【 2019年のセ・リーグリリーフ事情 】阪神リリーフ陣が見せる安定感とベンチの投手運用

JEY(ジェイ)

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リリーフ陣に苦労したカープの2019年シーズン。
今回はセ・リーグのリリーフ陣にスポット当てながら話を進めていきます。

 

 

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セ・リーグリリーフ陣の登板数

 

セ・リーグ6球団のリリーフ投手の登板数をグラフ化しました。
ここでピックアップしたのは年間30試合登板以上のみです。

70試合が2人、60試合が8人、50試合が13人、40試合が7人、30試合が10人。
巨人を除く5球団では共に外国人投手のシーズンフル回転での奮闘が目立ちました。

図1 セ・リーグリリーフ陣の登板数

 

注目したいのは阪神で、他の球団に比べ平均的なグラフになっているのがわかります。
特定の投手に過度な負担をかけることなく、全体で負担を上手く分散できています。

カープに関しては、実績組の不振から新戦力に負担のかかるシーズンとなりました。
上位にいるのはヘロニモ・フランスア投手のみで、中﨑翔太投手もシーズン途中で離脱。
一岡竜司投手も同様に2度の離脱があり、シーズン終盤は2軍生活が中心となりました。

 

登板数と防御率の関係性

 

次に登板数と防御率の関係性をプロットしました。
右下にいくほど、登板数が多く防御率が低い投手となります。

図2 登板数と防御率の関係性

 

① そろって優秀な防御率を記録した阪神リリーフ陣

阪神リリーフ陣のほとんどがグラフの下の防御率が低い位置にいます。
7人のうち4人が防御率1点台で、ラファエル・ドリス投手も2点代前半を記録。

先ほどのように特筆した登板数を記録した投手はいません。
しかし、みんながそろって優秀な防御率を記録するのは素晴らしい
野手陣が低迷しても3位になった理由のひとつはここにあるでしょう。

 

② 実績組の不振が際立ったカープリリーフ陣

 

反面、カープのリリーフ陣の不振が目立った1年となりました。
当然ながら、突出した防御率を記録した投手は存在していません

特に中﨑翔太投手が全く機能しなかったのが響きました。
ただ、菊池保則投手や中村恭平投手の奮闘は今後に期待できます。
また、終盤に失速してしましたが遠藤淳志投手の活躍が目立ちました。

実質1年目に近いリリーフ陣たちは十分な活躍だったと思います。
とにもかくにも、勤続疲労気味の実績組の不振が際立った1年でした。

 

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防御率と総合評価の関係性

 

防御率を見てきた運よく点を取られていない可能性もあります。
例えばランナーは頻繁に出すけど抑えた、次の投手が抑えたなど。

そこで、先ほどの防御率と投手の総合評価との関係をプロットしました。
左下に行くほど、防御率も投球内容も共に良い投手となります。

図3 防御率と総合評価の関係性

 

① 投球内容も優秀な阪神リリーフ陣

 

やはり阪神リリーフ陣が左下グループのほとんどを占めています。
防御率のみならず投球内容も良いことがこれで証明できたでしょう。

登板数を除けば、No.1リリーフ投手はピアーズ・ジョンソン投手。
途中で離脱しましたが、抜群の安定感を誇り、特に前半の活躍が目立ちました。

少し注目したいのは岩崎優投手と島本浩也投手。
防御率に比べて、投球内容の数値が少し悪いようです。
おそらく2人とも他の投手に比べて被本塁打の多さが影響しています。

 

② 投球内容もイマイチだったカープリリーフ陣

 

カープに目を移すとやはり中﨑翔太投手は右上に位置しています。
カイル・レグナルト投手も投球内容の低いグループに属しています。

他の投手はほぼ中間に位置しており、平均的な投球内容でした。
突出したリリーフが1人もいない中で戦った1年だったことがわかります。

 

③ 2020年に不安の残した中村恭平投手

 

それでも、離脱はしましたが中村恭平投手の奮闘は称賛して良いでしょう。
ただ、来年も同様の活躍が期待出来るのかは正直微妙なところではあります。

前半の球威は後半ではほとんど見られず、体力面での課題が残りました。
また、シーズン中に肘(ひじ)痛も発症し、連投が難しくなった印象も。

球速や登板数や球数など急に負荷が上がると故障の原因となりやすい。
2019年の飛躍はそれら悪い条件を全て満たしていたと言えます。

特に球威の向上は著しく、前年比で約10キロ近くもMAXが向上しました。
それが活躍した理由であり、故障を生む理由でもあり、諸刃の剣であり。
このオフにどれだけ回復出来るかどうかが2020年シーズンの鍵を握ります。

 

投手の「循環」に成功した阪神リリーフ陣

 

こうして見ていくと、やはり阪神は「実績組と新戦力のバランス」が良い
実績組がしっかり働きながら、数人の若手が上手く入れ替わりを図ることが出来ています。

近年リリーフ陣を支えた石崎剛投手、ラファエル・ドリス投手、高橋聡文投手たち。
それらと入れ替わるように、島本浩也投手や守屋功輝投手が奮闘しました。

[ 2018年退団・2019年新戦力の投手 ]

選手名
OUT 石崎剛、ラファエル・ドリス、高橋聡文
IN 島本浩也、守屋功輝、ピアース・ジョンソン

抜けた戦力を新戦力がしっかりと補って、その損失分を上手く埋める。
上手く「循環」していくことで、特定の投手に負担をかけずに済んでいます

そうすることで、実績組も長期的に活躍出来、崩壊することなく維持できます。
この辺りが毎年のように阪神リリーフ陣が好成績を残している所以でしょう。

 

① 藤川球児投手の「抑え」復活

 

そして、何より抑えに復活した藤川球児投手は称賛に値する
2018年は敗戦処理などの役目も担いましたが、2019年途中から抑えに復帰。

やはり適切な役割を与えることでモチベーションと共に球威も戻りつつあります。
防御率も7年ぶりに1点代まで回復し、名球会の250セーブも目前に迫りました。

39歳を迎える松坂世代、同年代が引退していく中で見事な復活劇と言えます。
2020年はケガすることなく是非250セーブを達成してもらたいと思います。

  • 766試合 59勝35敗241S 2.02

藤川球児投手は故障により2020年で引退発表

藤川球児が涙の引退会見 残り2カ月半、完全燃焼を誓う / 朝日新聞

 

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今回のまとめ

 

今回はセ・リーグのリリーフ陣を中心に話を進めてきました。
やはり阪神リリーフ陣の安定感と活躍がリーグの中でも際立ちます。

新旧の循環がうまく図られ、特定の投手に過度な負担もかけていません。
優秀な投手がいてこそですが、投手運用も上手くいっているように思います。

カープにおいてはリリーフ陣が崩壊した厳しい1年に。
3連覇の中、特定の投手に過度な負担をかけ続けた采配が目立ちました。

勝ちパターンに拘るが故に、大量得点差でもそれを崩さず登板させ続けました。
中﨑翔太投手は2018年からすでに勤続疲労の兆候があり、ついに露呈。
抑えを任せられない状況でしたが、それでも任せ続けチーム成績に影響しました。

新たな監督を迎える2020年シーズン。
ここ数年、偏った投手運用をどう改善していくのか注目のポイントとなります。

3連覇のつけとも言えるここにきてのリリーフ陣の崩壊。
実績組の復活と新戦力の台頭に期待しながら投手陣再建が急務となる。

 

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