開幕から不調が続き、先日2軍落ちが決まった中﨑翔太投手。
今回は過去の登板も振り返り、中崎投手に起きていることを検討していきます。
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球種全体の質の低下
まずは、主な球種の平均球速と得点への関与をみていきます。
ストレートの平均球速は過去3年に比較して低下したのがわかります。
また、得点への関与は全ての球種において、マイナスに転じました。
主に投げている3つの球種が全て通用していないという厳しい状況です。
図1 主な球種の平均球速
図2 主な球種の得点への関与
投球内容にも大きな変化
次に奪三振、四球、被本塁打、被安打をみていきます。
三振率は年々減少傾向にあり、四球率は年々増加傾向です。
また、被本塁打率と被安打率は2018年から急増しているのがよくわかります。
奪三振、四球、被本塁打、被安打、ここで挙げた全ての項目で悪化しました。
図3 奪三振率と四球率の変化
図4 被本塁打率の変化
図5 被安打率の変化
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増えるフライとライナーの打球
次に打球の種類をみていきます。
3連覇中の割合にはほとんど差がないと言って良いでしょう。
2019年はゴロの打球は減少し、フライとライナーは増加しました。
被本塁打率の増加も含め、長打になりやすくなっているのがわかります。
図6 打球の種類
フル回転だった過去4年間
次に抑えになった2015年以降の登板数をみていきます。
抑えになって以降の4年間の登板数は、最多が69試合で、平均で64.25試合。
チームの3連覇もあり、まさに「フル回転」と言える登板数となっている。
図7 抑えになった2015年以降の登板数
ここでは過去4年間通じてリリーフを担った3投手に絞りました。
一岡竜司投手は2017-2018年にフル回転、今村猛投手は2016-2017年にフル回転。
中﨑翔太投手は4年間通してフル回転し、いかに負担がかかったかがわかります。
図8 主なリリーフ投手の登板数の比較
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連覇が招いた“勤続疲労”、”登板過多”
実際に登板過多や勤続疲労を決定的に判断するのは難しいところです。
登板試合数、投球回、投球間隔、球数、ポジション、ランナーの有無、優勝争いなど。
様々な要素が絡んだ結果、最終的に判断しないといけないでしょう。
また、故障歴、コンディショニングなど個人の要素も含めるとさらに複雑になります。
とはいえ、チーム内で見た場合、明らかな負担がかかっていたのは間違いありません。
リーグ3連覇という大きな負担がかかる中、毎年フル回転を果たしてきました。
下位チームの抑え投手とは精神的な負担も違って当然でしょう。
また、同じ登板試合数や投球回数でも全く疲労も異なります。
そして、プレーオフでの登板も加えると、明らかな負担は容易に判断できます。
悪化傾向は2018年から始まっていた
不調の兆しは2018年から始まっていました。
主な球種の得点への関与(図2)と被本塁打率と被安打の変化(図4・5)からもわかります。
ストレートとツーシームは悪化し、本塁打や安打をよく打たれ始めています。
グラフを見てわかる通り、その悪化の程度が顕著だったことがわかるでしょう。
専門的になりますが、奪三振、四球、被本塁打、被安打による2つの指標をみていきます。
実際に、2018年には2019年の数字に迫るところまで悪化してきています。
また、2016年と2017年を比較しても2017年が悪化しています。
投球内容が年々悪化しつつあったのが中﨑翔太投手の現実でしょう。
図9 奪三振、四球、被本塁打、被安打による2つの指標
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チームとして対策できていたのか?
リリーフでは2018年でジェイ・ジャクソン投手が退団しました。
代わりに、カイル・レグナルト投手が加わり、十分な働きを見せています。
また、福井優也投手を放出し、菊池保則投手を獲得し補強を図りました。
外国人枠の関係でヘルウェル投手は現実的に登録できません。
さらに、オフの時点でアドゥワ誠投手の先発転向も決まっていました。
菊池保則選手を加えたとはいえ、リリーフ陣の弱化は明らか。
その他、目立った補強は無く、2019年シーズンを迎えることに。
今村猛投手はキャンプから2軍調整、中田廉投手もほぼ2軍暮らし。
登板過多気味の一岡投手もここ数試合は打ち込まれている現状。
島内颯一郎投手、遠藤淳志投手が奮闘はしているが層の薄い状況にあります。
ただ、良い意味の「計算外」として中村恭平投手が覚醒したのは幸いでした。
いずれにせよ、層の薄いリリーフ陣であることは否めません。
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希望していた「先発転向」
以前から、本人は先発転向を希望していました。
リリーフ投手で長年活躍出来る投手が少ないことからとのこと。
また、故障により消えていく投手も多く、登板過多を懸念。
地元番組のインタビューでその件について話していたこともあります。
実際、2017年のオフにもその希望を公表しています。
しかし、2019年キャンプは一岡竜司投手と中﨑翔太投手以外は先発調節の指令。
事実上、先発候補からは外されて、本人の希望は通りませんでした。
振り返ると、3年目の2013年は先発で11試合登板しています。
入団してしばらくの間は先発候補としてチームに期待されていました。
2019年には実らなかったが、先発への思いはあっただろうと思います。
今回のまとめ
今回は中﨑投手の投球内容を中心に述べてきました。
この数年、登板過多と言えるほどチームに貢献しています。
特に2018年から顕著に悪化傾向を示し、2019年は2軍落ちに。
チームも配慮しただろうが、明らかに投球の質は年々低下しつつあります。
岩瀬仁紀投手のように長く50試合以上登板を続けられる投手も稀にはいます。
しかし、過去にも多くの投手は登板過多から不調や故障につながってきました。
幸い、肘の靭帯損傷など大きな故障によるものではない様子ではあります。
2軍でしばらく調整し、焦らず万全な状態で復帰してもらうことを期待します。
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