さて今回は前回記事に引き続き、丸佳浩選手の穴をどう埋めるか考えてみます。
そもそもその穴は野手で埋めるべきなのかという点にスポットを当てたいと思います。
[ スポンサーリンク ]
ブログ内の関連記事を読む
打てないなら投手陣で「失点を防ぐ」という考え方
前回記事では打撃の損失は個人では埋まらないですが、守備と走塁はなんとかなる。
その辺の話をしましたが、「打てないぶんは失点を防げば良い」と思う方もいるはず。
確かに、総得点が減っても総失点が減れば十分に補填できるんじゃないのって話です。
打線が点が取れないぶん、野手陣の守備も含めて投手陣が頑張れば良いわけです。
現状を考えると、そちらの方が戦力的に補える可能性は高いような気がします。
① 2018年のセリーグの投手成績を振り返る
防御率 | 被安打 | 被本塁打 | 与四球 | 与死球 | 自責点 | 奪三振 | 被打率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
カープ | 4.12 | 1267 | 138 | 510 | 37 | 587 | 1041 | 941 |
ヤクルト | 4.13 | 1286 | 143 | 440 | 53 | 585 | 1018 | 941 |
巨人 | 3.79 | 1246 | 144 | 385 | 51 | 538 | 1040 | 941 |
DeNA | 4.18 | 1264 | 149 | 433 | 46 | 590 | 1163 | 941 |
中日 | 4.36 | 1249 | 149 | 520 | 50 | 611 | 941 | 941 |
阪神 | 4.03 | 1238 | 127 | 485 | 51 | 572 | 1182 | 941 |
チーム防御率は4.12でセ・リーグ3位と好成績とは言えません。
四球の数も中日よりは良いものの、セ・リーグ5位と課題があります。
ただ、“四球”は多いが、“死球”は少ないというところは興味深いです。
自責点に関しては5位のDeNAを僅差で上回りましたがセ・リーグ4位。
奪三振は中日が少ないものの、被打率と共にチーム間の差は小さいです。
改めて見てみると、リーグ優勝こそしましたが投手成績は悪化しています。
特に注目した失点のうちの自責点はリーグ4位とやはり悪い傾向です。
セリーグ投手陣の中でみると多くの点を取られている投手陣と言えます。
野手の影響を除く、安打や四球など投手自身の責任(※)による失点。
※ 安打、犠飛、犠打、刺殺、四死球、暴投、ボーク、野手選択、盗塁
② セ・リーグの先発投手とリリーフ投手の防御率
さっきとは少し違った視点から見てみます。
ここでは先発投手とリリーフ投手の防御率を比較します。
防御率 | 先発 | リリーフ | QS率 | |
---|---|---|---|---|
カープ | 4.12 | 4.26 | 3.87 | 45.45 |
ヤクルト | 4.13 | 4.32 | 3.84 | 40.56 |
巨人 | 3.79 | 3.63 | 4.12 | 50.35 |
DeNA | 4.18 | 4.30 | 4.01 | 31.47 |
中日 | 4.36 | 4.08 | 4.93 | 48.95 |
阪神 | 4.03 | 4.23 | 3.70 | 46.15 |
巨人では先発陣に比べて、リリーフ陣が悪化しています。
巨人の投手陣を支えているのは先発陣、特に菅野智之投手と言えます。
その逆を示しているのが、阪神・ヤクルト・広島の3球団。
ともに不安定な先発陣を手厚なリリーフ陣がカバーしています。
中日とDeNAは先発・リリーフともに4点台を記録。
どちらも投手陣全体で苦労したシーズンとなったようですね。
特にDeNAはQS率を見てもわかる通り、先発陣の不振が際立ちました。
[ スポンサーリンク ]
課題の残るカープの先発陣
2018年のカープ投手陣で二桁投手と規定投球回数到達者はチームで2人。
大瀬良大地投手とクリス・ジョンソン投手のみで優勝したチームにしては少ない。
そう考えると、やはり先発陣に課題があるのは間違いありません。
① 規定投球回数に満たない先発投手の奮起が必要
ここからは規定投球回の未到達者の3投手に注目します。
複雑なデータは用いず、ここではベーシックなものを見ていきます。
防御率 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 援護率 | QS率 | 被打率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
大瀬良大地 | 2.62 | 15 | 7 | 182 | 5.18 | 77.78 | .215 |
ジョンソン | 3.11 | 11 | 5 | 144 2/3 | 5.44 | 58.33 | .255 |
岡田明丈 | 5.09 | 8 | 7 | 138 | 4.99 | 41.67 | .263 |
九里亜蓮 | 4.26 | 8 | 4 | 120 1/3 | 6.94 | 36.84 | .274 |
野村祐輔 | 4.22 | 7 | 6 | 119 1/3 | 5.10 | 45.00 | .289 |
九里亜蓮投手は援護率は6.94となっています。
6点台を記録したのは、多和田真三郎投手の6.95と12球団で2人だけ。
2人が登板する試合は、打線が7点近く点をとっていることになります。
共に防御率が悪いですが、打線に助けられて敗戦数はかなり少ないです。
こういったこともあり、勝敗数だけで投手の能力は判断できません。
3投手の勝利数はまずまずですが、防御率やQS率を見ても物足りません。
やはり、岡田明丈投手・九里亜蓮投手・野村祐輔投手の奮起が必要となる。
② 3投手の2017年の成績と比較する
岡田明丈投手・九里亜蓮投手・野村祐輔投手の2017年と比較します。
[ 2018年成績 ]
防御率 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 援護率 | QS率 | 被打率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
岡田明丈 | 5.09 | 8 | 7 | 138 | 4.99 | 41.67 | .263 |
九里亜蓮 | 4.26 | 8 | 4 | 120 1/3 | 6.94 | 36.84 | .274 |
野村祐輔 | 4.22 | 7 | 6 | 119 1/3 | 5.10 | 45.00 | .289 |
[ 2017年成績 ]
防御率 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 援護率 | QS率 | 被打率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
岡田明丈 | 4.00 | 12 | 5 | 141 2/3 | 6.45 | 54.17 | .258 |
九里亜蓮 | 3.64 | 9 | 5 | 116 1/3 | 5.11 | 53.85 | .247 |
野村祐輔 | 2.78 | 9 | 5 | 155 1/3 | 4.07 | 68.00 | .259 |
青い数字が前年に比べて、悪化した成績を示しています。
これを見ると、3選手ともほとんどの部門で2018年は成績が悪化しています。
岡田明丈投手は、被打率や被長打率が上がり、被本塁打も増加しました。
そのため、防御率は1.00近くも悪化して、早い回での降板も目立ちます。
その他の数字は前年と比べてほとんど変わらず、三振率は上がっています。
ちなみに、緑の数字で示す2017年の援護率は6.45とかなり高い。
2017年の12勝5敗という好成績は、打線の援護もあり達成したことがわかります。
やはり投手の勝敗数は野手との関係性で成り立っている数字だと再認識できます。
[ スポンサーリンク ]
③ 野手や球場などの影響を除いた「投手の能力」
さらに投手のみの能力を抽出した専門的なデータをみていきます。
クリス・ジョンソン投手は2017年の登板数が少ないため、2016年と比較します。
2017 | 2018 | 前年比 | |
---|---|---|---|
岡田明丈 | 3.67 | 4.37 | 悪化 |
九里亜蓮 | 3.43 | 4.88 | 悪化 |
野村祐輔 | 3.79 | 4.42 | 悪化 |
大瀬良大地 | 3.67 | 4.06 | 悪化 |
クリス・ジョンソン | 2.90 (※ 2016) | 3.70 | 悪化 |
主な先発陣は2017年に比べるとそろって低下しています。
二桁勝利を果たした2投手でさえも低下している現実があります。
カープの全投手で見てみると、2016年と2017年はともに3点台。
そして3連覇を果たした2018年は3年間で最も悪い4点台に低下しました。
特に被本塁打と四球が増加し、失点率も1点近く増加しています。
攻撃陣に大きな変化はなかった3年間ですが、投手陣は徐々に下降気味です。
④ 新戦力に期待したい2019年カープ投手陣
以上のような投手陣ではありますが、チームも補強を図っています。
即戦力投手として島内颯太郎投手をドラフト2位で獲得。
新外国人投手ではカイル・レグナルト投手とケイシー・ローレンス投手を補強。
さらに福井優也投手との交換トレードで楽天から菊池保則投手を獲得しました。
そして新戦力ではないですが、先発陣には床田寛樹投手が入りそうな勢いです。
オープン戦次第にはなりますが、開幕からのローテーション入りを期待します。
今回のまとめ
今回はカープの投手陣を中心にデータを整理しました。
上記のとおり、2018年の投手陣の成績に改善の余地がみられます。
丸佳浩選手の損失を埋める要素として、投手陣の整備も必要でしょう。
冒頭に述べたように失点を防げれば、得点力低下も十分にカバーできます。
今年はどんな選手が現れるだろうか、誰が復活を遂げるでしょうか。
2018年のヘロニモ・フランスア投手のような救世主が現れるかも知れない。
いずれにせよ、これから始まる2019年シーズンに期待しましょう。
他にも記事を読みたい
※ 文章・画像の転載はご遠慮ください