3連覇達成の大きな原動力となったカープの二遊間。
今回はその二遊間の守備範囲に注目して他球団との関係も含めて話を進めていきます。
2020年の菊池涼介選手と田中広輔選手の守備範囲
まずは菊池涼介選手と田中広輔選手の守備範囲をみていきます。
25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年は広い守備範囲を示しています。
しかし、その後は下降傾向にあり、2020年はマイナス値となりました。
菊池涼介選手は長年ヒザの故障を抱え、田中広輔選手も2019年にヒザを手術。
両選手ともにヒザに不安を抱える中で2020年シーズンを送っています。
① カープ内野陣の守備範囲の推移
2014年以降の内野全体の守備範囲を振り返っていきます。
2016年は一塁・三塁のマイナス値が高いものの、二遊間でカバーしています。
2017年は安部友裕選手が三塁手に定着し、大きくプラス値を示しています。
しかし、この年から二遊間の守備範囲が低下し始めていることがわかります。
この辺りから菊池涼介選手のヒザの影響がチームの守備範囲に出始めました。
一二塁間、二遊間を広くカバーしていた守備にも偏りが見えてきました。
② 2020年のセ・リーグ球団の内野手の守備範囲
すぐにわかる通り、DeNAとカープとヤクルトの3球団はマイナス値を示してます。
特にヤクルトに関しては突出したマイナス値を示し、守備範囲の狭さが際立ちます。
その原因としては、アルシデス・エスコバー選手の守備範囲があげられます。
MLBで2015年にゴールデングラブ賞を獲得し、守備には定評のあった選手でした。
しかし、来日して守備を見る限り、その姿は全く見られず守備面の課題が目立ちます。
巨人は内野の全てのポジションでプラス値を記録しています。
ここまでは岡本和真選手が大きく貢献しており、顕著な成長がみられます。
ただ、坂本勇人選手の守備範囲が低下傾向にあり、懸念される点でもあります。
腰痛の問題もあり、いつまで遊撃手を守るのかということも考える時期でもあります。
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「高齢化」が進むカープ主力内野陣
カープ内野陣を改めみていくと「高齢化」という問題が生じています。
2020年8月までのレギュラー内野手4名の平均年齢が31.5歳となっています。
最も若い堂林翔太選手でも2021年には30歳を迎えることになります。
世代交代を迎えつつある内野陣の中、新たなレギュラーの台頭が必要となります。
小園海斗選手を筆頭に20歳前後の選手たちが伸びてくることが期待されます。
2020年シーズンは25歳以下の内野手がひとりも1軍にいないのは課題です。
選手名 | |
---|---|
31-35 | 松山竜平 (35)、小窪哲也 (35)、安部友裕 (31)、田中広輔 (31)、菊池涼介 (31) |
26-30 | 上本崇司 (30)、堂林翔太 (29)、三好匠 (27) |
20-25 | 曽根海成 (25)、桒原樹 (24)、小園海斗 (20)、中神拓都 (20)、羽月隆太郎 (20)、林晃汰 (20) |
-19 | 韮澤雄也 (19) |
① セ・リーグ球団の主力内野陣の「平均年齢」
セ・リーグ球団の内野陣の平均年齢をみていきます。
守備機会イニング達成者、達成者不在の場合はイニング数トップの選手を用います。
一塁 | 二塁 | 遊撃手 | 三塁手 | |
---|---|---|---|---|
巨人 | 中島宏之 (38) | 吉川尚輝 (25) | 坂本勇人 (33) | 岡本和真 (24) |
中日 | ダヤン・ビシエド (32) | 阿部寿樹 (32) | 京田陽太 (26) | 高橋周平 (27) |
阪神 | ジャスティン・ボーア (32) | 糸原健斗 (29) | 木浪聖也 (26) | 大山悠輔 (27) |
DeNA | ホセ・ロペス (38) | ネフタリ・ソト (32) | 大和 (34) | 宮崎敏郎 (33) |
ヤクルト | 坂口智隆 (36) | 山田哲人 (28) | アルシデス・エスコバー (35) | 村上宗隆 (21) |
各チームの平均年齢は以下の通りです。
どのチームも30歳前後の選手で内野陣が構成されていることがわかります。
- 阪神 28.5歳 (20代-3名)
- 中日 29.2歳 (20代-2名)
- 巨人 30.0歳 (20代-2名)
- ヤクルト 30.0歳 (20代-2名)
- カープ 31.5歳 (20代-1名)
- DeNA 34.3歳 (20代-0名)
カープでみると平均年齢は若い方からリーグ5位。
ただし、上位4球団と大きく差がある訳では無いようです。
巨人やヤクルトはベテラン選手が一気に引き上げた面もあります。
どうしてもベテラン選手がひとりいると平均年齢に影響してしまいます。
② DeNAは20代の選手が「0名」
そこで、20代の選手が何人かを見ていくとDeNAは0名。
最も若い選手でもネフタリ・ソト選手の32歳とかなりの高齢化。
伊藤裕季也、森敬斗、柴田竜拓選手などの若手の台頭が望まれます。
FAで獲得した大和選手があまり活躍できず、そこを埋める選手が必要です。
逆に阪神は20代が3名と若い内野陣で構成されてます。
ただ、打撃面・守備面ともに安定せず、単純に若いから良いとも言えません。
カープに話を戻すと、2021年には全選手が30代に。
次世代の内野手が出てこないといけない時期に差し掛かっています。
③ 二遊間の守備範囲と年齢の関係
二遊間の守備範囲と年齢の関係をグラフ化しました。
守備範囲と年齢は二遊間の代表的な選手の合算としています。
左上の合計年齢が60歳を過ぎると極端に守備範囲が狭くなっています。
偶然かも知れませんが、弱いながらも年齢と一定の傾向はありそうです。
ヤクルトはアルシデス・エスコバー選手のマイナス値の影響が大きいです。
山田哲人選手はプラス値を出しているので、足を引っ張る形となっています。
仮に遊撃手を西浦直亨選手と入れ替えた場合で考えてみます。
そうすると、一気に守備範囲がプラス値に転じ、12球団中4位まで浮上します。
エスコバー選手は定評のあった守備に課題があり、打撃面でも目立たないのも現状です。
今の状態なら思い切って日本人選手に入れ替えてみるのもひとつの手かも知れません。
④ 個人差があり年齢だけで判断できない
ここまで年齢が高いと守備範囲に影響する話を進めてきました。
とはいえ、やはり選手により個人差があり一概に言えないのも事実。
例えば、ピークを過ぎたとはいえ坂本勇人選手はまだ広い方です。
同様に安達了一選手もピークを過ぎましたが、若手選手より広くなっています。
両選手とも元々の守備範囲が広かったため、低下傾向でもまだ平均より上にいます。
ここからどれだけ維持できるかが遊撃手のままでいれるかの鍵になってきます。
また、ケガの影響もあり、単純に年齢だけで判断できないのも難しいところです。
全ての選手が同じ条件でなければ明確な答えが出ることはないでしょう。
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今回のまとめ
今回は二遊間の守備範囲を中心に話を進めてきました。
3連覇に大きく貢献したカープの二遊間は守備範囲が低下傾向にあります。
2020年はスタメンを外れることも多く、打撃面でも精彩を欠いています。
少しずつですが世代交代の時期が近づいているのも事実ではないでしょうか。
明確な答えではないですが、二遊間の合算年齢が高いと守備範囲が低下しました。
選手による個人差があるとはいえ、ある程度は高齢化による影響はありそうです。
世代交代を迎えつつある2020年のカープ内野陣。
若手選手の台頭とベテラン選手の踏ん張りでまだ巻き返しも可能かも知れません。
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