今回は現在のカープにおける一塁手問題にスポットを当てたいと思います。
この件については以前にも触れていますが、改めてフカボリしていきます。
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開幕前から予想できた問題が浮き彫りに
このブログでは開幕前の2月の時点でも一塁手の問題に触れてきました。
まだ読んでいない方は、お時間があればご参照いただければと思います。
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開幕からチーム全体、特に一塁手の守備のミスが目立ちます。
こうなることはある程度予測できていましたし、予想していなければなりません。
しかし、この点についてチーム首脳陣は対策ができていたのか疑問が残ります。
① ここまでの一塁手の守備成績
ひとまず2019年のここまでの守備成績をみていきます。
一塁を多く守った松山竜平選手、サビエル・バティスタ選手のみ掲載します。
試合 | 刺殺 | 補殺 | 刺殺 | 補殺 | 守備率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
サビエル・バティスタ | 6 | 40 | 2 | 0 | 4 | 1.000 |
松山竜平 | 8 | 58 | 5 | 4 | 4 | .940 |
当然ながら、すでに4つの失策をしている松山竜平選手が目立ちます。
そこで、比較のために2018年の両選手の守備成績を振り返っていきます。
試合 | 刺殺 | 補殺 | 刺殺 | 補殺 | 守備率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
サビエル・バティスタ | 42 | 310 | 30 | 3 | 29 | .991 |
松山竜平 | 36 | 441 | 33 | 5 | 37 | .990 |
こうして見るとよくわかりますが、去年は5失策とさほど多くありません。
2019年はすでに4失策を記録しているという状況が異常な多さであると言えます。
少なくとも、2018年は2019年ほど極端に一塁守備に苦労していませんでした。
もちろんゴールデングラブを取るような一塁手と比較すると上手くはありません。
とはいえ、ここまで守備が乱れるとは本人も思っていなかったでしょう。
② 不在となった「本職」の一塁手
2018年で新井貴浩選手とブラッド・エルドレッド選手が退団しました。
それに伴い、「本職」と呼べる一塁手はカープからいなくなりました。
2018年までは主に新井貴浩選手が守り、リーグ平均の守備力を保っていました。
しかし、現在のカープには一塁を多く守ってきた選手は1人もいません。
以前から述べてきましたが、少し一塁の守備を軽視しがちと感じています。
一塁手は多くの送球を受け、高い捕球能力が求められるポジションです。
さらに様々な連係プレーもあり、そんなに簡単にできるものではありません。
同時に、他の内野手も一塁手に不安があれば送球も躊躇します。
大事にいこうとして、かえって送球が悪くなったりすることもあります。
時に、送球ミスを一塁手がカバーすることで内野手が育つ側面もあるでしょう。
1試合の中で多くのアウトを成立させる一塁手。
そう考えると、「他のポジションから回せば済む」ようなものではありません。
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③ 行わなれかった「外国人野手の補強」
ブラッド・エルドレッド選手の退団後、外国人野手の補強はありませんでした。
個人的には一塁or三塁が守れる内野手の補強が必要だったと思います。
三塁を守れれば、ほとんどのケースで一塁を守れることが多い。
また、三塁手を獲得出来れば、安部友裕選手や西川龍馬選手を一塁に回すこともできました。
そうなれば、松山竜平選手やサビエル・バティスタ選手が守るよりもリスクは低くなります。
④ 2軍の4冠王に輝いた期待のアレハンドロ・メヒア選手
チームとしてはアレハンドロ・メヒア選手に期待したのも確かでしょう。
2018年は2軍の4冠王に輝き、打撃タイトルを総なめにしています。
しかし、スイング自体の課題が大きく、1軍レベルの投手だと正直厳しい。
詳細は割愛しますが、以前に右打者に多い特性として述べたものに該当します。
あの手の課題はなかなか修正が出来ず、苦労する選手がかなり多いです。
紅白戦やオープン戦当初は打てますが、シーズンに入ると打てないのはそのためです。
もちろん修正出来る可能性もありますが、1年間1軍でとなると厳しいでしょう。
そう考えると、やはり一塁or三塁を守れる外国人選手の獲得は必要でした。
⑤ 三塁手の外国人野手の獲得に乗り出さないカープ
時間的にも三塁or一塁手の外国人獲得に球団が動くことはできたでしょう。
オフにはブライアン・レアード選手も契約が決まらず、獲得に乗り出すくらいはできたはず。
丸佳浩選手との契約が結べなかったことにより獲得予算もあったでしょう。
その一部を使ったとしても、ある程度のレベルの外国人補強はできたと思います。
もちろん成功するかどうかわかりませんが、それは投手の補強も同じ。
油断した結果、三塁手と一塁手が手薄になってしまった感は否めないのが本音です。
その後、ロッテに決まったブライアン・レアード選手の開幕からの活躍はご存知の通り。
なぜここまで補強しようとしないのか少し理解に苦しむところです。
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丸佳浩選手の穴を「外野手」で埋めるべきではない
残念ながら、丸佳浩選手の代わりができる選手はチーム内には1人もいません。
丸佳浩選手が抜けたからといって、センターや外野手で補填する必要もありません。
三塁手や一塁手の獲得することで、丸佳浩選手の補填をある程度できたはずです。
他のポジションのレベルアップを図ることで、総合的な打撃力は向上できました。
そう考えると、「なぜ外野ばかりに選手を集めたのだろうか」と疑問が残ります。
おそらく「丸佳浩選手の穴は外野の補強で」という考えになってしまったのでしょう。
3番打者にこだわるように、穴埋めを外野手に拘ってしまったのではないでしょうか。
しかし、現戦力で見れば、三塁手や一塁手の外国人補強が対策として正解だったはず。
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① 外野手コンバートの「多投」で飽和状態
そう思わせる出来事なのは複数の選手の外野へのコンバートです。
その筆頭になるのが、西川龍馬選手と坂倉将吾選手になります。
2軍でもショートやセカンドを守る桒原樹選手が外野を練習していました。
また、アレハンドロ・メヒア選手も出場機会を得るため外野の練習を開始しています。
すでに長野久義選手を巨人から獲得し、松山竜平選手とサビエル・バティスタ選手がいます。
さらに堂林翔太選手、下水流昂選手と1軍での経験ある選手もいます。
そこに将来のレギュラー候補たちを外野にコンバートし、外野は飽和状態に。
西川龍馬選手はショートのバックアップとして試す価値もあったでしょう。
サードでの悪送球も、ショートとはリズムが異なり送球が難しかったとのコメントも。
外野へのコンバートの他にも、ショートorファーストという起用法もありました。
また、坂倉将吾選手は以前にも投稿しましたが、外野よりファーストに挑戦させたい。
捕手と一塁手は親和性が高く、内野の連係もある程度は把握できています。
やってみないとわかりませんが、外野で飽和状態を作るよりベターだと思います。
② 首脳陣の方針が見えなかった一塁手の起用法
キャンプとオープン戦の早い段階から一塁手として実戦での経験も積めたでしょう。
しかし、松山竜平選手がオープン戦で一塁を本格的に守り始めたのは、3月17日以降。
それまでは、アレハンドロ・メヒア、サビエル・バティスタ、堂林翔太選手をテスト。
オープン戦の最後の最後になって松山竜平選手を起用したという印象でした。
スタメン出場 | |
---|---|
アレハンドロ・メヒア | 2/24・3/2・3/12 |
堂林翔太 | 3/3・3/13 |
サビエル・バティスタ | 3/9・3/14・3/16・3/19 |
松山竜平 | 3/5・3/17・3/20・3/21・3/22・3/23・3/24 |
以下の記事を投稿したのは、実はキャンプ時からそんな状況にあったため。
「首脳陣は一塁手を最後に決めるつもりだろうか?」と不安を感じたからです。
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4連覇を目指すのなら、松山竜平選手がレギュラー出場しなければなりません。
しかし、少し打てないとベンチに下げることも多く、評価が低いと感じます。
また、左投手が先発の試合になるとスタメンから外されることもしばしば。
競争も確かに大事ですが、松山竜平選手クラスはポジションを固定して欲しい。
松山竜平選手を欠いた状態で4連覇をするのは難しいことは誰もがわかっています。
そして、最近の松山竜平選手の守備が「本来のものではない」ことも考慮したい。
チームの悪い状況に飲み込まれてしまった要素も少なからずあったと思います。
③ 改めて考える「複数ポジション」と「競争」の意義
近年のカープでは多くの野手が複数ポジションを守っています。
確かにケガ人が出た時の補填や出場機会を得るというメリットはあるでしょう。
ただ、どこか選手同士の勝負が中途半端な感じがしてしまいます。
競ってポジションを奪うというよりも「空いてる場所探し」の印象を受けます。
ライバルを追い越し、実力でレギュラーを手にしていく姿とは少し違います。
首脳陣から「競争」という言葉もよく聞くが、ガチンコで奪いにいく印象は薄い。
それは選手というよりも、「すぐにあちこちと移動させる起用法」にある気がします。
そして、起用法が増えたことで首脳陣もズルズルと決めきれなくなったのも事実。
複数ポジションの弊害として、そういった面もあるのではないか。
その結果、チームに「レギュラー未満、ベンチ以上」の選手が飽和してきます。
将来のレギュラー候補はあまり移動させず、固定しながら強化してはどうでしょうか。
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他球団の優秀な一塁手たち
過去のプロ野球を振り返っても優秀な一塁手が存在します。
① 2004年の落合政権の一塁手だった「渡邉博幸選手」
2004年の中日の落合博光監督時代。
落合博光監督が一塁手に抜擢したのは渡邉博幸選手でした。
残した打撃成績は以下の通りです。
- 打率.286、2本塁打、22打点
正直、一塁手としては物足りない打撃成績なのは否めません。
しかし、落合博光監督は守備力を高く評価して一塁手として起用しました。
その結果、ゴールデングラブ賞を受賞し、チームの優勝に貢献しています。
一塁守備の重要性をよく理解している落合博光監督だからこそなし得た選択。
「守備が不得意な選手が守る」というイメージを払拭した人選でもありました。
② 連続無失策記録を更新した「ホセ・ロペス選手」
2019年にホセ・ロペス選手がセ・リーグの連続守備機会無失策記録を更新しました。
それまでのイ・スンヨプ選手が記録した1225を超え、1230の新記録を達成。
2018年においては、946度の守備機会で失策0、守備率10割を達成。
それまでの1位は榎本喜八選手の.9992、2位が新井貴浩選手の.9991でした。
確かに守備範囲の狭さはありますが、しっかり捕球していたことは事実。
それだけチームのアウトを取ってきており、チームへの貢献度は高いと言えます。
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今回のまとめ
今回は開幕から発生した一塁手問題について話を進めました。
述べてきたようにいくつかの疑問が球団や首脳陣に残ったのは本音です。
松山竜平選手がチームの主軸を打ち、1年間機能し続けること。
それが4連覇を目指すチームには必要なことだったように思います。
是非とも信頼して最後まで使い続けて貰いたい選手。
選手起用が試される2019年、緒方孝市監督の腕の見せ所に期待しましょう。
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