〇えろ。

〇の部分は伏せさせてもらいますが、おのおので想像して下さい。
このような場合は、“打てていない事実”があっても誹謗中傷になるでしょう。

打てていないという”事実の部分”と”誹謗中傷の部分”が混在しています。
このように根拠や事実さえあれば、何でもありという訳ではありません。

 

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誹謗中傷の罰則について

 

ここからは誹謗中傷による罰則について解説していきます。
誹謗中傷で決まった罰則はなく、状況によって変わるようです

① 誹謗中傷による罰則

 

では、実際に誹謗中傷の場合どんな罰則があるのでしょうか。
一般的に罰則として挙げられているものは以下の3つになってきます。

脅迫罪 (きょうはくざい)

 

脅迫罪の概要と罰則は以下の通りです。

[ 刑法222条 ]

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

名誉棄損罪 (めいよきそんざい)

 

名誉棄損罪の概要と罰則は以下の通りです。

[ 刑法第230条 ]

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければならない。

侮辱罪 (ぶじょくざい)

 

侮辱罪の概要と罰則は以下の通りです。

[ 刑法231条 ]

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

上記の通り、脅迫罪と名誉棄損罪は罰則として重いものです。
反面、侮辱罪に関しては罰則が”かなり軽い”ことが問題視され続けてきました。

そのため、社会的背景も踏まえて令和4年7月に侮辱罪の法定刑の引き上げを実施。
公訴時効時間も1年から3年に延長されたことで、摘発される例が増加する見込みです。

誹謗中傷に用いる罰則

法定刑 公訴時効期間
脅迫罪 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 (刑法222条) 7年
名誉棄損罪 3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金 (刑法230条) 3年
侮辱罪 1年以下の懲役か禁錮、または30万円以下の罰金 3年

 

※ 改正前の侮辱罪の法定刑は「拘留(1日以上30日未満)、または科料(1000円以上1万円未満)」、「公訴時効期間1年」

 

③ 和解ができても「和解金100万円」を支払うことに

 

もちろん裁判になる前に和解するという手段もあります。
ただ、和解と言えども和解金は必要で、小説家・医師である知念氏によると「相場は100万円」

実際に複数の件で弁護士に相談し、実際に和解したり開示請求している経験からのお話です。
おそらく誹謗中傷に関する裁判に詳しい弁護士が就き、その方から聞いて決めたのだと思います。

 

④ 誹謗中傷の”リツイート”や”いいね”で損害賠償請求に

 

SNS上の誹謗中傷はそれを投稿した人だけの問題ではありません。
場合によっては誹謗中傷をリツイートした人も訴えられる可能性はあります。

実際に過去には誹謗中傷のリツイートで裁判となり、損害賠償が命じられています。
これは誹謗中傷をリツイートで拡散することで名誉棄損を助長したことによるものです。

リツイートによる損害賠償事例

裁判例 損害賠償額
橋下徹氏による裁判 (2020年) 平成30(ワ)1593 損害賠償請求事件 33万円の支払い命令
伊藤詩織氏による裁判 (2021年) 令和2(ワ)20792 損害賠償請求事件 33万円の支払い命令

リツイートによる過去の裁判例

 

また、2022年10月20日には「いいね」を押した例でも裁判に。
結果、過去の発言など悪意のあるものであったとし55万円の賠償を命じました。

youtube動画
参照 : 【最新】伊藤詩織さんが“逆転勝訴” 自民・杉田議員が中傷ツイートに繰り返し「いいね」 / 日テレNEWS

 

原告の伊藤詩織さんはインタビューで以下のようにコメントしました。
今回の裁判でリツイートする人たちにも責任が伴うべきという思いを語っています。

「シェアしたり、いいね!することも誹謗中傷に加担していることになる、その責任はあるんだと、今回示したかったんです」(伊藤さん)

【伊藤詩織さんインタビュー】漫画家はすみとしこ氏らを提訴。SNSの誹謗中傷など70万件を分析 /  Business Insider Japan

 

以上のように、誹謗中傷を直接書き込んでいなくても損害賠償の対象となります。
こうした判例を積み上げることで、”誹謗中傷の拡散”の抑止となるかも知れません。

 

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法改正で誹謗中傷の「投稿者の特定」が容易に

 

罰則を強化しても誹謗中傷した人物がわからなければ意味がありません。
そのため、誹謗中傷をした”人物の特定”に関しても法改正が進んできています。

① 法改正でIPアドレスの開示請求が容易に

 

2022年10月1日にプロバイダ責任制限法が改正されています。
これにより”インターネットの住所”であるIPアドレスの開示が容易になりました。

これまではSNS会社と通信事業者に対し2つの裁判を行い、開示を行ってきました。
法改正により裁判所に申し立てを行うことで、裁判所が判断して開示命令を行います。

以前は1年以上かかった開示が改正後は数か月まで短縮されます。
同時に、通信記録が削除されないようデータ保持の指示も可能となりました。

以下のように、総務省のTwitterでも本件について警告しています。
昨今の誹謗中傷を問題視して、国を挙げて誹謗中傷への対策を開始しました。

 

② Twitter社など日本法人登記で開示請求が容易に

 

2022年に海外に本社を置く企業の日本国内での法人登記が義務化されました。
大手プラットフォームの7月7日Google社が、7月11日にMicrosoft社が日本で法人登記。

誹謗中傷で主に問題視されていた8月末にTwitter社も法人登記
これにより開示請求を海外の会社に請求する必要はなくなり、国内で請求可能に。

結果、裁判までの時間がかからなくなり、書類等も日本語で提出が可能に。
法的手続きが速やかになったことで誹謗中傷による裁判が増えると思われます。

 

③ 誹謗中傷がスポーツ界全体の問題に

 

スポーツは勝敗が絡むため、みる側も熱が入りやすい特徴があります。
そのため、誹謗中傷の対象になりやすく、以前から問題視されていました。

プロ野球に関しては昭和からその対象であったのは確かでしょう。
以前は球場で選手とファンが喧嘩するような場面もよくみられました。

SNSがない時代には誹謗中傷も球場内で収まる問題でした。
しかし、現在はSNSを通して球団や選手が直接目にするようになりました。

反面、ネット上に投稿することは”データ”として記録されます。
つまり、投稿自体を削除しても証拠は残り、裁判も起こしやすい状況です。

実際に2018年にはプロ野球の奥さんに対する誹謗中傷で裁判が行われています。
今後はこういった裁判はプロ野球界でも散見されるようになるかも知れません。

 

④ 公的機関による誹謗中傷の相談先

 

国では総務省、法務省、厚生労働省が相談窓口を設置しています。
ただ、基本的に本人のみのようなので、選手の場合はまず所属先に相談しましょう。

公式サイト
総務省「違法・有害情報相談センター」 https://ihaho.jp/
法務省「インターネット人権相談受付窓口」 https://www.jinken.go.jp/
厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
一般社団法人セーファーインターネット協会 https://www.saferinternet.or.jp/bullying/

 

 

合わせて読んで深く理解しよう

 

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今回のまとめ

 

今回はプロ野球の誹謗中傷問題について解説しました。
近年は誹謗中傷が社会問題となり、国会でも取り上げられています。

プロ野球は昔から誹謗中傷の対象となりやすかった印象です。
ファンも応援に熱が入りやすく、ついキツイ表現になってしまいます。

しかし、現在はSNSで選手本人や家族も目にする機会が増えました。
以前のように球場でのヤジや家庭や知人に話すのとは異なっています。

誹謗中傷は内容によっては重い罰則が待っています。
野球ファンとしてルールを守りながら応援しましょう。

 

合わせて読んで深く理解しよう

 

 

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