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左腕不足の中、30歳で覚醒の予感を見せている中村恭平投手。
今回は覚醒に導いた球種、特にストレートについて検討していきます。
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2015-2019年シーズンの成績
2015年から2019年シーズンのここまでの成績を振り返ります。
成績 | |
---|---|
2015 | 1試合 ( 3回1/3) 0勝1敗 10.80 |
2016 | 8試合 (35回) 1勝1敗 5.40 |
2017 | – 登板無し – |
2018 | 8試合 (14回1/3) 0勝1敗 7.54 |
2019 (6/15時点) |
17試合 (21回1/3) 0勝0敗 0.84 |
期待されながらも、2018年まで不本意なシーズンを送ってきた中村恭平投手。
しかし、2019年はここまでは好成績を収め、左の中継ぎとして活躍しています。
覚醒につながった「ストレート」
まずは、2015年以降の各球種の平均球速を振り返ります。
投げている全ての球種で2018年よりも球速がアップしています。
ストレートは特に顕著で2018年と比較して6.9km/hもアップ。
元々、140キロ後半を投げる速球派でしたが、近年は140キロ前後まで低下。
制球を気にするがために、明らかに球威不足な感が否めない状態でした。
図1 各球種の平均球速
① 持ち球の投球割合の変化
次に各球種の投球割合をみていきます。
2015年はストレートの割合を抑え、スライダーを中心に投げています。
また、2016年はスプリットを増やし、2017年はシンカーが増加。
持ち味だったはずのストレートは過去3年間は50%を切る状況でした。
しかし、2019年はストレートの割合を70%近くまで大幅に増やしています。
スプリットとシンカーは激減し、ストレートとスライダーが投球の中心に。
図2 各球種の投球割合
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② ストレートの「得点増減」が大幅に改善
次に、球種による得点増減をみていきます。
過去3年間に関しては、ストレートは機能していなかったことがわかる。
2019年は一転して、圧倒的な「武器」にまで改善を遂げました。
ストレートとの相乗効果か、スライダーも機能するようになっています。
図3 各球種の得点増減
2019年は「打球特性」が大きく改善
次に、打球の強度と方向をみていきます。
2015年は強い打球を打たれ、引っ張られる打球も増加しました。
2019年になると強い打球を打たれにくくなり、引っ張られる打球は減少。
圧倒的なストレートの球威を獲得することで打球特性も大きく変化しました。
図4 打球強度
図5 打球方向
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球質の改善により「投球内容」も変化
最後に空振り、奪三振、四球の割合をみていきます
2019年になり空振りと奪三振が増加し、四球が減少しています。
特に奪三振に関しては、2018年比の倍以上と顕著な増加を見せている。
打球を前に飛ばさせず、加えて四球も出さない。
中継ぎ投手として理想的とも言える投球内容をみせています。
図6 空振り、奪三振、四球の割合
大きく変わった2つの要因
本人のコメントからオフにウエイトトレーニング取り組んだ話がありました。
以前もチャレンジした時期がありましたが、改めて本気で再チャレンジ。
明らかに体は大きくなり、「華奢な投手」というイメージからは一新。
特に上半身のトレーニングを増やし、覚醒の要因の1つとなったようです。
また、個人的に思う点として明らかにフォームが改善したことにあります。
以前の制球を気にしながらの投球とは「全く別人」と言っても過言ではありません。
明らかに投球に必要な体の動きができるようになり、球速アップの要因となっています。
著作権の関係上、分析した動画や画像は掲載できないですが大きな変化を見せています。
左の中継ぎで活躍した菊地原毅投手コーチの存在も大きかった可能性もあります。
同コーチはオリックス時代には最多ホールドを記録しタイトルを獲得しています。
2019年6月9日の登板では自己最速の155キロを記録しました。
まだまだ自己記録を更新する可能性があるので今後に期待しましょう。
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今回のまとめ
今回は中村恭平投手のストレートを中心に述べてきました。
ストレートの圧倒的な球威を得たことで覚醒へと繋がりました。
長年不足していた左の中継ぎも外国人投手とともに一気に埋まる状況に。
先発にも床田寛樹投手が加わり、少しずつ左腕の台頭が見られ始めています。
過去のシーズンでは多くの登板を経験してきてはいません。
夏場を迎え、プロ入り後、初めての長いシーズンを過ごすことになります。
バテる時期も来るでしょうが、最後まで1軍に帯同することを期待します。
チームにとっても「良い誤算」だった中村恭平投手の覚醒。
日本人の左の中継ぎの中心としてフル回転の活躍に期待しましょう。
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