【 改善しない盗塁成功率 】”プロ野球界を代表する盗塁王”が出現しないカープの現状

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さて今回は、カープの伝統である走塁面はどうだろう?のお話です。
特に走塁の中でも、「盗塁」に着目して話を進めてみようと思います。

 

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2016~2018年のセ・リーグ球団の盗塁数

 

2016~2018年のチーム盗塁数を振り返ってみます。

2016年 2017年 2018年
カープ 118 112 95
ヤクルト 82 50 68
巨人 62 56 61
DeNA 71 39 67
中日 108 77 61
阪神 54 70 77

 

カープの盗塁数は3年連続でリーグ最多を記録しています。
しかし、中日とともに年々盗塁数が減少していく傾向にあります。
12球団でみると、西武・ロッテ・日本ハム・オリックスに次ぐ5位に位置。

逆に、阪神は割合としては大きくないですが増加傾向にあります。
DeNAは年度によりチーム盗塁数の変動が極端なようですね。

 

① 2018年のカープ野手個人の盗塁記録

 

2018年の個人の盗塁記録に関するデータを振り返ってみます。

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率 (順位)
田中広輔 43 32 11 .744 (15)
野間峻祥 26 17 9 .654 (19)
丸佳浩 20 10 10 .500
菊池涼介 12 10 2 .833
安部友裕 8 7 1 .875
上本崇司 8 6 2 .750
西川龍馬 8 5 3 .625

 

これを見てわかる通る、トップ2人の成功率が低いのが現状です。
盗塁死をみると田中広輔選手は11、野間峻祥選手は9を記録しています。
また、田中広輔選手の盗塁死は12球団でワースト2位、野間峻祥選手はワースト4位

盗塁数上位20人の成功率は田中広輔選手は15位、野間峻祥選手は19位。
残念ながら、カープの場合は盗塁が有効な攻撃手段とは言えない数字を示しています。

 

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② 2014~2018年以降の田中広輔選手の盗塁成功率

 

田中広輔選手の入団した2014年以降を振り返ります。

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率 (順位)
2014 13 10 3 .769
2015 13 6 7 .462
2016 47 28 19 .596 (19)
2017 48 35 13 .729 (15)
2018 43 32 11 .744 (15)

 

2014~2015年は盗塁数自体が少ないので参考値程度とします。
2017年はセリーグ盗塁王を獲得しましたが、成功率は高いとは言えません。
先ほどと同じく、12球団の盗塁数上位20人でみると15位に位置しています。

ただ、年々成功率は上がってきているのは良い傾向です。
毎年盗塁王争いができるレベルになるには.800は最低限必要です。

 

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④ 2015~2016年の野間選手の盗塁成功率

 

野間選手の入団した2015年からを振り返ります。

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率 (順位)
2015 10 8 2 .800
2016 2 1 1 .500
2017 15 10 5 .667
2018 26 17 9 .654 (19)

 

2015~2016年は数自体が少ないので参考値程度とします。
2017年以降をみると、共に.660前後とかなり低い成功率です。

 

⑤ 西川遥輝選手の驚異的な盗塁成功率

 

では、12球団でトップ3をみてみます。
ここでは30盗塁以上の選手のみをピックアップしました。

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率
2015 47 44 3 .936
2016 37 33 4 .892
2017 42 34 8 .810

 

やはり、西川遥輝選手は異次元な数字をたたき出しています。
両リーグ最多の44盗塁を記録して、失敗はわずかに3しかありません。

同様に、山田哲人選手もあと一歩で.900に届く成功率を記録。
打撃面・守備面での貢献度も含め、さすが3度のトリプルスリー達成者です。

源田壮亮選手は2017・2018年と盗塁数は多いですが、2人よりも失敗が多い
盗塁王になかなか手が届かないのは、こういう面にも現れています。

 

⑥ 「足が速い=盗塁が上手い」ではない

 

カープの走力を牽引する2人の成功率は良くないのが現状です。
改めて、「足が速い選手=盗塁成功率が高い選手」とは言えません

「よーいドン」でスタートし、ベースを駆け抜けるのなら「=」かも知れません。
ただ、スタートやスライディングなどの技術も必要であり単純なものでもありません。

足が速い選手に期待しがちですが、それは複数ある必要な要素の中の1つです。
事実、さほど足が速いと言えない選手が盗塁成功率が高かったりすることもあります。

 

カープの歴代盗塁王たちの盗塁成功率

 

近代野球として2010年以降の盗塁王に限定します。
該当する期間には2010年に梵選手、2013年に丸選手が獲得しています。

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率
梵英心 (2010) 57 43 14 .754 (12)
丸佳浩 (2013) 44 29 15 .659 (20)
田中広輔 (2017) 48 35 13 .729 (15)

 

梵英心選手、丸佳浩選手ともに失敗が15前後あり成功率が低いですね。
前述のように田中広輔選手も合わせてみてみると2人と同様な傾向がみられます。

ただ、必ずしも成功率が高くないと盗塁王を取れない訳ではありません
盗塁王は「盗塁数の積み上げ」によるものなので「率」と要素とは関係ありません。

極端な話をすると、どれだけ失敗しても走りまくれば高い確率で盗塁王になれます
より”盗塁の価値”をあげようと考えた場合には「率」にこだわる必要があります。

 

① 高い盗塁成功率を記録した赤松真人選手

 

カープの代走と言って思い出すのは赤松真人選手。
阪神から移籍してきた2008年移行の数字を振り返ってみます。

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率
2008 14 12 2 .857
2009 21 14 7 .667
2010 24 20 4 .833
2011 23 19 4 .826
2012 20 18 2 .900
2013 16 12 4 .750
2014 17 12 5 .705
2015 9 6 3 .666
2016 14 12 2 .857

 

盗塁数こそ多くないですが、2008、2010~2012、2016年の成功率は突出しています。
特に2010~2012年の3年間は、フル出場ができれば盗塁王を取れる成功率を記録しました。

ただ、野間峻祥選手が入団した2015年からは一軍での出場機会が減少傾向にあります。
とはいえ、ピーク時にはカープでもトップクラスの盗塁技術を有していたのは確か

 

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② 1990年代の盗塁王たちの「盗塁成功率」

 

1990年代のカープの盗塁王といえば野村謙二郎選手と緒方孝市選手。
ここでは2人の盗塁関連のデータから盗塁成功率を振り返っていきます。

[ 野村謙二郎 ]

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率
1990 56 33 23 .589
1991 36 31 5 .861
1994 51 37 14 .725

[ 緒方孝市 ]

盗塁企図 盗塁数 盗塁死 盗塁成功率
1995 54 47 7 .870
1996 60 50 10 .833
1997 58 49 9 .844

 

野村謙二郎選手は成功率が安定せず、良い時と悪い時の差が激しいのが特徴。
反対に、緒方孝市選手は盗塁王を獲得した年は安定して.830以上を記録しました。

当時は自分も子供でしたが、走れば成功していたイメージが強く残っています。
ヤクルトの古田敦也捕手が緒方孝市選手の盗塁を嫌がっていたのも覚えています。
1990年以降で「カープ歴代No.1の盗塁王」は緒方孝市選手で間違いありません。

 

③ 若手選手で盗塁を期待できるのは小園海斗選手

 

次世代のレギュラー候補と言えば西川龍馬選手と坂倉将吾選手。
ただ、両選手ともに盗塁面での大きな貢献はあまり期待はできません

坂倉将吾選手は2017年に2軍で13盗塁しており、走れない訳でもないようです。
しかし、積極的に走り、20盗塁や30盗塁する選手ではないのは確かでしょう。

そうなると、やはり期待がかかるのは小園海選手。
50メートルを5秒8で走る俊足で、プロの実戦でも盗塁を決めています。

また、4秒を切ればプロでも速いと言われている一塁到達タイムも3秒78を記録
基礎的な条件は整っているので、あとはプロの技術が付けば盗塁王も十分可能です。

 

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今回のまとめ

 

今回は盗塁成功率を中心に話を進めてきました。
田中広輔選手と野間峻祥選手の成功率の物足りなさが気になります。

過去のカープ盗塁王をみてもあまり成功率は高くないのも確か。
そんな中で緒方孝市選手の成功率はやはり群を抜いていました。

盗塁を失敗することは特定の機会損失にも繋がります。
既存の選手たちの盗塁技術の向上が必要となってきます。

俊足の選手が多いのもカープのドラフト戦略のひとつ。
プロ野球を代表するカープの盗塁王が出現することを期待しています。

 

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