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以前はよく見かけたプロ野球界のスイッチヒッター。
今回は現在のスイッチヒッターとそれに関するデータを紹介していきます。
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プロ野球のスイッチヒッターたち
今回は外国人と投手は除外し、野手のみをピックアップしました。
スイッチヒッターの現役選手
選手 | |
---|---|
巨人 | 若林晃弘 |
中日 | 加藤翔平 (引退発表) |
阪神 | 植田海 |
ソフトバンク | 仲田慶介 |
西武 | 金子侑司 (引退発表) |
日本ハム | 阿部和広 (育成) |
楽天 | 田中和基 |
オリックス | 佐野晧大 |
2024年開幕時点ではセ・リーグはパ・リーグに比べて少ない状況です。
近年はパ・リーグの方が多い傾向ですが、少しずつその差も小さくなってきています。
顔ぶれを見るとレギュラーとして複数年活躍したのは金子侑司選手のみ。
田中和基選手も2018年にブレイクしましたが、以降は不本意な成績が続いています。
- 2020年 三家和真選手 (ロッテ)
- 2021年 藤井淳志選手 (中日)
- 2022年 杉谷拳士選手 (日本ハム)
- 2022年 宮田輝星選手 (日本ハム)
追記
2023年オフに川野涼多選手が右打者に専念すると発表しました。
追記
金子侑司選手と加藤翔平選手が2024年で引退すること発表しました
① 球団別にみたスイッチヒッターの在籍数
2024年は複数人が在籍する球団はゼロとなりました。
西武は川野涼多選手が右打者に専念すると発表したことで金子侑司選手のみに。
2023年に続き、カープ・ヤクルト・DeNA・ロッテは0。
年々、減少していく傾向にあり、現存する選手が退団するとゼロになる状況です。
球団別のスイッチヒッター在籍人数
球団 | |
---|---|
1人在籍 | 巨人・中日・阪神・ソフトバンク・楽天・オリックス・日本ハム・西武 |
0人在籍 | カープ・ヤクルト・DeNA・ロッテ |
② 2024年新人選手のスイッチヒッターは1人
2023-2024年ドラフト会議で指名された選手でスイッチヒッターはゼロ。
アマチュアレベルでもスイッチヒッターを探すのが難しい時代となっています。
新規の選手が増えない中、毎年のように引退する選手がいます。
この状態が続くと、数年後には片手で数える程度の人数となることが予想できます。
外部記事
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スイッチヒッター転向後に元に戻す選手も多い
一般的にスイッチヒッターの利点としてあげられるのは以下の通りです。
- 右対右、左対左の対戦を避けられる
- 右打ちが左打ちもすることで内野安打となりやすい
- 体の左右のバランスが取れてケガをしにくい
近年では外に逃げるスライダー系の球を決め球に使う投手が増えました。
そのため、逃げる球を避けるために転向するケースもあったように思います。
とはいえ、本当にそれが有効かというと近年の成功事例は少ない印象です。
事実、転向したとしても大きく成績を伸ばした選手がいないのも現状でしょう。
むしろ、スイッチヒッターに転向しても元に戻すケースが目立ちます。
例えば、DeNAの大和選手、阪神の江越大賀選手、上本崇司選手などです。
プロ入り後にスイッチヒッターに転向して成功することは少なくなっています。
昔は「結果が出るまで猛練習」という風潮でしたが現代ではそれも無くなりました。
最後の「ケガの減少」に関してはなんとも言えないかなと思います。
というのも、スイッチヒッターに転向する時点で練習量自体は当然増えます。
また、いくら左右で振っても同じように振るわけでもありません。
多くの場合でスイングメカニズムは左右で異なり、効果があるのか不明です。
体の左右差ならコンディショニングをしっかり取り組めばカバーできます。
そもそも、体の左右差にこだわる必要があるのか?も考えなければいけません。
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① 大和選手の「対左右投手」の打撃成績
大和選手がスイッチヒッターに転向したのは2017年。
記録をみると確かに前年の2016年の対右投手の打率が.200と低迷。
そして、転向した2017年には打率が.270を超えて大きく改善しました。
成績だけをみると、スイッチヒッター転向に成功したと言えるでしょう。
しかし、2018年にスイッチヒッターを辞め、再び打率は.220台に低迷。
翌年の2019年も対右投手の打率は.216と十分な打率は残せませんでした。
結果がでたにも関わらず、なぜスイッチヒッターを辞めたのかと疑問です。
その点について、本人はメディアを通じて以下のようにコメントしています。
「右でいきます。限界でした。キャンプ中も自分の納得する打球もなく、なんとなくヒットが出ている感じでした。」
このように、結果よりも感覚的にしっくりこなかったことが大きいかったようです。
移籍1年目の開幕から打撃不振で結果を出せず、何かを変えたかったことも考えられます。
2018年開幕6試合 打率 .148 14打数2安打
ただ、開幕直後でもあり、打席数の少なさを考えるとそこまで深刻ではないとも言えます。
やはり左打ちに対して何か「ひっかかるもの」があったことが大きかったように思います。
また、大和選手本人のInstagramでは以下のようにコメントしています。
一部メディアで「やらされた」というニュアンスで報道されたことに対しての配慮でした。
「スイッチは勧められ自分の意思で始めてしっかりと教えて頂き感謝しています!今回は自分で限界を感じ自分の意思で辞めようと思いました。自分の野球人生でとてもいい経験ができました。」
② スイッチヒッターを辞める選手は実は多い
大和選手のようにスイッチヒッターを辞める選手も多く見られます。
スイッチヒッターを辞めた選手
スイッチヒッターの期間 | 在籍状況 | |
---|---|---|
石川雄洋 | 2006年8月~2007年 | 2020年引退 |
福田秀平 | 2007年~2010年 ※高校➂~ | 現役 |
熊代聖人 | 2011年オフ~2013年3月 | 2022年引退 |
菊池涼介 | 2013年11月~不明 | 現役 |
大和 | 2017年~2018年4月 | 現役 |
上本崇司 | 2014年秋季キャンプ~2019年シーズン中 | 現役 |
江越大賀 | 2017年秋季キャンプ~2018年3月 | 現役 |
熊谷敬宥 | 2018年 | 現役 |
狩野行寿 | 2018年 | 2019年引退 |
吉川大幾 | 2012~2016年7月 | 2020年引退 |
姫野優也 | 2016~2019年 | 現役 |
大和選手以外の選手は辞めた理由を以下のようにコメントしています。
上本崇司選手
「ある程度、バットが振れるけど、そこから先にいかない。キャンプ中も自分の納得する打球もなく、なんとなくヒットが出ている感じでした。」
江越大賀選手
「無駄ではなかった。1軍クラスの投手(を打つこと)は厳しいと思ったので。」
熊谷敬宥選手
「悩みましたが、自分がどうやったら(プロの世界で)生きていけるかと考えた時に、右に集中した方が自分のためになると思った。」
佐野晧大選手
「ファームでは左でも手応えがあったけど、1軍では打てなかった。(投手で入団し)プロになって6年。右打席1本で生きていくと決めました。」
姫野優也選手
「(両打ちで)4年間やってきて、今年芽が出なかった。今年は右で結構打っていたので、来年は右一本で勝負したいなと薄々、思っていた。来年も両打ちをやってダメでクビになったら後悔する。」
※ 姫野優也選手は2021年に投手に転向
いずれも1軍レベルでは厳しい、感覚的にしっくりこないなどの理由で辞めています。
ある程度の年齢になってスイッチヒッターに変更するのは1軍レベルでは難しいようです。
③ 1度辞めてスイッチヒッターに戻した選手たち
逆に一旦は辞めて、再びスイッチヒッターに戻した選手もいます。
スイッチヒッターを辞めた期間
スイッチヒッターを辞めた期間 | |
---|---|
藤井淳志 | 2007~2008年 |
金子侑司 | 2014~2014年の5月下旬 |
佐野晧大 | 2019年秋季キャンプ~2020年9月 |
藤井淳志選手は2007年から右打席に専念するも、結果は振るわず。
結果、2008年オフのドミニカのウィンターリーグから元に戻したようです。
また金子侑司選手は2014年開幕から伊原春樹監督の方針で左打ちに専念。
しかし、極度の打撃不振から打撃コーチに申し出て、元に戻しています。
佐野晧大選手も2019年秋季キャンプから右打ちに専念。
しかし、右打席専念では結果を残せず、1年弱で再びスイッチヒッターに挑戦します。
スイッチヒッターに転向しても結果が出ず、元に戻す選手もいれば。
3人のようにスイッチヒッターを辞めて結果が出ず、元に戻す選手もいます。
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④ スイッチヒッターに転向した時期
これまでに出てきた選手がいつスイッチヒッターに転向したのかを分けていきます。
選手名の右横の数字は学年またはプロ入り年数を示し、記載のないものは不明です。
アマチュア時代
スイッチヒッター転向の時期 | |
---|---|
小学生 | 若林晃弘・金子侑司 |
中学生 | 杉谷拳士 ②・加藤翔平 ①・三家和真 ②・田中和基 |
大学生 | 藤井淳志 ③ |
プロ野球入り後
スイッチヒッター転向の時期 | |
---|---|
高卒入団 | 植田海 ➁・姫野優也 ①・佐野晧大 ➃ |
大卒入団 | 菊池涼介 ➁・大和 ⑨・上本崇司 ➁・江越大賀 ➂・熊谷敬宥 ➀ |
独立リーグ入団 | 西森将司 ① (1年目25歳) |
プロ入り後を見ると全員に共通していることとして「俊足」と「右打ち」の2つです。
ただ、姫野優也選手は俊足と言われていますが、公開されている50mのタイムは6.2秒。
これをプロレベルで俊足と呼ぶかは怪しいですが、その他の選手はいずれも5秒台。
基本的に俊足選手に左打ちを加えることで活路を見出そうと取り組んだことがわかります。
⑤ 「野球界のセオリー」が必ずしも当てはまらない
野球界では右投手対右打者、左投手対左打者は打者が不利とされています。
そのため、スイッチヒッターはどちらも回避できることが有利とされています。
確かに、上記のような理由で上手くいくこともあるのも事実だと思います。
しかし、実際にはセオリーの真逆もいたり、どちらも苦にしない選手もいます。
左打者だけど左投手が打ちやすい、成績が良い打者は結構存在しています。
そうなると、スイッチヒッター転向の利点もあまり無いようにも思います。
転向するにも、メリットとデメリットを踏まえる必要もあるかと思います。
以前のように単純な対戦形式の姿も少しずつ消えていくのかも知れません。
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スイッチヒッターに関する予備知識
最後にスイッチヒッターに関する予備知識について触れていきます。
隠れスイッチヒッター、バットの使い分け、長距離砲候補がテーマです。
① 「隠れスイッチヒッター」だった嶺井博希選手
スイッチヒッター登録するも右打席しか立っていないのが嶺井博希選手。
入団した2014~2016年の3年間はスイッチヒッターとして登録されていました。
しかし、1軍では1度も左打席に立つことはなく、右打者登録に変更されたようです。
ただ、過去にインタビューで以下のように答えており、2軍では左打席に立ったかも知れません。
「プロ入り後はほとんど右だったんですけどね。でもルール上はどちらでもいいそうなので、左打席に立つことがあるかもしれません(笑)」
② 左右の打席でバットを変えるスイッチヒッター
選手の中には左右の打席でバットを変える選手もいます。
- 藤井淳志選手
- 加藤翔平選手
どう使い分けるかは選手によって異なるので一概には言えません。
その選手の感覚や打撃スタイルによって選ぶバットは当然変わってきます。
全く逆の意識だったりもしますし、バットもそれに応じた形になってきます。
もちろん、左右どちらかの打席の選手でも使い分けをすることはあります。
また、シーズン中に重さや長さを変更してみたりするのが現実のようです。
そう考えると左右の打席で変えるのもさほど不思議ではないかも知れません。
③ 田中和基選手は「長距離砲スイッチヒッター」候補
現在のスイッチヒッターで長打力が期待出来るのは田中和基選手のみ。
2018年には生え抜き選手最多の18本塁打を打ち、2年目で新人王にも輝きました。
シーズンオフには日米野球で侍ジャパンにも選出されて、飛躍の1年となりました。
しかし、2019年は3月に右足首捻挫、4月には左手三角骨骨折が判明。
その影響もあり、右打席は封印することになり、「左打者」として出場することに。
結果、59試合で打率 .188、本塁打1本と本来の力は発揮できずシーズンを終えました。
トリプルスリーとまではいかなくても、.280、24本、30盗塁くらいは残せそう。
ひとまずケガ無く1年間レギュラーで出場することを目標に覚醒を期待したい選手です。
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今回のまとめ
今回はプロ野球界のスイッチヒッターについて話を進めてきました。
近年では主力として活躍する選手もほとんど目にすることが無くなりました。
スイッチヒッター転向後に上手くいかないケースも多いのも事実です。
また、野球に対する考え方自体が変化してきたこともその背景にあります。
成功率やその効果、また練習環境など様々な理由から減少傾向にあります。
ただ、スイッチヒッターのスター選手が登場すると少し変化するかも知れません。
時代は平成から令和に変わり、野球自体も変化していきます。
個人的にはスイッチヒッターのスター選手の登場を密かに期待しています。
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