この記事には広告が含まれます
外野の中心を担うセンターという大事なポジション。
球界を代表するセンターたちから、カープの課題を検討していきます。
– Sponsored by Google –
一流のセンターたちからひも解くカギ
12球団のトップクラスのセンターたちを特徴をみていきます。
2014年以降、センターの守備で球界トップを記録した選手をピックアップしました。
守備の総合値の内訳は肩・守備範囲・エラーで分類しています。
現在はショートを守る大和選手の2014年の数字は圧巻。
この年はゴールデングラブ賞も受賞し、内外野で高水準の守備を誇る選手。
また、大島洋平選手も短期間で2度も球界トップを記録しました。
毎年安定した守備力を発揮し、セ・リーグを代表するセンターと言えます。
そして、特徴的なのは個々のグラフの多くを占めるのが『守備範囲』。
つまり、守備範囲をいかに高く保てるかが優秀なセンターのカギとなります。
図1 2014年以降のセンター守備力のトップ選手
① 12球団を代表するセンターたち
続いて、2018年の規定守備イニング到達者のみピックアップしてみます。
やはり、上位に位置する選手の守備範囲は広く、下位の選手は狭くなっています。
例外として、柳田悠岐選手は狭い守備を『強肩』で補った形となっています。
ちなみに、2018年の丸佳浩選手はケガの影響もあり、数値が大きく落ち込んだ。
図2 2018年の規定守備イニング到達者の守備力
続いて、2019年の規定守備イニング到達者もピックアップします。
西浦颯大選手や丸佳浩選手のように上位でも守備範囲の狭い選手が存在します。
2019年の特徴として、例年に比べ総合値が全体的に低めです。
そのため、守備範囲の広い神里和毅選手が1人突出した形になっています。
図3 2019年の規定守備イニング到達者の守備力
② 守備範囲の広さとスピードは必ずしも関係しない
疑問になるのは『守備範囲の広さとスピードは関係するのか』という点。
そこで、先ほどの選手たちの守備範囲とスピードの関係をみていきます。
ここではスピードの基準として、6以上を「スピードのある選手」とします。
2018年の上位をみると、スピードのある選手は守備範囲も広い傾向です。
ただ、柳田悠岐選手や荻野貴司選手などスピードはあるが狭い選手もいます。
逆に、スピードがない選手で守備範囲の広い選手はいません。
少なくとも、守備範囲の広い選手の多くはスピードを持っていることになります。
図4 2018年のセンターの守備範囲とスピードの関係
2019年はスピードがある選手でも守備範囲が狭い選手が多くなりました。
該当者は以下の選手です。
- 近本光司選手
- 荻野貴司選手
- 大島洋平選手
- 野間峻祥選手
- 西川龍馬選手
例年はプラスを記録する大島洋平選手と西川龍馬選手がなぜかマイナスを記録。
理由はよくわからないですが、2019年は2人に少し変化が起きているようです。
2018年も踏まえ、守備範囲とスピードは必ずしも関係しないようです。
ただ、スピードのない選手に守備範囲の広い選手はいないのも事実でした。
図5 2019年のセンターの守備範囲とスピードの関係
③ なぜか広がらない荻野貴司選手の守備範囲
2018年と2019年のデータで、共に荻野貴司選手の守備範囲が狭くなりました。
2014年以降の各年を見ても、やはり守備範囲が広い選手とは言えない数値です。
荻野貴司選手と言えば、盗塁を多く記録し、スピードのある選手の印象。
特に2010年は46試合で21盗塁を記録し、その姿は今でも鮮明に残っています。
ケガがなければおそらく盗塁王を獲っただろうという鮮烈なデビューでした。
なぜ守備範囲が狭いのか滅多にロッテの試合を見ないのでわかりません。
その原因を今予測することは困難ですが、機会があれば分析したいですね。
図6 荻野貴司選手の守備範囲とスピードの関係
④ 野間峻祥選手も「荻野貴司選手タイプ」
野間峻祥選手も荻野貴司選手と同様のタイプと言えます。
つまり、球界トップクラスのスピードでありながら守備範囲が広くありません。
改めて、スピードがあるからといって守備範囲が広い訳ではないのがわかる。
守備範囲の広さは単純な足の速さとは別の要素が存在することを示唆しています。
図8 野間峻祥選手の守備範囲とスピードの関係
– Sponsored by Google –
なぜスピードスターの守備範囲が狭いのか
なぜスピードがありながら、守備範囲が狭いのだろうか。
現在思いつく理由として、以下が考えられる。
- 打球の予測
- 適切な打球判断によるスタート
- 打者別の打球データの把握
- 球場ごと異なるの特性の把握
- レフト・ライトの守備能力の把握
- 適切な捕球体制
- 打球落下地点への適切なルート
- ギリギリのプレイが可能な可動域
- 距離感などを把握する眼の能力
- 身体運動に影響しない平衡感覚
- 瞬発的な動物的感性
- 躊躇しない勇気
他にもあるとは思いますが、いずれも大事な要素であります。
個々で何が原因かは判断しないといけないが、何かかが影響しています。
① 盗塁にも守備範囲と同じことが言える
今回の話は盗塁にも同じことが言えると思う。
盗塁も足が速いからといって成功するものではない。
スピードは盗塁や守備範囲にとっては大きな武器である。
ただ、それは1つの要素であり、それだけで成功する訳ではない。
その他の要素と複雑に絡まりながら、総合的にパフォーマンスとして現れる。
例えば、山田哲人選手が毎年トップクラスの盗塁数を記録する。
しかし、セ・リーグトップクラスの俊足かと言えばそこまででもない。
それ以外の盗塁技術が素晴らしく、高い盗塁パフォーマンスを維持している。
盗塁死も少なく、かつ盗塁数も多い「コスパ」の良い盗塁をする代表選手である。
② 先入観を排除する
どうしても俊足だと「守備が上手い」「盗塁が上手い」と思いがちだ。
ただ、実際はそのアドバンテージを生かす技術の部分が大事になる。
50m何秒の選手と野球中継でもよく紹介される。
それは単に50mを真っ直ぐ走るだけの数字で野球とは異なる。
また、多くがストップウォッチで手動で測っているため誤差が生じやすい。
多くの場合、MAXを公開しているので、常時そのタイムという訳でもない。
野球の場合は外部への反応や走路など様々な判断が必要となる。
その部分で課題が大きいと足の速さを一気にかき消してしまう。
そういった意味で「足が速いから…」という単純な思い込みは良くない。
先程も述べた通り、足が速いのは単純なアドバンテージに過ぎない。
③ 必要となる『最適なバランス』
球界トップクラスの足があるが、技術的な部分で乏しいA選手。
球界トップクラスではないがまずまずの足と高い技術のあるB選手。
両者を比べた場合、間違いなく後者の方が良い数字を残すだろう。
何かに突出することも大切だが、『最適なバランス』の方が大切だ。
その『最適なバランス』をどう作り上げるかは選手の力量が試される。
足が速いことは大きな武器、それを何を補ってどう生かすのか。
「良い食材をどう調理するのか」という料理と同じようなものである。
– Sponsored by Google –
今回のまとめ
今回は12球団のセンターの守備範囲ついて述べてきた。
やはりセンターの守備評価として守備範囲の要素は大きい。
現状、カープには守備範囲の広いセンターが存在しない
得点に左右する大事なポジションのため改善したいところである。
打撃もあって守備力もある選手の補強は現実的には難しいだろう。
ただ、絶対数が欠けている状況をつくっていることは課題でもある。
広い守備範囲を誇った丸選手のいた2018年までのカープ。
再び球界を代表するセンターとなるよう新たな戦力の台頭に期待したい。
他にも記事を読みたい
※ 文章・画像の転載はご遠慮ください